最近プレイしたゲーム(112):ホリディAG

 今回のボードゲームレビューは結構古い作品。1990年製のゲーム「ホリディAG」。かのヴォルフガング・クラマー作成のカードゲームです。

↑さすがにAmazonにも商品イメージがないし、箱を取り忘れたので同デザインのマニュアルより。

 「AG」は日本でいうところの(株)みたいなものなので、ゲームタイトルは「ホリディ株式会社」といったところでしょうか。
 一応、目的としては世界各地の観光名所を有名にしていき、旅行チケットを販売していくという感じですが、正直テーマは割とどうでもよいですw


↑ボード。スートは5種類×各20枚。これに特殊カードを加えたもの。意外と多い。
 
 ゲームシステムは一見して「七並べ」のようなカードゲームに見えますが、その実態は株ゲームに近い。いかに自分自身の投資を最大限にし、他プレイヤーの投資を減らしていくかの駆け引きが大きなキモとなります。

 まず、各プレイヤーは自分の手番が来たら、場の5種類の「コイン」から、2つまでを好きに選び、獲得します。 

↑コイン。このゲームのコインはなぜか四角い。
 コインの組み合わせは自由で、2種類から1つずつでも、1種類を2枚でも構いません。獲得したコインは他プレイヤーに見えるように公開した状態で手元に置きます。
 -また、ゲーム開始時に配られるスペシャルカードを使用することにより、このときさらに追加で2枚を獲得することも出来ます。幅広くコインを獲得してリスク分散を行ったり、逆に一点集中したりができるため、このカードを使うタイミングは大きな駆け引きどころ。

    • ゲーム的にはどうでもよいですが、このスペシャルカードが非常に原色バリバリで眼に痛いあたり、時代を感じます。


↑使い捨てのスペシャルカード。色合いがサイケ過ぎる。

 それから、10枚の手札より2枚のカードを使用し、使用したカードの色+番号の組み合わせとなる場所に「カバン」トークンを配置していきます。
 
↑2枚のカードを使用し、カバンをボードに配置する。

  • このカバントークンは、その色のコインの価値を表しており、5つ以上連続して配置された場合は5点、以後は1つ連続数が増えるごとに1点ずつ上昇していきます。逆に4つ以下の連続しかできていない場合、その色のコインは0点としてカウントされます。

 手番の最後にカードを2枚補充。補充できなくなった(山札が切れた)場合はそのまま手札だけで続行します。
 こうして「どれか一つの色の価値が10点を超えた(カバンが10個以上連続で配置された)ら、ゲーム終了。最後にコイン補充を1手番だけ行い、その時点で最も獲得得点の高いプレイヤーが勝利となります。

 ゲームの目的は非常に明確で、以下に自分の集めたコインの価値を高めるか、逆に他プレイヤーの集めたコインの価値を上げないようにするかの駆け引きが非常に熱い。急所のカードを止めあうさまは七並べ的であり、狙っている色がばれない様に行動する様は正体隠匿的でもあります。
 非常にわかりやすいルールに、見ていて勝負どころが分かりやすいビジュアル。シンプルなルールの良質な「洗面器ゲーム」といったところでしょうか。このバランス感はさすがのクラマー。絶版となってしまったことが惜しまれます。

  • なおこのゲーム自体は1975年のCoupというゲームのルール変更版とのこと。そちらの内容も気になります。


 難点は「カバンのプラスチックコマがなんか臭い」ことw この時代のプラスチック独特なのか、それともこのコマの作りの問題なのかはわかりませんが妙に臭います。このセット独特のモノかと思いましたが、後ほどネットで調べたら、他のセットでもやはりコマは臭いようで結構この点が言及されていました。
 あと、通常の数値カードとは別の特殊カードのうち「自分のコインの色を好きに組み替えられる」は強すぎる。というか根本のルールを破壊してしまうカードのため、このカードはゲーム開始時に抜いておくことを推奨します。流石にバランス的に問題がありますので。