「天気の子」見てきた

 唐突に新海誠の新作「天気の子」が見たくなったので、いつもの映画館へレイトショー見に行った。最近映画料金高いから、レイトショーの安さはありがたいね。ただ、見終わった後がっつり疲れるのが難点ですがw

 というわけでネタバレとかも含む映画感想です。

 

 ストーリーですが、家出少年「帆高」の天気を操る少女「陽菜」のファンタジーを交えたボーイミーツガールものという感じの表テーマと、「若者の貧困/未来への息苦しさ」とそれに対する答えという裏テーマがある感じで、エンターテイメント方向に振っていた「君の名は」と違って結構重い内容。なので好き嫌いは結構ありそうですね。

  • 最新鋭のアニメーション技術で作った古式ゆかしき日本映画な趣があります。

  

 例えば、「なんとなく息苦しさ」を感じて家出した帆高に対して、ちょいちょい「ライ麦畑で捕まえて」が画面に映るシーンがあったり、須藤の子を預かっている祖母が「今の子供たちは可哀想」とうそぶくシーンと対比するように、自分たちの力だけで生きていこうと頑張る帆高や陽菜の姿があったりと、シンボルを巧みに使い「大人の世界」に対抗して生きていく「子供たち」の生きざまを丁寧に見せている。

 よくよく見れば帆高の生き方は「間違いだらけ」で(特に一番彼を助けてくれた須藤に対してむちゃくちゃ迷惑をかけているところとか)「正しくない」生き方ではあるんだけど、それでも「正しい生き方」を押し付けてくる大人の世界に対して必死にあらがい、自分自身の「愛」に従って陽菜を救う行動に出た。

 最終的に彼の行動はめちゃめちゃ東京を破滅に導いてはいるんだけど、それでも自分の意志でその世界で生きていくことを決めた。現代社会の若者の息苦しさ、未来に対する閉塞感に対して「壊れた世界でも、生きていく」と示し、そしてエンディングテーマの「愛にできることはまだあるかい」に繋げるラストはかなりこみ上げるものがある。正直、世の中を拗ねたおじさんには辛いw

  • ただ、三葉を救うことが人々を救うことに繋がっていた「君の名は」とは違い、ある意味多くの人々を不幸にして陽菜を救っているわけなので、明確にハッピーエンドというわけではない(テーマから考えれば当たり前ですが)ため、これを受け入れられないという人は結構いそう。そういう意味では評価が分かれそうな作品ではありますね。

 また緻密な情景描写は今回も健在…というか背景以上に「音」の再現度が素晴らしく、序盤の「バニラの広告」が流れるシーンといい、カラオケで「恋するフォーチュンクッキー」のシーンといい、凄い「現代」を描写している。新宿とか渋谷はたびたび登場するが、見た目だけでなく音まで忠実で非常に臨場感が強い。このあたりの演出はさすがの新海誠印。

 

  • 中盤あたりで「君の名は」の瀧と三葉がしれっと登場してきたり、瀧のおばあちゃんがやたらとストーリーにかかわって来たのはちょっと驚いた。というかあの世界「君の名は」と地続きな世界なのか…だとすると三葉は隕石で故郷が滅んで東京へ来て、東京が雨で滅んだのか。なかなかハードモードな人生だw
  • あと、狙っているのかいないのかわからないが、ラストの再開シーンに桜のカットを見せるのは止めてくれ、トラウマがよみがえるからw あのカットが挟まるだけで何というかドキッとするから。思っていた以上に「秒速5センチメートル」の傷は深いw

 

 というわけで個人的な感想としては、非常に面白いけど万人にはお勧めできないといった感じでしょうか。でも気にせず観ろw