最近プレイしたゲーム(57):バッドモーテル

 今回のボードゲームレビューは、ゲームマーケット大阪で発売されていた同人ボードゲーム「バッドモーテル」。
 つい先日の全ファミでもやたら人気があったコイツをさっそくレビューだ。

↑いかにも手作り感あふれるパッケージ。同人ゲームらしさが好感度高いです。

 殺人鬼がうろつくモーテル(かどうか不明。ここなぜか牢屋ある謎施設だし…)に閉じ込められた4人のキャラクターを動かし、「協力」して発見した出口から「抜け駆け」して脱出するのがゲームの目的である。

  • まず、ゲームボード上の各部屋にアイテムタイルを裏返しに配置し、各キャラクターのコマと殺人鬼コマを所定の位置に配置する。
    • この時は完全ランダムで配置したが、のちに説明する「シークレットタイル」を金庫に入れるルールもある。このルールにすると、特定のアイテムを集めてから金庫を開けるという手間が必要なため、より難易度がアップする。

 
↑ボード全体図。このボード上の全部屋にチットを配置する。

  • そしてプレイヤーは全員、自分のキャラカードを引く。このカードはゲーム終了まで非公開であり、最終的にこのカードのキャラクターを、発見された出口から脱出させることが目的となる。
    • 各キャラクターのステータスや持っているアイテムなどはボード中央に表示される。

 
↑最初にキャラクターカードを一枚引く。各キャラのステータスやアイテムは、ボード中央に表示される。

  • 各プレイヤーはこのほかに3枚の移動カードを受け取ってゲームスタートとなる。


↑移動カード。1〜4までのカードがある。

  • まずゲーム進行はプレイヤーが全員一斉に移動カードを公開し、そのカードに書かれたキャラクターを数字分移動させる。ただし、数字がほかのプレイヤーとバッティングしていた場合、移動させることが出来ない。
    • このカードに書かれたキャラクターを動かす、という点がポイントで必ずしも自分のキャラクターでなくとも移動させることが出来る。むしろ自分のキャラクターがばれないよう、序盤はバラバラのキャラを移動させるのが鉄則。
    • とはいえ、カードは1〜4までしかないため、かなりの頻度でバッティングする(4は1枚しかないので、実質1〜3)。ただし、バッティング時にそのカードに書かれたキャラクターが「気絶」状態の場合はライフ1回復する効果があるため、ときにはバッティングを狙う必要もある。


↑マップに書かれた白矢印に沿って移動する。

  • キャラクターの移動は、マップに書かれた白矢印の方向(基本的に時計回り)にしか進めず、逆方向には移動できない。ところどころ分岐があるが、基本的には一方向にのみ進むのみ。
  • 移動終了時、その部屋にアイテムタイルがあった場合はそれをめくり、「アイテム」や「武器」であった場合は普通に獲得できるが、たまに「罠イベント」なタイルも交じっているので油断できない。


↑罠の例。これをめくってしまうと殺人鬼がそのターンは二回移動する。

  • めくったタイルが「シークレットタイル」だった場合、ボード中央のシークレットタイル置き場に置く。シークレットタイルが全部そろうとその時点で出口が判明し、脱出可能となる。
    • シークレットタイルは「A」「B」「C」の3種類あり、「このモーテルの」「出口は」「XXだ」のように最終的に文章となる。この発想は面白い。

 
↑だんだん揃っていくシークレットタイル。3種類揃ったら脱出口が判明する。

    • ただし、シークレットタイルがめくられるごとに殺人鬼の攻撃力が1ずつ増加していき、最終的にはライフMAXでも一撃死するようになる。あまり順調に獲得出来過ぎると難しくなる、なかなか面白いバランスになっている。
    • また、シークレットタイルの「C」だけ3つあり、新しい「C」タイルがめくられると前のタイルが上書きされる。このため、せっかく出口近くまで移動したのに遠く離れた場所が出口に代わってしまうことがままあるw
  • プレイヤー全員が移動し終わったら、殺人鬼コマが移動する。殺人鬼コマはサイコロを振った目だけ移動する。
    • プレイヤーは最大3マスしか移動できないのに、殺人鬼は期待値3移動してくるという理不尽さ。この辺がホラーにありがちな殺人鬼っぽさかもしれない。


↑殺人鬼コマ。プレイヤーコマとは比べ物にならない速度で移動してくる。

    • 殺人鬼はマップ上の灰色の矢印に沿って移動してくる。そのため、マップのところどころには殺人鬼が入ってこない安全地帯のような部屋が存在する。ただしたいてい一人しか入れない(あとから人が入ってくると追い出される)ので、入るタイミングは重要。


↑殺人鬼が移動してこない安全地帯(青い部屋のところ)。ただし定員一名ナリ。

  • 殺人鬼と同じマスに止まってしまった場合、殺人鬼の攻撃力分ダメージを食らう。
    • ライフが0になったらそのキャラクターは気絶状態となる。4人同時に気絶してしまったらプレイヤー全員が敗北となる。
    • 気絶状態は、移動カードのバッティングで回復する。ただライフ1なのですぐに気絶しやすいが。

 このターンを繰り返していき、誰かが出口から脱出したところでゲーム終了。そのプレイヤーの勝利となる。
 面白いのが、出口発見までのプロセスと、出口が判明してから脱出するまでのプロセス。4人全員気絶で敗北となるため、出口が判明するまでは各プレイヤー間で協力するくせに、いざ出口が分かったらどうやって他プレイヤーを出し抜いて脱出するか、という流れになるのだw
 この前半後半の落差が面白く、最後は登場人物全員がエゴ剥き出しになる殺人鬼ホラーものっぽい展開になるところはゲームデザインの勝利だと思う。殺人鬼が高性能なため、全員敗北も多いが、ルールの明快さや1プレイの短さから手軽に繰り返しプレイできるところも魅力的。

 ただ、ゲームバランス的に気になったのは、最終的にライフゲージが意味をなさないこと。というのも、シークレットタイルがめくられるごとに攻撃力がUPするのだが、それに対し防御手段や回復手段の能力が弱いため、終盤ではライフ1→殺人鬼に出会って即気絶→ライフ1で蘇生→気絶…というループ状態になりやすい。
 また、カードが異常に「バッティング」しやすい構造になっているため、運が悪いとさっぱり何もできなくなることがある。一度だけだが「ゲーム終了まで移動できた回数が1回だけ、あと全部バッティング」という事態になったことがある。流石にここまでひどいのは滅多にないけど…。
 バッティングによりキャラを蘇生させる、というシステムがあるせいかもしれないが、さすがに誰でも進められる代わりに蘇生しない【1】のカードだけはバッティングなしでもよかったんじゃ…。まぁ、この大雑把さも味と言えば味だけど。

 なんにせよ同人ゲームとしてはなかなかの力作。これ春のゲームマーケットでも発売されるのかな? 発売されてたらちょっと欲しい。