漫画レビュー「エンバンメイズ」

 最近は仕事が忙しすぎての気力不足からゲームもそれほどしていないし、更新できるネタが欲しいので、何となく家にあった漫画をレビューしていく。

  • とりあえず、方針としては「完結している」「そんなに長くない」あたりを軸に紹介していく感じで。マジで気まぐれ更新なのでさくっと無視する可能性もあるけど。

 というわけで今回は「エンバンメイズ」 (全6巻)。結構珍しい「ダーツ」漫画である。とはいえ、まっとうなダーツを扱ったわけではなく、イカれたルールで結構気軽に死人が出ていくギャンブル漫画の方が近い感じ。「嘘喰い」のフォロワーというのが一番分かりやすいかも。

 さて、世にスポーツ漫画は数ありますが、その中でも漫画にしづらいジャンルというものがあります。特に個人的に「ボーリング」と「ダーツ」あたりはこの「漫画化しづらい」の筆頭じゃないかと(勝手に)思っております。大きく分けて理由は2つで、「対戦相手同士がお互いに干渉しないこと(コンタクトがない)」と「得点に上限があること(満点以上にできない)」。特に後者は致命的で、これのせいで漫画的にどうしても上限が決まってしまいます。

 ではこの漫画というと、初戦でいきなりそこをぶっちぎってきますw

 最初のかませみたいなやつでさえ、999回連続で180点(ダーツの最大得点)を出してくるというイカれた強さです。というかこの漫画の登場人物は「必ず狙ったところに当てられる」能力はデフォルトのため、ぶっちゃけダーツのしての技量を競うことは(ごく一部を除いて)ありませんw 天井があるのに実力がインフレし過ぎてカンストしてしまっています。

 ではこのゲームでは何が勝敗を分けるかといえば、「いかに相手の心を折るか」「提示されたルールの裏をどうやってとるか」という心理戦。「毒ガスが散布される部屋での勝負」とか「1000台の的を迷路を抜けながら早く打ち抜く」だのといったもはやダーツ以外の部分での勝負となってきます。ここのやり取りといい、勝負が決まった時の敵の絶望顔のバリエーションョンや主人公の決めセリフといい、マジで「嘘喰い」を丁寧にオマージュしてますね。それでいてオリジナルな面白さもたっぷりと、理想的な本歌取といえる作品に仕上がっています。

  • この漫画でくそシュールなのが主人公たちの勝負は「賭けダーツ」という体なので観客が常にいるのですが、勝負が決まるまで平気で10時間かぐらい掛かったりするところ。君たちずっと見ているの?w
  • 個人的に一番好きなのが3巻のタッグバトル編。パーフェクトが取れる主人公&敵タッグの中に、相棒としてド素人の主人公の友人(この賭けダーツの胴元でヤクザの若頭)が加わった、「狼の中に羊が一匹」という状況でどう戦っていくかという勝負なのですが、ほぼ主人公が空気になるぐらいにこの相棒がカッコいい。
  • あとボドゲ者としては4~5巻の勝負も捨てがたい。これまんま「もっとホイップを」をダーツにした感じ(テーマまで丸ごと一緒)で、この一見ほのぼのとした見た目から作中一番死者が出る殺伐とした勝負が溜まりませんw

 

 6巻と比較的短いながら、バキバキに立ったキャラとイカれた勝負の数々で見どころたっぷりで超オススメです。「ジャンケットバンク」もむっちゃ面白いし、そっちも読もうw