今回のボードゲームレビューはいつぞやの「青春斗」以来の中華系(台湾)ゲームである「ランブルの森」(轟隆の森)。
制作は先日のゲームマーケットでも大きいブースで出店していた「台湾ボードゲームデザイン」のひとつ「エロススタジオ」。大変可愛らしいパッケージデザインがひときわ目を引きます。しかし「エロススタジオ」って名前スゲェなw
- なお、今回のボードゲームレビューはゲームの現物がないうえ、ルールが記憶頼みのため結構あやふやですw 間違っていたら指摘お願いいたします。
↑さすがにAmazonにさえも商品がなかったのでパッケージ写真。日本人には馴染み深いデフォルメ効いたデザインです。
↓こちらは台湾ボードゲームデザインの中の紹介ページ。なんかどのスタジオも日本語名おかしい気がします。<エロススタジオ 紹介ページ>
http://tw-bg.blogspot.tw/2013/09/eros.html
さて、いきなりだがこのゲームの最大の問題点から。「マニュアルの日本語の記述が間違いすぎ」。とにかくこれにつきます。このゲーム、プレイ時間よりルール確認時間の方がかかったよw
- 正直なところ、これ日本語をよくわからない学生が中国語を機械翻訳に掛けただけ、というレベルで、訳し忘れ(中国語ママの文章)が混ざっていたり、逆に記述ミスがあったり(「川トークン」の数が書かれていないとか)といろいろやらかしてくれてますが、最大の問題が「重要ルールが日本語ルールに記述されていない」事。中国語版ルールやサマリーには記述しているのでただのミスだと思うが、あるとないとでは大違いのルールなだけに、このミスはかなり痛い。頑張って無理やり訳しながら遊んだよw 今回のレビューではなるべくこの時わかったことも追記していきます。
- なお、サマリータイルがあるが、タイルのタイトルは日本語なのに文章は全部中国語というのはなんかの嫌がらせかw
↑「簡単なヒント」部分のみ日本語という意味のわからんサマリータイル。どないせいと?
さて、このゲームを簡単に説明すると「プエルトリコ」風の拡大生産型開拓ゲームです。
毎ラウンド、各プレイヤーは場に並ぶ各役割をひとつずつ選択し、その能力を使ってランブルの森を開拓していくことがゲームの主目的となります。
↑役割カードは全部森に住む動物、ということになっている。一匹ちょっとおかしな奴もいるけどw
まずゲーム開始時点で、各プレイヤーには「助手」(ワーカー)タイルを二つ、「畑タイル」2つに「川トークン」1つ、「食料トークン」4つ分に「金トークン」1つを受け取ります。
↑こちらがゲームスタート時の初期資源+ワーカー(助手)タイル。
各プレイヤーターンは全部で4つのフェイズからなり、これを順番に行動していきます。
まず最初のフェイズは「活性化フェイズ」。各プレイヤーは自分の使用済み助手タイルを「活性化」(使用可能状態)させます。一匹だけならタダで活性化できますが、二匹目以降を活性化する場合は食料を1払う必要があります。
↑左が活性化状態(アクションに使用できる)、右が消耗状態(睡眠?)。いちいちイラストが可愛らしいw
- なお、ルールブックを(中国語版のほうも含めて)読んだのですが、このときの活性化が強制なのか任意なのかよく分かりませんでした。とりあえずこの時のプレイでは任意でプレイしましたが、実際どうなんでしょ?
