今回は前回からそれほど間を開けずに送るボードゲームレビュー。今回はスイスの農村がテーマの「ヘルベチア」。
Helvetia: Strategiespiel für 2 - 4 Spieler
- 作者: Matthias Cramer
- 出版社/メーカー: Franckh-Kosmos
- 発売日: 2011/09
- メディア: おもちゃ&ホビー
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- スイスは「ヘルベチア連邦」というのが正式名称(自称)らしい。勉強になりますね。
このゲームはスイスの農村を舞台とした拡大生産系のゲームです。大本のゲームシステムはワーカープレスメントっぽいのですが、「結婚」という独特なシステムが特徴です。
- まずゲームはプレイヤー共通となる中央ボードと、個人ごとの村ボードがあります。
- 初期配置として、中央ボードの得点トラックにマーカーを置き、各商品タイルと職業タイルを配置します。
- それから各個人ごとの村ボードには初期建物3つを並べ、それから村人を配置します。この村人コマには男女の区別があり、まず男女3組をストックから取り、それぞれ「村の建物に一人ずつ配置する」「中央ボードの『学校』に一人配置する」「隣のプレイヤーの建物に一人を配置(結婚)する」「自分の村ボードの中央に一人配置する」ように置きます。ここちょっとわかりにくいので慎重に。
- ちなみに男女の区別は非常につけにくいです。パッと見どっちがどっちかわかりません。勘違いしないように気を付けようw
- それから、ワーカーとなる「コイン」6枚のうち、一つ右隣りと二つ右隣りのプレイヤーにひとつずつ渡します。隣から回ってきたコインは村の中央に置いておきます。残り4枚は自分が使用する分となります。
- 各プレイヤーは自分の手番が来たら、中央ボードに並ぶ五種類の各役割に自分のワーカー(コイン)を配置し、その役割を行っていきます。このとき、すでに他プレイヤーがコインを配置していたり、自分がラウンド中に一度配置した役割にもワーカーを配置できます。
- なお、ワーカーを置く手番は時計回りではなく反時計回り。どうやらこれがスイスゲームの伝統らしい。
- まず「建築家」の役割は任意の建物を一つ建設することができます。
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- 建物は大きく分けて製品を作る「生産施設」と、得点が得られる「得点建物」があります。違いは生産施設は村人コマを配置していないと機能しないこと(得点建物は村人コマを配置しない)。生産施設を動かすためにも、建築前にはなるべく使用していない村人コマ(村ボード中央に置かれている村人コマ)を用意しておきたいところです。
↑生産施設。製品を作るのに必要となる。この建物は村人コマを置くことで機能する。
↑得点建物。この建物には村人コマは配置しない。
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- 建物を建てるには各種資源を支払う必要があります。これらの資源は生産施設に配置している自分の村人コマを倒す(消耗させる)ことで生産されます。製品によっては、より下位の前提となる製品から順に生産していかないといけないものもあります。
- 建物を建設時、足りない基本資源(木材、レンガ、石)分はコインを多く支払う(建設用+足りない資源個数分)ことで建設可能となるので、どうしても建てたい建物があるならばコインを多数投入することで建設できる。
- 「御者」は、生産できる製品を出荷し、得点を得られるアクションです。
- 御者アクションにコインを配置した数だけ生産した製品を出荷できます。出荷した製品には生産済みを示すマーカーを置き、一つ出荷するごとに1点得られます(一つの製品は一度だけ出荷できます)。
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- このとき、まだ誰も出荷を行っていなかった製品については製品タイルを受け取ることができ、それぞれに書かれた点数分(1〜2点)ボーナスを得ることができます。また、派生する製品の組み合わせを全プレイヤー中最初にすべて出荷し終わったときにもボーナス点(1〜4点)が得られます。この点数はかなり大きいので積極的に狙っていくべきでしょう。
