最近プレイしたゲーム(84):ルイス・クラーク探検隊

 まさか前回から3か月も開くとは思わなかったボードゲームレビュー。このところ新しいボードゲームあんまりプレイしていなかったからなぁ・・・。
 というわけで久しぶりのボードゲームは、アメリカ横断大冒険ゲーム「ルイス・クラーク探検隊」です。

  • このルイス・クラーク探検隊とはアメリカ西海岸へ初めて到達した冒険隊のようです。Wikiに詳しい記述があった(丸投げ)。


↑こちらが全体ボード。村の部分とメインとなる川(道?)トラックがあります。

 さて、このゲームは大雑把にいうと最も早くアメリカ西海岸に到達したプレイヤーが勝者となるレースゲームです。全体ボードの上部部分にはトラックとなる「川(一部山)」が描かれていて、ここを抜けて西海岸に「キャンプ」が到達したプレイヤーが出た時点でゲーム終了となります。

↑トラック部分。ここを様々な手段で進んでいくのが目的。
 一見して普通の得点トラックっぽいですが、レースゲームらしいなかなか面白い仕掛けになっています。詳しくは後述。

 
 まずゲーム開始時、各プレイヤーには個人ボードと初期資源、そしてアクション用のキャラクターカードが6枚配られます。

↑個人ボード。貨物用置き場のボートと人員を置くボートが描かれている。

 各プレイヤーは手番が来たら、「キャラクターのアクションを使用する」または「村アクションに人コマを配置する」(どちらか必須)、「キャラクターカードを雇う」「キャンプを行う」の3つのアクションを好きな順番で行えます。

  • アクションに使用するキャラクターカードには、各キャラクターごとのアクションの他、パワー(1〜3まで)と各資源シンボル、キャラクター名(なんとすべてのキャラクター名が違います。初期手札ですら)などが書かれています。
  • キャラクターカードをアクションとして使用する場合、使用したいアクションを持つキャラクターカードを表向きに場に置き、さらにキャラクターに「パワー」を最低1つ以上与える必要があります。このパワーは複数与えることで複数回のアクションを行うことが出来、最大3パワーまで配置可能となっています。そして、パワーを与える場合、人コマをカードに配置する、あるいは手札のキャラクターカードを裏向きで配置し、そのキャラの「パワー」分をアクション用として使用することが出来ます。

 
↑アクションカードを使用しているところ。複数パワーを使用すると、複数回のアクションが行える。

  • キャラクターのアクションは主に「資源を獲得する」ものと「資源を消費してトラックを進める」ものがあります。
    • 資源を獲得する系のアクションは、現在自分の場に出ているキャラクターカードに描かれた資源のシンボルの数と、左右両隣のプレイヤーの場に出ているキャラクターカードの資源シンボルを確認し、その数だけ資源を獲得できる、という方式のカードが多く、左右のプレイヤーの動向や自分の場を整えつつアクションを行うことで少ないアクション数でも大量の資源を獲得できることがあります。ただしこのゲーム、後述しますが資源を残し過ぎると手痛いマイナスを受けることもあるため、最少の資源のみを獲得したほうが良い場合もあります。
    • 「資源を消費してトラックを進める」系のアクションでは、トラックの「川」部分を移動するアクションと「山」部分を移動するアクションがあります。川を進むアクションを何度行っても山岳地帯の前では止まらないといけなく、移動しにくいゲーム中盤の連続山岳地帯をどうやって踏破するかがこのゲームの移動アクションのキモですね。


↑ずらっと並んだキャラクターアクション。後半はこんな感じにかなりの数が並ぶことになる。

  • 「村アクションに人コマを配置する」アクションは、自分のボード上にいる人コマを一つ(「カヌー」と「馬」の生産は最大三つまで)、村ボードに描かれたアクションに配置し、そこのアクションを行うことが出来ます。ここはワーカープレスメント的に、すでにコマは配置されたアクションを行うことは(「カヌー」と「馬」の生産のみ例外)できません。