- また、「店員」を雇っている場合、このタイミングで食料または金トークンを1つ売ることができます(日本語ルールには「販売」と書いていてわかりにくいですが、多分店員が売ってくれているのだと思う)。ここで販売したトークンによってゲーム終了時ボーナス点が得られるので、うまくタイミングを見計らって売っていきたいところ(実際、このゲームではこのボーナス点がかなり大きいです)。
そして、次のフェイズは「行動フェイズ」。このとき「行動タイル」(動物タイル?)を一枚選択し、そのタイルのアクションを行っていきます。アクション時は助手を最低1体〜最大6体まで使用し、アクションの効果を高めることができます。
↑「虎」(食料を得る)と「アライグマ」(金を得る)。
↑こちらが「食料」チップと「金」コマ。どうやら台湾でも猫の食べ物は魚というイメージらしいw
-
- 基本的にこのゲームのアクションは助手をつぎ込んだ分だけ効果が得られるようになっているが、「虎」だけは多く助手を使うごとに、一体ごとの効率が高まるようになっている(助手1匹だと食料2、2匹だと食料5・・・といった具合)。なるべくならば一度に多く助手を使いたいアクション。
- そして開拓系アクションである「牛」(畑を得る)と「ビーバー」(川を得る)。
- どうでもいいが、「ビーバー」のイラストがどう見ても海なんだが(ビーバーは川に住むので海にはいない)どういうことだw
↑「牛」(畑を得る)と「ビーバー」(川を得る)。この二つはこのゲームで最重要の要素。
-
- このゲーム、プレイヤーターンの終了時、助手・店員の数の分だけ食料を支払う必要があるのだが、このとき「川に隣接している畑」の分だけ食料の支払いを減らすことができる。ゲーム終了時の得点にもなるので、なるべく積極的にこの二つは揃えていきたい(特に「店員」を雇う場合、重要になります)。
↑畑と川を配置したところ。川に隣接した畑の分だけ食料が浮く(後述)のでかなり重要な要素。
- 最後がワーカーを増やす「猿」(助手/店員を金で雇う)。
↑「猿」(助手/店員を金で雇う)。ワーカーの数を増やすことは重要だが、食料問題が常につきまとう。
-
- アクション時、金トークンを支払うことで助手または店員を雇うことができる。助手はワーカーとして使用できるが、店員の場合ワーカーとしては使用できず、それでいてターンごとの食料支払いは要求されてしまう。最終的なボーナス点を考えると、ひとりも雇わずに勝つのは難しいので、どのタイミングで雇っていくかは悩ましい。
↑「助手」と「店員」。店員の場合、店舗マーカーをタイルの上に置き、ワーカーとしては使用できなくなる。
ターンプレイヤーの「行動フェイズ」が終わると次は「制限フェイズ」。ターンプレイヤーが選択したアクションに対し、それ以外のプレイヤーが制限アクションを行うかどうかのフェイズとなります。
- 制限フェイズを行う場合、自分の助手を1つだけ使用しアクションを行います。1つしか使えない、という点がポイントで、「虎」のように数を使わないといけないアクションの場合効果が薄いのですが、「ビーバー」などは1つでもあると大分違うので積極的に狙う価値があります。
- そして制限フェイズを行わないことを選択した場合、かわりに助手タイルを一つ「活性化」させることができます。このルールがなかなかパンチが効いていて、この活性化をうまく使うことが勝負の分かれ目。
そしてターンの最後が「食料供給フェイズ」。ここでは自分が雇っている助手または店員1匹につき2食料を支払う必要があります。
- 前述のとおり、「川に隣接した畑」の数だけここで支払わなければならない食料の数が減少します。このゲームとにかく食糧事情が厳し目で、助手や店員を増やし、維持していくのはかなり難しいです。まず畑と川を増やし、それから助手や店員を増やしていくのが理想的展開かな。
- ここで食料を支払えない場合、払えなかった食料1つごとにマイナス3点のチップを受け取ることになります。
↑食料が払えない場合、マイナスチップをもらう。でも「3分」ってなんだ?
-
- さて、最初に「日本語ルールに記載されていないルールがある」と言いましたが、それがこのフェイズで行うことのできる助手・店員の「解雇」アクションです。食料支払い後、自分が持っている助手・店員タイルを任意の数だけ捨てることで、食料3つに変換できます。食料厳し目のこのゲームで、次ターン以降維持できそうにない助手を切り捨てたうえで食料を得られるこのルールは結構重要。なんでこれを忘れたんだw
この順番で各プレイヤーのターンを行い、一周したら役割の動物カードを場に戻し、スタートプレイヤーを次のプレイヤーに渡して新しいターンを開始していく。
- 役割(動物)は5枚あるため、最低1つは取られない役割がある。取られなかった役割には食料1を置く。この食料はこの役割を選んだプレイヤーがもらえる。
ゲーム終了条件は3つ。「ストックの助手タイルがなくなる」「ストックの畑タイルがなくなる」「ストックの川トークンがなくなる」のどれかが満たされたターンで終了。その時点で最も点数の高いプレイヤーが勝者となります。
- 得点計算では「店員タイルの数」(3点)、「川に隣接した畑」(1本の川に隣接していると1点、2本以上の皮に隣接していると2点)、「販売した商品」(食料2点、金3点)、「手持ちの食料・金」(食料1/2点、金1点)、「マイナストークン」(-3点)などの得点を合計します。
ゲームそのものはかなりキッチリできた拡大再生産タイプのゲーム。役割こそ少ないものの、食料がカツカツなプレイになりがちなこともあって、他人のプレイヤーにいかに便乗するか、どのタイミングで店員を獲得するかなどかなり考えるところは多いです。
イラストの可愛らしさに反してかなりのゲーマーゲーム。それでいて割とプレイ時間そのものは短め(1時間かからないぐらい)できっちり終わるバランス。イラストやコンポーネントの質も高く、それでいて結構安い(2800円)。台湾ゲーム侮りがたし。
- ホント、出来が良いだけに日本語マニュアルの出来だけが非常に残念です。ぜひ次回まで日本語マニュアル修正版を出していただきたいですね。ただ助手(ワーカー)タイルに書かれたイラストの元になった猫たちがマニュアルに載っているのはちょっと良かったw