最近プレイしたゲーム(108):メディバルアカデミー

 今回のボドゲレビューは最近プレイしたゲームの中ではかなりのお気に入り。置場が無くなってきたのでこのところ新作はほとんど購入していなかったところに、久しぶりに新品購入までしてしまった「メディバルアカデミー」です。

メディバル・アカデミー (Medieval Academy)

メディバル・アカデミー (Medieval Academy)

 このゲームは騎士学校の生徒となっていろいろ活動し一人前を目指すという設定の、かなりシンプルなカードドラフト系ゲーム。

 
↑7種類のボードと、それらに対応する6種類のカード。

 ゲームに使用するカードはシンプルに6種類のみで、2〜5までの数字が描かれています。各ラウンド開始時にこのカードを5枚プレイヤーに配り、そこから1枚を手札にして残りを隣のプレイヤーに回していき、5枚の手札を作ります。

 そこから、各プレイヤーは手番ごとに手札から1枚カードを出し、カードに描かれた数字分対応するボードのトークンを進めていきます。

  • ボードは全部で7種類ありますが、そのうち「馬上槍試合」「トーナメント」のボードはカードが供用となっています。

 各ラウンドごとに出すカードは4枚まで(1枚は使用しない)。全員がカードを4枚出したらラウンド終了。そのラウンドの得点を清算します。
 得点計算は各ボードの状況に応じて行います。ボードごとに異なる得点・方法となっており、この得点方法の多彩さがこのゲームの面白いところ。


↑最初にチェックする「レディへの奉仕」。
 まず最初にチェックするのが「レディへの奉仕」。このボード上でトークン位置が3位→2位→1位となっているプレイヤー順に、任意のボード上のトークンを
それぞれ1マスから3マス移動させることができます。

  • 手札のカードに寄らず、任意のボードの数値を増加させられるというこのボードの効果は非常に強力。また順位が高いプレイヤーほど後に動かせるという点も重要で、これにより他プレイヤーの動きを見てからかわすということが可能になるというわけです。


↑主な得点手段となる「馬上槍試合」「トーナメント」「王の務め」「クエスト」。
 そしてメイン得点手段ともいえるのが「馬上槍試合」「トーナメント」「王の務め」「クエスト」のボード。

 まず「馬上槍試合」「トーナメント」は非常にわかりやすく、ラウンド終了時点で1位〜3位のプレイヤーが3点〜1点の得点を得ます。

  • 分かりやすいだけに競争は熾烈になりやすく、またカードが供用のためその時点でどちらを上げればよいか悩ましいボードでもあります。

 「王の務め」はラウンド終了時点で特定のポイントまで上げていれば、3ラウンド目の終わりまたは6ラウンド目の終わりに、6点または12点の得点が得られます。

  • このボードだけ、他プレイヤーとの競争はなく特定のポイントまで上げれば確実に得点が得られますが、得点を得られるラウンドが限られるので他の得点手段の補助として使うのが良いかも。

 そして「クエスト」。これは得点計算があるのが6ラウンド目だけと非常に限られていますが、1位となったプレイヤーは17点も獲得できるという一発逆転が狙えるボードです。

  • 2〜3位でも10点、4点とそこそこの点数は得られますがやはり1位の得点が破格のため、必然競争は激しくなりやすいところでもあります。

 
↑「学問」と「慈善」はマイナス点を押し付けあう。
 そして残る「学問」と「慈善」のボードはラウンド終了時の状態によってマイナス点を獲得するというもの。

 「学問」はちょうど馬上槍試合やトーナメントの逆のような存在で、毎ラウンド終了時点で最下位、最下位から二番目のプレイヤーがそれぞれ−3点、−1点を獲得します。

  • 厳しいのが、ポイントが0のプレイヤーが複数いた場合、全プレイヤーが最下位となってしまいマイナス点を受け取る、というルール。プラス得点の場合同ポイントはない(後乗せ優先)のに、こちらはきっちり複数プレイヤーが受け取る羽目になります。他プレイヤーの動向には気を付けるべし。

 「慈善」は6ラウンド目のみ得点計算が行われ、その時点で最下位、最下位から二番目のプレイヤーがそれぞれ−10点、−5点を獲得します。

  • 6ラウンド目のみなので意外と放置しがちですが、マイナス点数がデカいのでこれまた一発逆転要素となっています。

 また各ボードのポイントは基本的に持越ししますが、3ラウンド目の得点計算終了時に「クエスト」と「慈善」を除く、5種類のボードについては一旦ポイントがリセットされます。このリセットを境目に状況ががらりと変わることがあり、これを見越したプレイが重要となります。

  • ただしこのリセットの仕様はちょっと分かりにくく「王の務め」は全プレイヤーは0に戻るのですが、それ以外は最下位のプレイヤーは0ポイントに置き、それ以降は順位ごとに1ポイントずつ並べて配置します。結構ここルールブック読んでも分かりにくい点ですので注意。

 各ボードの得点計算が終わったら、また新たに5枚のカードを配り次のラウンドを開始。これを6ラウンド行い、最も得点が高いプレイヤーが勝者となります。



 ドラフトゲームとしてはかなりシンプルな内容で、カード種類も少なくわかりやすい。それでいて、ただどのカードをドラフトするかだけでなく、どの順番でどのように出して行くかも非常にジレンマがあり、悩ましくなっています。

  • 同ポイントになった場合は「後乗せ」プレイヤーが上位となるというシステムのため、自分が確保したいボードは圧勝するかギリギリまでカードを出さずに後乗せを狙うかなどの駆け引きが熱い。特に「レディへの奉仕」を絡めた攻防が面白く、これによる逆転要素がゲームに良いアクセントを与えていると思います。

 プレイ時間も短く、大体30分程度で終わる内容ながら、その駆け引き要素の多さからプレイ後の満足感は高いです。また、通常ゲームだけでなく、ボードを裏返すことで個別にヴァリアントに対応させることも出来るというなかなかよく出来た盛りだくさんの内容。ゲームルールは非常にシンプルなので、ドラフトゲーム初心者でも遊びやすい一品ですね。

 あえて難点を上げるならば、ゲームのシンプルさの割にはトークン類が多すぎること。得点トークンがボードごとに用意されているため、種類が多く数も多いため管理が非常に面倒くさいです。最初に分別用のタッパーを用意するなどの工夫が必要でしょう。