最近プレイしたゲーム(113):バケツ消防士

 いったいいかなる気まぐれか、連日更新となるボードゲームレビュー。今回はボドゲ会の安打製造機ことライナー・クニツィア先生の「バケツ消防士」です。

バケツ消防士

バケツ消防士

Amazonのページだと、なぜか違うカードゲームのパッケージが使われていたりします。謎。

 さて、このゲームは前回の「ホリディAG」に続く「洗面器ゲーム」と呼ばれる類のゲームです。
 「洗面器ゲーム」とは自分の消耗を抑えつつ、相手より我慢できるか(洗面器に顔を付けたまま、相手より顔を遅く上げた方が勝ち、という意味)が要となるゲームシステムを差すジャンルですが、このゲームはクニツィア先生らしい、シンプルなルールとジレンマが両立した、よく出来た「洗面器ゲーム」の見本といった感じの内容です。

 
↑ボードとカード。カードは1と2の数字があり、全部で4スート+ジョーカの10種類ある。

 プレイヤーは手番になったら、手札からカードを1枚場に出し、対応する色の消防士コマを進めていく。
 カードには1(歩く)と2(走る)の数字があり、それぞれの数字分コマが進む(梯子を上っていく)。ジョーカーを出した場合はどの色のコマを進めてもよい。

 
↑カードを出し、消防士を進めていく。

 そうしてどれかの色のカードがビルの屋上に着いたらその時点でラウンド終了。各プレイヤーは手札に残ったカードと対応する消防士コマの位置から得点を計算します。
 まず消防士の位置は一番下だと−1点。そこから上に登っていくほどに高くなっていき、ゴール地点の屋上では3点となります。
 そして対応する色のカードが手札にある場合、数字が1だと1倍、2の場合2倍の得点が得られます。

  • ただし1のカードが2枚ある場合、1組ごとに5倍というボーナス点が得られます。またゴールさせたプレイヤーは6点のボーナスポイントもありますので、ゴールさせるタイミングも重要。

 得点を得るためには消防士を進める必要がありますが、進めるためにはカードを多数使わなければならず基礎点が下がってしまう、という単純にして強烈なジレンマが魅力のゲームで、どのカードを使いどのコマを進めるかの駆け引きが大変熱い。

  • 1を2枚残した際の5倍ボーナスは大きく、できれば積極的に狙いたいのですが、逆にマイナス点も5倍となってしまうため、この場合は逆にカードを捨てる必要があったりとなかなか良いアクセントとなっています。

 プレイ時間は1プレイはあっさり目で、人数分のラウンドを行っても4人なら30分程度と結構短め。それでいながら濃厚なゲームプレイ感がある満足感も高い一品。知名度的には低めですが、クニツィア先生の数ある傑作に負けない名作ゲームであると言えます。

 ゲーム的な難点としては結構得点が変動するゲーム、かつラウンド制であるのになぜか得点ボードがないこと。得点計算用のメモかチップが別途必要になります。結構箱が余っているんだから簡単でも得点ボードが欲しかった。
 あと現在ではリメイク版が出回っているのですが、これの値段が高めなのもつらい(上記Amazonだと5000円超えている)。