ゲームマーケット2013秋に出品されたゲームで遊んでみた(その1)

 というわけで、ゲームマーケットで購入した新作同人ゲームの感想についてまとめ。

  • 基本的に同人ゲームのみのレビューとなります。またあくまでゲームマーケット2013秋に出品されていたゲームですので、初出が2013秋ではないものも含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。

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 今回は重いゲームが多いので二つだけご紹介。

●開拓王(Studio GG)

  • 簡単に言うと、カルカソンヌの「タイル配置」要素に資源生産+発展要素を加えたようなゲーム。大量のタイル+木製コマとなかなかの本格派なコンポーネントです。
  • プレイヤーはまず最初に数枚のタイルを自分のボード(5×4マス)に配置します。これが最初の国土となり、この国土を発展させていきます。


↑初期配置図。この何もない土地を発展させていきます。

  • プレイヤーの手番には「開拓」「生産」「建築」「消費」の4つのアクションのうちどれかを行うことができます。
  • まず「開拓」はタイル山から二枚のタイルを引き、一枚を配置することができます。このとき、ほかのプレイヤーも一枚だけ引いて配置することが可能です(この辺はプエルトリコとかの役割選択系のシステムですね)。
    • 配置するタイルはカルカソンヌのように「必ず地形が繋がるように」置く必要があります。この地形が完成している(一固まりにエリアが閉じている)状態にならないと次の「生産」や「消費」を行うことができないため、まずは地形を完成させることを目的として配置していくのが良い。


↑タイル山。結構あるように見えるが意外と早く無くなります。

  • 「生産」は、完成したエリア(森、岩場、麦畑)を二つ選び(選択したプレイヤー以外は一つ選ぶ)、そのエリアにある空きマス(資源置き場)に対応する資源(木、石、麦)を配置します(ウォルナットグローブ開拓史を思い起こすデザインですね)。


↑生産した資源を配置。わかりにくいですが「完成した地形」にある配置可能な場所の分だけ一度に資源を生産できます。

  • 「建築」はサプライに並んだ建物タイルを、必要な資源(木、石)を支払い獲得できます。獲得した建物タイルは通常の開拓時と同じようにボード上に配置していきます。役割を選んだプレイヤーから時計回りに建築を行い、選択したプレイヤーは資源を一つ少なく建築できます。
    • 建物は全部で16枚。四人プレイだと全部使うのでちょっとランダム性は少ないかな。もう少し建物は欲しかった。

 
↑サプライに並んだ建物。配置するときは開拓時と同じように地形が繋がるように配置する。

  • 「消費」は地形の一つ「街」に対し、小麦コマを配置できる。配置する事に1点チップを受け取り、役割を選択したプレイヤーは+1点チップを受け取る。割とロースコアの勝負になりがちなこのゲームでは貴重な直接得点手段。(配置した小麦は得点後ストックに戻す模様)。
    • 小麦を消費できるのは完成した(エリアが閉じた)街のみ。このゲーム何かにつけてエリアが完成していないことにはできない行動が多い。


↑最終局面。大体終わるころにはこんな感じになるでしょう。

  • 最終的に、「タイルの山が切れる」「誰かがマップを埋め尽くす」「得点チップが切れる」とゲーム終了。ボード上の完成したエリアボーナス、マップボーナス(完成しているとボーナスがもらえるが、未完成の場合空いているエリア分マイナス点となる)、建物の得点やチップを合計し、最も天の高いプレイヤーが勝者となる。

 タイル配置と開拓ゲームのいいトコ取りといった感じのゲームだが、ちと気になった点がいくつか。

  • まず、意外と他人のプレイに干渉できないこと。このゲームでは手番ごとに各アクションを行っていきますが、そのアクションの種類が四種類と少なく、また誰かが選んだアクションは同一ターン中に選択できないといった制約もないので、アクションがかぶりまくることも多く、自分の行動で他人の行動を縛ることがほとんどできません。
  • その意味で数に制限のある建物は貴重な他人のプレイに干渉できる部分ですが、この建物も数が少なく(16種類各1枚)、生産に制限があまりないので中盤あたりになるととにかく生産→建築→生産→建築・・・と建築に走りまくるプレイヤーが多くなり、結果として終盤には建築する建物が切れてしまったためひたすら開拓ぐらいしかできないという事態になりがちです。

 ゲームのアイディアとかは面白いのですが、この単調さがもうちょっとなんとかなればという気もします。具体的にはアクション数がもう少し多いとか、建物の種類が多いとか、物量で結構カバーできたんではといった印象。コンポーネントの完成度などは高いのですごく惜しい感じが。


●にゃんこVSゴブリン(仮)(サイタニヤ南流山駅前店)
 非常にイラストが可愛らしいのが特徴のデッキ構築ゲーム。プレイヤーたちはにゃんこ国の数々のにゃんこ達を率い、襲い来るゴブリンの群れを次々と蹴散らしていくタワーデフェンス+半協力ゲームとなっています。

  • 毎ターン開始時、各プレイヤーは自分のデッキから5枚のカードを引いてスタートします。


↑手札は毎ラウンド5枚補充。デフォルメされたにゃんこ達が非常に可愛らしい。
 で、それとは別に敵となるゴブリンをゴブリンデッキから決められた枚数めくります。
 
↑ゴブリンデッキ。ここから決められた枚数のゴブリンが毎ターン湧いてくる。

  • ゴブリンデッキには四段階の強さがあり、ランクごとに20枚ずつ計80枚存在する。ゲームが進むごとに登場するゴブリンはだんだん強くなっていく。

 こうして登場したゴブリンたちに対し、各プレイヤーが挑んでいくことになるわけですが、挑んでいくのは「オピニオンリーダー」カードを持ったプレイヤーからとなります。

オピニオンリーダー。このプレイヤーからゴブリンデッキに挑んでいく。

  • なおこのオピニオンリーダーは特定のカード(初期デッキに入っている「すたにゃん」か「踊り子にゃん」)がお金として使われた場合にそのプレイヤーに移動しますが、他にもお金で買うこともできます。このゲーム順番がかなり重要なので時にはお金を払っても買いに行く必要があるでしょう。

