Switch版「未然探偵 The Protea Cases」レビュー

 本日のゲームレビューは「未然探偵 The Protea Cases」。

 過去にレビューした「ゴシックマーダー」や「少女首領の推理領域」と同じorange開発のロマンティック・ミステリーシリーズの一本です。なんだかんだで毎回プレイしてますねこのシリーズ。

 

 今回のイラストレーターは「漣ミサ」氏。なんかライトノベルの挿絵でちょいちょい見る方ですね。

 

 本作は近未来(2023年だからマジで近い)の日本が舞台。探偵見習が様々な事件を推理していくという、これまでのシリーズでも一番ミステリーものっぽいシナリオです。

 

 主人公の伊月千春。過去に誘拐事件に巻き込まれたことがあり、そのトラウマからか今一つ自信が持てない眼鏡っ子。ただ、ロマンティック・ミステリーシリーズらしく推理力は高いし、土壇場での度胸も凄いタイプ。

 

 そんな彼女がひょんなことから警察が開発中の犯罪予測AI「プロテア」を入手したことから、それにまつわる様々な事件に関わっていくというストーリーとなります。

  • プレイ前はよくある未来予測できるチートなアプリかと思っていましたが、実態はそうファンタジーな存在ではないというか、あくまでいろいろな情報を集めて予測しているため情報が無いと予測できない部分があったり、個人情報保護のため一部機能の制限がされていたりと、割とリアルなライン。マジで数年後だと実現できそうな技術ですね。

 

 本作の登場人物(兼ヒロイン)となる、探偵事務所所長の高瀬秋彦(画面中央)と、新宿中央署の刑事である天野夏樹(画面右)。

  • 元刑事でクールかつ大人な秋彦と、その後輩で熱血漢、若さ溢れる夏樹という分かりやすいキャラ。このロマンティック・ミステリーシリーズはキャラが分かりやすくて助かるw

 そして当初は謎の人物として登場する八神冬真。ミステリアスな雰囲気をまとっていて如何にも裏切りそうな見た目だが、ストーリーが進んでいくと中々あざといキャラをしていることが分かってくる。

 

 ミステリー部分はいつも通り、アドベンチャーパートと探索パートで証拠を集め、それらを使った推理パートがあるという構成。三作目ともなるともう安定感さえ感じますね。

  • 推理パートの難易度が微妙に高いのも割といつも通り。特にチャプター3の推理パートは苦戦した。

 ストーリーは、新宿に起こる様々な事件を通して、推理AIプロテア開発の謎に、主人公の失われた過去が絡んでくるという中々凝った構成。純粋にライトなミステリーとして良く出来ており、雰囲気とか含めてシリーズで一番好きかも。

  • 犯罪予測AIという、かなり便利なギミックが登場していながらそれに頼り切りではなく、ちゃんと登場人物たちが自分たちで行動して犯罪を阻止していくところは良かった。
  • 「未然探偵」なのにあんまり事件を未然に防いではいないところはツッコミどころかもw ロマンティック・ミステリーシリーズのお約束で、本作も5章構成なのですが、この舞台設定ならもう少しいろいろな事件を解決する展開も見たかったですね。
  • 今回も夏樹、秋彦、冬真それぞれに個別EDあり(Chapter4の頭からやり直して全キャラのEDが見れることを確認)。なんというかミステリー寄りの話なのであまりロマンス要素は多くないですが、冬真エンディングは「これからもミステリーは続いていく」という感じで結構好き。というかこのエンディングからそのまま続編とか作れるんじゃないかなw

 大体プレイ時間は2~3時間程度。小粒なミステリーとして今回も結構完成度が高い。これまた次回作もの楽しみですね。