最近プレイしたゲーム(75):ウォルナットグローブ開拓史

 前回三ヶ月も空いたかと思えば、今回は二週間ほどで更新となる気まぐれボードゲームレビュー。
 今回は先日のボードゲームフリーマーケットで購入した「ウォルナットグローブ開拓史」。

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↑珍しくAmazonに写真がなかったので楽天のやつを。

 内容は平たく言うと「拡大生産型ワーカープレスメント」という分かり易い(ありがちな)ゲーム。
 これまでにも様々なゲームで採用されてきた信頼あるゲームシステムですが、それだけに差別化が難しいジャンルでもあります。そしてこのゲームは、従来のワーカープレス面とに比べ、かなり「軽い」プレイ感でありながら、常に食料や燃料といったリソース供給に追われる「重さ」も兼ね備えた不思議なゲーム感覚となっているのが特徴といえます。


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 ゲームが始まったら、まず各個人ボードとそれについてくる「労働者」を受け取ります。

↑個人ボード。ボード上部の「土地」と最初にもらう「労働者」コマの種類は各人異なる。
 この個人ボード(農場)を拡張していくのがまず基本的な目的となります。個人ボードは二種類あり、どちらを貰うかはランダムとなっています。このボードの大きな違いは、農場に拡張できる「土地」の違い(ボード上部)と、最初にもらう「労働者」コマの種類が異なります。

↑追加の労働者コマ(小作人)は三種類。どの労働者コマを増やしていくかが重要となります。

  • 労働者コマは各人共通の「黒」の労働者(農場主)のほか、「青」「黄」「白」の三色の労働者があります。それぞれの違いは「食料とする資源が異なる」点。黒コマは食料はいらないのですが、それ以外のコマは食料供給を行う必要があり、どの方向に農場を伸ばすかで使いやすい労働者が異なってきます。
    • ちなみに初期に配られる労働者は「青」か「黄」のどちらか。この二つの労働者に比べ「白」コマの食料はちょっと出しにくくなっている(詳細は後述)。

 ゲームは、わかりやすく言うと1年=1ターンとし、季節(フェイズ)ごとにそれぞれのアクションを行っていきます。
 そのターン中の各フェイズにどのような手順でアクションを行うかは、ボード中央の年ディスクの表示に従って判断します。

↑年ディスク。この年(ターン)に起こるイベント内容が記されています。

 「春フェイズ」は土地開拓を行います。
 各プレイヤーは袋の中に入っている土地タイルを決められた枚数だけ引き、配置していきます。

  • タイルを引く枚数は大体2〜4枚で、そこから配置するのは大体1枚(まれに2枚)となっています。何枚引いて何枚配置するかは年ディスクの春フェイズの表示に従います。


↑「春フェイズ」にめくった土地タイル。土地を囲める柵付きのタイルをうまく回収したい。

  • 引いたタイルは自分の農場ボードにくっつけるように配置していきます。隣接したボード上の地形の色(鉱山、小麦畑、漁場、森、牧場)と違っていても問題はないが、後の資源獲得時のことを考え、なるべく同じ色の土地がくっつくように配置していくのが良い。
  • また、土地によっては柵(黒い線)で囲われた地形もあり、これで土地をうまく囲うことができればゲーム終了時にボーナス点となる。余裕があったら狙いたい。

 
 「夏フェイズ」は収穫を行います。
 各プレイヤーは自分の労働者コマを各地形上に配置することで、その土地から獲得できる資源(石、麦、魚、木、乳製品)を獲得できます。

↑置いた土地タイルに労働者を配置し、資源を獲得する「夏フェイズ」。

  • 労働者を配置した際に獲得できる資源は、配置した地形が連続しているタイル分となります。例えば、黄色(小麦畑)が3タイルに渡ってつながっているところに労働者を配置した場合、3つの小麦トークンを獲得できるわけです。
    • さらに年ディスクの「夏フェイズ」に描かれている資源はその年に限り+1個多く獲得できます。
  • こうして獲得した資源トークンは、労働者の配置を行った地形に描かれた貯蔵スペース(□のマス目)の上に配置していきます。配置できない分は自分の農場ボードにある「納屋」に格納することになりますが、納屋の資源スペースは4つしかなく(追加で2マス×2軒まで増やせる)、しかもこの納屋は「お金」トークンを置く場所としても使うため、常にスペースはカツカツになりがち。どこにも置けなかった資源トークンは消滅してしまうため、無駄のないように資源生産を試みましょう。


