最近プレイしたゲーム(40):オリンポス

 記念すべき40回目のボードゲームレビュー。今回はちょっと前に購入制限していた「オリンポス」。

オリンポス(OLYMPOS) 多言語版

オリンポス(OLYMPOS) 多言語版

↑今回使用したのは他言語版。例のパッケージ裏が不安をあおるやつです。

 プレイヤーは地中海(ギリシャ)周辺に移住(侵略?)する部族となり、領土の拡大と文明を発展させてゆくのが目的のゲーム。
 ジャンル的には陣取り…になるんだろうか? さまざまなアクションを「時間」を消費して行っていくところがこのゲームのキモである。


↑オリンポスの舞台となる世界マップと、文明の発見タイル一覧。

  • まずゲーム開始時の準備として「発見」タイルを「発展ボード」上に並べます。この時の並べ方は「どの種類の発見タイルをどの横列に並べる」かは決まっていますが、「その横列のどこに配置するか」までは決まっていません。発展ボードには、発展ボード上の各マス目に置かれたタイルがどんな資源で作れるかが描かれているため、これにより「どの発見タイルがどの資源で作れるのか」が毎回異なる展開になります。
    • 発展ボードの一番下の列には「驚異の建造物」タイルを並べます。これも列のどこに置いてもかまいません。驚異の建造物のマスには資源が描かれていないのですが、どの列に置かれたかは後々重要な要素になってきます(後述)。
  • ゲームボード周辺の「時間トラック」の最初に、プレイヤーのマーカーを重ねて置きます。このときの置き方はプレイ順が先手番のプレイヤーが上となるように重ねていきます。


↑時間トラックにプレイヤーマーカーを並べたところ(初期位置がひとつずれているのはプレイ時のミス)

  • その後、ゲームボード上の領土に、それぞれ「資源マーカー」をセットする。このとき、プレイ人数によっていくつか使用しない領土をランダムに決める(4人だと8か所)。どの領土を使用しないかは、手番が最後のプレイヤー(時間トラックのマーカーが一番下のプレイヤー)が任意で決めてよい。
  • 最後に、初期開拓者トークン4つと、4種類ある資源コマのどれか一つを受け取ってからゲームスタートとなります。
    • この「開拓者トークン」は、開拓者として以外にも各種マーカーとして多用します。うっかりストックから直接ボードに配置してしまったり、あるいは手元の開拓者トークンを使ってしまったりすることがしょっちゅう発生します。かなり気を付けましょう(たぶんこのゲームで毎回かなりの発生するミスです)。

 以後、ゲームは時間トラックのマーカーが最後尾のプレイヤーが常に手番を行うようにプレイしていきます(このへんは「テーベ」とかで採用されているアレとほぼ同じです)。

  • 手番ごとにできることは大きく分けて「領土の拡張」と「発展」の二つ。このどちらかのアクションを手番ごとに行える。
  • 「領土の拡張」は、「新しく開拓者をゲームボードに配置」するか「ボード上の開拓者を移動させる」かのどちらかを選択できる。
    • 開拓者をボードに配置する場合は、ボードの北側に配置するか、すでに自分のマーカーが置かれている領土に配置する。こののち、必ずマーカーを移動させなくてはいけない。このアクションは時間を2P消費する。
    • 移動はボード上に置いたマーカーを好きなスペースにいくつでも移動させることができる。このとき、陸路であれば1つ領土を移動するのに時間1P、海路であれば時間2Pを消費する。
    • 移動したのち、止まった領土は支配したことになり、そこにある「資源トークン」を獲得することができる。このトークンはマーカーが土地を離れたら返却しなくてはならない。返却しなくてはならないことをかなり忘れがちなので気を付けるべし。


↑移住開始。はじめはボードの北側からしか入植できないが、支配したエリアからも入植を行うことが出来るようになる。

  • さらに、止まったマスがほかのプレイヤーの支配地だった場合(マーカーが止まっている場合)、戦争が発生する。ちょっと面白いのはこの戦争は「仕掛けた側が必ず勝つ」ということ。ただし、所有する「発見タイル」の剣マーカーの数で消費する時間が変動し、多い場合は時間1P、同点の場合は時間2P、少ない場合は時間3Pを強制的に消費されられることになる。
    • マップ上にはたまに「原住民」がいるマスがある。このマスに止まると「原住民との戦争」が発生します(原住民は剣マーカー=0としてカウントする)。このマスでは資源のほか、原住民チップを裏向きにした「星印トークン」も一緒にもらえます(誰かとの戦争に負けた場合は資源とこのトークンを一度に渡します)。このトークンは「驚異の建造物」の建築時に必要になります(後述)。
  • 「発展」は、発展ボード上にある発見タイル*1か驚異の建造物タイルの中から、条件のあったカードを獲得するアクションです。
  • 発見タイルを建設する場合、ボード上に描かれた「資源」を持っている必要があります。資源トークンはなくなりませんが、資源コマの場合は使い捨て。大体必要となる資源は2〜6個で、縦の列ごとに「メイン資源+何かの資源」といった組み合わせになっていることが多いです。
    • 発見タイルを獲得した場合、そのタイルが置かれていたマスの下にある「ボーナススペース」に自分のストックの開発者トークンを置きます(自分の所持している開拓者トークンを置かないように)。このとき、ボーナススペースに描かれたボーナスをタイルと一緒に受け取れます。
      • ボーナスにはさまざまなものがあります。序盤は「開拓者トークンをストックから一つもらう」あたりが重要ですが、後半は「砂時計トークンを貰う」や「勝利点を貰う」あたりが良く取られる展開になると思われます。