 まず各プレイヤーはそのラウンドに手札を「どのように使用するか」を決めます。具体的には「ゴブリンに攻めるカード」と「お金として使う」カードを分け、伏せて場に出します。全員がカードの使い方を決めてカードを伏せ終わったら一斉に公開。オピニオンリーダーを持ったプレイヤーから処理していきます。
 
↑カード公開。攻めるカードは上向き、お金として使う場合下向きにカードをオープンします。

  • 「攻めるカード」の場合、公開されたゴブリンカードの先頭のカードの「守備力」に対し、にゃんこの「攻撃力」を比較し、上回っていれば「撃退」となり、そのカードを獲得(得点)できます。
    • 攻撃が「オピニオンリーダーを持ったプレイヤーから処理」というのがここでのキモで、自分の手番の前にほかのプレイヤーがいる場合、どのぐらい倒されてどのぐらい残るか、の見極めが重要となります。全て倒されてしまった場合は攻めに使ったカードは無駄になるし、かといって中途半端に使って残ったゴブリンを倒せなかったりすると後述の「ゴブリンの攻撃」によって国力が削られてしまう危険もあります。ここで他プレイヤーの行動を読むことが重要になってきます。
  • 全プレイヤーの攻撃が終了し、その時点でまだゴブリンが残っていたら「ゴブリンの攻撃」となります。場に残ったゴブリンの攻撃力を合計し、攻めに使用したにゃんこ達の「守備力」と比較します。攻撃力が守備力を上回った分、にゃんこカードは「負傷」状態となり、負傷カード置き場に置かれます。
  • 負傷カード置き場に置かれたカードは、山札が切れて、捨て札を再シャッフルしたのち、捨て札カードに移ります(つまり一段階デッキに戻るまでに間があります)。
    • すべての攻めにゃんこ達が負傷してもなおゴブリンの攻撃力が上回った場合、「国力」カウンターがその分引かれます。


↑こちらが国力カウンターカード。序盤は20からスタートし、0になると脱落です。

    • 国力カウンターはカードを使用する際などにも消費しますが、これが0になったプレイヤーは「脱落」となり、ゲームから除外されます。たとえプレイヤーが脱落してもゴブリンカードをめくる枚数に違いはないため、その分残ったプレイヤーの負担が増す、というわけです。
  • ゴブリンの攻撃が終了したら、今度はお金として使ったカード(+倒したゴブリンの報酬)を使用し、サプライからカードを1枚購入していくことができます。

 
↑サプライ。ここからいろいろなにゃんこ達を雇っていく。

    • このゲームではあまりデッキ圧縮ができないので(「黒魔術師にゃん」というカードで出来るが、ランダム圧縮なので重要なカードを落としてしまうとキツイ)、カードを引くタイプのカードが重要かな。「赤魔道士にゃん」「暗黒騎士にゃん」「聖騎士にゃん」「白魔道士にゃん」あたりがこの変では優秀(特に「赤魔道士にゃん」)。カード枚数が伸びる後半は攻めに使用したすべてのカードをパワーアップする「踊り子にゃん」が有用。反面、「侍にゃん」「ネクロにゃん」は強いがリスキーでちょっと使い辛いかな。

 上記の手順でゲームを進行し、ゴブリンデッキがなくなるまで生き残ったプレイヤーは残り国力+倒したゴブリンの点数の合計点が最も高いプレイヤーの勝者となります。

 デッキ構築ゲームでありながら、他プレイヤーの行動を読んで適切なカードの使い方をしていかないといけないなど、デッキ構築ゲームにありがちな「ソロプレイ感」をうまく解消している点がオリジナリティ高いです。
 ほかにも、カードのデザインのクオリティの高さや、意外とカードの能力のバランスが取れていること、ルールブックや箱にまで小ネタを仕込んであったりと、これが製作者のんじょもさん初めての同人ゲームとは思えないコンポーネントやルールの完成度。

 で、このゲームの最大の難点は「長い」こと。ゴブリンデッキが切れるまでがゲームなのですが初プレイでは3段階(ゲームは4段階まで)目の終了時点で二時間近くかかっていたため協議終了した。ゴブリンデッキがめくれる枚数がプレイ人数分(ハードモードだと+1枚)しかないためなかなかデッキが減らないことと、それでいてゴブリンデッキの枚数がかなり多い(80枚)ことが原因で終わるまでにスゲェ時間かかります。
 ゲーム自体はいろいろ工夫があり、デッキ構築の面白さやゴブリンに戦力を割くか、購入に力を入れるかといった駆け引きもあり面白いのですが、ゲームが長いため後半かなりダレました。もう少しスッキリ短くても良かったんじゃないでしょうか(個人的にはゴブリンデッキはもう半分ぐらいでも良かったと思います)。

  • 後これは長いことの弊害でしょうが、4人プレイ時には3段階目終了時点あたりであらかた買えるにゃんこがなくなってしまい後半はあまり金の使い道がない(オピニオンリーダーを買うぐらい)ことが辛いかも。ただこの点は同時に発売された拡張セットを最初からぶち込めば解決しそうですが。

 あとちょっとバランスが取れればかなり面白いゲームになりそう。