↑ここは追加ボード獲得のアクション。コマは一手番に一つしか配置できない。

  • 村アクションは、各種資源を得るほか、移動に使用する「カヌー」や「馬」を得ることが出来たり、追加ボードを獲得するといったアクションが出来る。ここに配置した人コマは消費してしまいますが、初期アクションカードの中にはここに置かれている人コマをすべて獲得する、といったものもあり、人コマはこのアクションでしかストックを増やすことはできません。
    • 村アクションの効果はキャラクターカードの効果に比べて弱く、一見してあまり旨みが無いように見えますが、人コマをここで消費することがのちに説明する「キャンプを行う」にて重要な意味を持っています。
  • 「キャラクターカードを雇う」は、場に並んだ5枚のキャラクターカードから一枚を「毛皮」「道具」の資源をコストとして支払って手札に加えます。このとき、「道具」はキャラクターのパワー分支払うのだが、「毛皮」はボードの右側にあるほど安くなっていく。どれかが買われていくほどに安くなっていく、というシステムになっています。
    • キャラクターのアクションはかなり千差万別ですが、結構強さにはばらつきがある感じで、任意の資源を獲得できるタイプのもの、村のアクションを任意で行えるもの、移動系カードなどが後半使える感じでした。
    • キャラクターのアクションで述べたとおり、キャラクターのパワーはアクションのパワーとして使用できるため、パワー3のキャラクターはたとえアクションが弱くとも、アクションを補助する手段として使えるため重要です。


 さてこのゲーム、実は移動カードを使っても進むのは「斥候」というコマだけで、「キャンプ地点」は移動しません。そのキャンプを移動させるには、自分の手番中に「キャンプを行う」アクションが必要となります。そしてこのアクションがこのゲーム最大のキモ。

  • このキャンプを行うことで、斥候コマの位置にキャンプを移動できるのですが、この時「ボード上に積まれていた余分な荷物」と「余分な人コマ」、「手札に残していたキャラクターカード」の分、余計な時間がかかり、その分斥候コマが戻されてしまうのです。これがかなりつらい、というか戻されずに進むのは多分無理です。進んだ歩数より戻されるなんてのもザラです。

 
↑個人ボードの荷物置き場と人コマ置場。「月」マークが描かれているところに荷物や人コマが置かれているとその分戻される。

    • 荷物は三個まで、人コマは一つまでしか余裕はありませんので、キャンプ時までになるべく「手札を使い切り」かつ「資源を消費する」必要があります。キャラクターアクションの上に置いた人コマは戻ってきてしまうので、余分なコマを獲得したら村アクションで消費するなどの対策も必要になるでしょう。計画性が何より大事という点はまさに探検隊。
  • そして、それまでに使用していたキャラクターカードはこの時手札に戻すことが出来ます。この方法でしかキャラクターカードは手札に戻らないため、キャラクターカードを使い切り、人コマもない場合強制的にキャンプを行う必要があります。
    • キャラクターアクションでは両隣のプレイしていたキャラカードを参照するものもあるので、他プレイヤーがどのタイミングでキャンプをするかを見極めるのも大切です。隣のプレイヤーがキャンプしたことで計画が狂うのはこのゲームでは良くある事w

 このキャンプ時に斥候コマが戻される、というルールがなかなかに秀逸で、このルールがあるためにまずプレイヤーはキャラクターカードを強化したり、拡張ボードを獲得したりしながら準備を整え、一気にある程度進んで行く、という傾向になるためゲームは後半になるに従い加速していきます。
 ジャンル的にはレースゲームですが、どちらかといえばデッキ構築に近い(キャラクターカードの組み合わせを考えたり)プレイ感覚ですね。結構プレイヤー間の絡みは直接的な攻撃こそないものの、アクションが両隣のシンボルを見るもの等、間接的にプレイに影響を受けることが多く、意外と他プレイヤーの動向にも影響されるので、デッキ構築にありがちなソロプレイ感も薄め。じっくりと準備と計画を練りながら、集めた資材や人員に任せて一気に斥候を進めていく様子は現実的な探検隊を思わせテーマ性もばっちりです

 ゲーム自身もそこまで長いゲームではなく(箱には人数×30分となっていますが実際にはもっと短い)、手番ごとに考えなければいけないことは多いながらもアクションの見通しはいいためサクサクプレイでき、テンポよく遊べます。これ、日本語版だしてくれないかな、と思うぐらいの傑作ですね。
 久しぶりにがっつり遊んだ感が味わえる良いゲームでした。