↑土地に置ききれない場合は「納屋」に格納する。でも「お金」を置くのにも使う。

 「秋フェイズ」は商売を行います。
 各プレイヤーは中央ボード上の自コマを任意のマスだけ進め、その場所ごとのアクションを行うことができます。基本的には「資源トークン」を支払い、何らかの見返りを得ることになります。
 
↑コマを進めて新たな労働者を雇ったり、建物を立てたりする「秋フェイズ」。他プレイヤーと絡むのは実質ここだけ。

  • このコマを動かす順番は、秋フェイズ開始時にボードの「市役所」の位置から時計回りに一番遠いプレイヤーから開始します。その後、時計回りに任意のマス目移動できます。
    • どれだけ進めてもよいのですが、他プレイヤーがいるマスには止まることができず、かつボード上の二箇所にある「市役所」「教会バザー」前を通過する際はコストとしてお金を支払う必要があるため、あまりむやみに進むことは得策とは言えません。
  • ボードの各所で購入できるものには「労働者」「建物」「改良」などがある。ほか、資源を販売してお金を得るや、任意の資源を2つもらう、といったアクションもある。
    • 「建物」は資源を格納できる「納屋」と、労働者を住まわせる「小屋」がある。小屋があれば冬フェイズの「資源支払い」の際、燃料消費を抑えることができる。このゲームにおいて燃料消費を抑えることは重要なので、出来れば早めに建設しておきたい。


↑「小屋」を立てておくと「冬フェイズ」での燃料消費が減る。早めに建てておきたい。

    • 「改良」は最終的な得点計算に関係のあるカード。一人につき3つまで建設できる。「建物」「改良」はそれぞれボード上に置かれたもののみで補充されないため、後半はいかに「改良」を先んじて獲得していくかが重要となります。
    • 資源の売買はボード上に三箇所あり、それぞれの場所で販売可能な資源は異なります。年ディスクの「秋フェイズ」に描かれた資源は売買時獲得するお金が+1されます。獲得したお金は任意の資源として使えるほか、ゲーム終了時に得点として計算されます。面白いのが、お金獲得時には袋からランダムに引くため、得られる得点は0〜2点と結構上下します(資源として使う際はどの場合も同じ)。

 「冬フェイズ」は越冬を行います。
 各プレイヤーは黒以外の労働者コマの分だけ「食料」と「燃料」を支払います。

  • 各労働者のコマが食料として消費するのは、その労働者コマの色のものになります(青いコマなら、青い資源トークンである「魚」を食料とします)。また「小屋」に住んでいない労働者の数だけ燃料となる「木材」を支払う必要があります。
  • 年ディスクの「冬フェイズ」に描かれている労働者コマはその年に限り食料を二倍支払う必要があり、また追加で燃料の支払いを求められることがあります。この支払いがかなり厳しく、ゲーム後半ともなれば複数の労働者の食料が二倍になるなど、支払いが増加していきます。
  • どうしても食料や燃料を支払えない場合、「隣人の助け」タイルを受け取ります。このタイルはひとつごとに‐2点となってしまい、返すためには資源トークンを3つも費やさなければなりません。このゲームにおいて2点は結構大きな点なので、以下にこのタイルを受け取らないようにするかがゲームのポイントとなります。


↑食料、燃料を支払えない場合には物乞いをして「隣人の助け」をもらうことに。

 以上が1年(1ターン)の流れとなり、8年(8ターン)を行って得点計算となります。

  • 得点計算は「労働者の数」(1コマ2点)+「柵で囲んだ地形」(1つ1点)+「建物の数」(1つ1点)+「お金」(0〜2点)+「改良のボーナス点」(まちまち)‐「隣人の助け」タイル(1つ‐2点)の合計で競います。ロースコア気味の勝負となりやすく、1点2点の差が結構重要。

 
 フェイズごとに行うアクションは非常にシンプルで、見た目の割りに進行は非常にスピーディ。大体インスト込みで1時間程度。慣れればぐっと早く30分程度で終わるでしょう。それだけの短い時間のあいだに「タイル配置」「リソースマネジメントと拡大再生産」、「ワーカプレスメント」と複数の要素がギュッと詰めまれています。 
 見た目や手触り的には「アグリコラ」などにも似ていますが、このシンプルさ、遊びやすさからより初心者向けのゲームといえます。
 難点といえば、プレイヤー同士の絡みがかなり薄く(ほぼ「秋フェイズ」のみ。ほかのフェイズは同時進行)、ちょっとソロプレイ感があるところですが、そのインタラクト性の薄さがプレイ感の軽さに繋がっているので、痛し痒しかな。

 とはいえ、最近遊んだ中では結構お気に入りかな。遊びやすいので、今後はいろんなところに持っていて何度かプレイしてみたいところです。