↑建物を建てた場合、その建物のボーナス欄に自分のトークンを置き(左図)、タイルを獲得する(右図)。

  • 驚異の建造物タイルを建てる場合、タイルに描かれた「星印」マークの数だけ、星印が必要となります。これは原住民との戦争で手に入る星印トークンや、発見タイルに描かれた星印などを参照して判定します。
    • ただし、実際にはこれだけで建てるのはほとんど無理(星印マークがかなり多め)です。そのため、「驚異の建造物がある縦の列に置かれた自分の開拓者トークンの数(獲得した発見タイルの数)だけ、必要な星印を減らすことが出来る」というボーナスを利用していくことになります。
    • 発見タイル、驚異の建造物タイルともにどちらを取った場合でも、時間7Pを消費します。
  • 時間トラックにはところどころにゼウスの顔が描かれたマスがあり、ここを通り過ぎた場合「運命カード」を引きます。これは自分の手番中であればいつでも使えるカードで、特定の資源トークンの数だけ得点や砂時計トークンを得たり、資源コマを獲得したりできる。
  • さらに「そのゼウスマスをはじめてプレイヤーが通り過ぎた」場合は、オリンポスカードを引いて公開する。このカードは「もっとも稲妻マークを持っていないorもっとも持っているプレイヤーに対し、何らかの効果を発揮する」カードで、50%の確率で良い効果と悪い効果が発動する。
    • 「稲妻マーク」は、特定の土地(オリンポス地方)を支配すると得られるほか、発見タイルの中にこれが得られるタイルがいくつか存在する。
    • オリンポスカードの中には「海が移動できなくなる」「手札の運命カードをすべて捨てる」だのかなりひどい効果を持った、戦略が破たんしかねないものがある。このオリンポスカードを巡って稲妻マークをどれぐらい獲得しておくか、はこのゲームの重要な駆け引き要素。


↑トラックマーカーに描かれたゼウスの顔(左図)を通ったら運命カードやオリンポスカードを引く(右図)。

 こうしてアクションを行っていき、時間トラックの最後のゼウスマスを通り過ぎたらそのプレイヤーの最終ターン開始となり、最後の一手番を行う(行わなくても良い)。

    • この最終ターン部分は得点が設定されていて、時間を消費しなければ高い点が取れるようになっている。ある程度点数が減ることを覚悟して最終手番を行うかどうか、の選択を行うことになる。
  • 全プレイヤーが最終ターンを終了したらゲーム終了となり、得点計算となる。
    • 得点方法はかなり多岐にわたり、「支配地の数」、「発見タイルの数+ボーナス」、「驚異の建造物の得点」、「得点チップの得点」、「最終ターンボーナス」、「運命カードの手札枚数」などがあり、これらの合計点で競う。


↑最終形態。ほぼマップ全域に版図が広がっている。驚異の建造物も建てきり。

 ゲーム開始前は「陣取り風のゲームなのかな?」と考えていましたが、実際にプレイしてみると「時間や資源といったリソースをマネジメントする」といった趣が強い印象のボードゲーム。領土の奪い合いに発見タイルの取り合い、戦争のルールととかくほかプレイヤーとの絡みもかなり強く出ているのが特徴的。

  • 基本的に戦争は「損」です。戦争を仕掛けた、仕掛けられたプレイヤーともども消耗するため(仕掛けた側は時間を、仕掛けられた側は資源を)、相対的に「戦争に関係ないプレイヤー」が有利になります。ただ、盤面はおもったより狭く、建設したいが資源が足りない、などの場面は日常茶飯事。どこで戦争を仕掛けるか、タイミングが重要になります。
  • 発見タイルの数も少なく、4人プレイだと同じタイルは最大2枚まで、驚異の建造物はかならず1種1枚しかないため、プレイ順をうまく調整してほかプレイヤーに先んじて必要なタイルを獲得していかなければなりません。

 ちょこっと気になった点は「トラックマーカーも盤上に配置するプレイヤーマーカーも、建設した建物を示す建設マーカーも全部共通」という点。このせいか、特にプレイヤーマーカーが増える建物を建てた際に、建物マーカーを置いただけでプレイヤーマーカーを取り忘れることが多かった(どうもマーカーを置く際に、つい取った気になってしまうらしい)。せめて建物マーカーは違う形のマーカーにしてほしかった。
 あと、時間トラックを進めて最も遅れているプレイヤーが手番というルールと、時間を進めずにプレイできる「砂時計」の存在があるため、後半で手を進めすぎるとしばらく何もできない状態が続くときがある。これはまぁ、ゲームルール的には回避できないので仕方ないかもしれないが。実際にあまり先に進めているようでは勝てないから、そこはバランス感覚の問題かも。
 
 ルールそのものは一見複雑そうでいて、一度プレイするとすんなりわかるレベル。手番にできるアクションは二種類ながらいろいろな手が考えられ、得点手段の多さから様々な勝ち筋がある点など、非常にゲーマーゲームとしてよくできています(逆にボードゲーム慣れしていないと敷居が高いですが)。
 プレイ時間はそこそこ長め(1時間半ぐらい)ですが、いろんなボドゲ会に持って行っては必ず一回はプレイするぐらいに、最近遊んだゲームの中ではお気に入りのゲームです。本格ゲームの入口あたりとしてもぴったりな作品ではないでしょうか。

*1:そういえばなんで「発見タイル」なのにそれを置くボードが「発展ボード」って名前なんだろ? 謎だ。