- 「夜警」のアクションは、製品を生産したことで消耗した村人コマを起こすことができます。
- このアクションで起こせるのは、2×2の4マス範囲にいる村人コマ全部になります。また、自分の村だけでなく、他人の村のコマを起こすこともできます(結婚して送り出した村人をむりやり起こしたい場合など)。
↑夜警アクションで起こせる範囲。村の中央を含む2×2の範囲の村人コマがすべて起きる。
- 「司祭」のアクションでは、自分の村にいる村人コマを、他プレイヤーの建物にいる村人コマに対し結婚させる(他プレイヤーの建物に村人コマを配置する)ことができます。
- 男性の村人コマが置かれている場合は女性の村人コマを、女性の村人コマが置かれている場合は男性の村人コマを結婚に送り出すことができます。なお、このゲームの時代背景的に同性婚は禁止です。重婚もできないよ。
- このとき、自分のコインが村ボードに置かれているプレイヤーの建物にいる村人と結婚させた場合、持参金としてコインを受け取ることができます。このためなるべくならば早めに村人を結婚に送り出したいところ。
- 「産婆」のアクションでは、自分の村ボード上にいる夫婦の間に子供を産ませることができる。
- 子供は任意の村人コマ(男性、女性コマどちらでもよい)を夫婦がいる建物タイル状に縦向き(村人コマの底面が見えるように)に配置します。
↑子供が生まれたところ。コマの底面に子供マークがある(わかりにくいけど)。
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- 生まれた子供は次のラウンドになる際、一時的に中央ボードの『学校』に入ります。生まれたての幼児から子供に成長したということでしょうか。この学校におかれている子供は、次ラウンドに村ボードに置かれ、村人コマとして使用できるようになります。
↑学校に子供が入る。このコマは次ターンに村人コマとして回収できる。
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- 産婆で子供が生まれるアクションを行っても、村人コマは即使えず、幼児→学校とひと手間かかるため、村人コマとして使えるようになるにはタイムラグが生じます。先に必要となる村人コマを計算しつつ、子供を生み出していかないと村人不足に悩まされます。
- 子供が生まれるためには夫婦が必要となるので、ほかの村から結婚申込みされるよう、他プレイヤーが持っていない建物を建てるなど、村に建てる建物にも気を付ける必要があります。なかなか夫婦ができないと厳しいよ。
- 各プレイヤーがアクションを行っていき、「誰か一人のプレイヤー以外がすべてのコインを使い切ったら」ラウンド終了となります。
- コインを使い切れなかったプレイヤーは次ラウンドのスタートプレイヤーとなります。
- ラウンド終了時、各役割ごとにコインを置いた枚数を比較し、最も多くのコインを配置したプレイヤーは「職業タイル」を受け取ることができます。このタイルを持っていると、次ターン以降自分の手番に一回だけ、その職業の追加アクションを行うことができます。
こうしてラウンドを繰り返していき、誰かが20点を超えたらそのラウンドでゲーム終了。最も点数を稼いだプレイヤーが勝者となります。
「結婚」というアクションがなかなか面白く、このアクションを軸に子供を増やしたり、資源を生産したりと考えることも豊富。ほかにも「夜警」で村人コマを起こすタイミングや、得点手段となる生産物をどう作っていくかといった要素があり、なかなかに多様なプレイが可能。
- 結婚時の持参金や、子供を作るには夫婦が必要というルールでうまいところ他プレイヤーとの絡みを作り出しているなぁという印象です。このルールはちょっと他にはない面白さですね。
ちょっと初期配置なんかにくせがあり戸惑いますが、一度プレイを始めるとワーカーでできることのシンプルさもあって、結構サクサク進みます。最終的なプレイ時間も1時間程度なので、中量級〜重量級のゲーム好きにはお勧めできます。
- あえてゲームの難点を挙げるならやっぱり村人コマの見分けにくさ。自分のボード上に置いているコマでさえ見間違えるので、いわんや他プレイヤー上のコマなんてしょっちゅう間違えまくりです。うっかり同性婚させないように気を付けましょう。