最近プレイしたゲーム(115)ヨーヴィック

 前回から大分早いボドゲレビュー。今回はかの名作「倉庫の街」のリメイク作である「ヨーヴィック」。

ヨーヴィック 日本語版

ヨーヴィック 日本語版

 このゲームは「倉庫の街」のテーマがヴァイキング氏族の発展にテーマが置き換わったリメイク作で、基本的なルールなどはほぼ「倉庫の街」に準拠します。
「倉庫の街」の基本的な流れについては、過去レビューをご参照ください。

<倉庫の街 レビュー>
http://d.hatena.ne.jp/kaz20001/20120205/1328446466
↑もう5年も前か…。ずいぶん前だな。

 内容的には「倉庫の街」+「拡張:波止場の倉庫」が一体型となったお得感あふれるパッケージ。元々倉庫の街は好きでしたが、遊んだ頃には入手できなかったこともあり、これを機に購入。今回のプレイと相成りました。

 この「ヨーヴィック」は初級モードの「カールゲーム」と上級ゲームの「ヤールゲーム」の二種類のルールがあります。
 「カールゲーム」の場合はほぼ「倉庫の街」そのままといった感じで、「ヤールゲーム」の場合、「拡張:波止場の倉庫」込みのルールといった感じですね。今回のゲームでは「ヤールゲーム」で遊んだ際のレビューとなります。

 
↑いちおう「カールゲーム」の様子。こちらの場合ボードとカードは半分だけ使う。

  • カールゲームだと、倉庫の街の基本ルールそのままのゲームとなります。手元に倉庫の街が無いので断定できませんがカード分布も同じ(だと思う)。

 「ヤールゲーム」の場合、通常のコマを並べるカードスペース(「倉庫の街」でいう「倉庫」)のほかに、カードそのものを予約できるカード列にもカードを配置します。

  • カードを並べる箇所が多いため、大体一季節あたりのカード枚数は2倍程度になり、基本ルールにはなかった種類のカードも増えます。消費ペースそのものが早いため、季節ごとのターン数は大体同じぐらいになりますが。


↑カードを配置したところ。

 倉庫の街からテーマが変わっているため、カードは「消防士」は「戦士」に、「火事」が「ピクト人の襲撃」に置き換わったりしていますが、基本的な処理手順は同様で、プレイヤーは手番が来たら、倉庫の「興味列」に自分のコマを並べていきます。
 そして、倉庫の興味列に並べる代わりに、カード予約列のカードの上に駒を配置することも可能です。この場合、カードの上に駒を置いたのち、カードを「興味レーン」に移動させていきます。


↑カードを興味レーンに移動。

  • カールゲーム(通常ルール)では配置できる駒は2コマですが、ヤールゲームの場合3コマ配置可能です。この1コマの余裕が思った以上に大きく、配置可能な箇所こそ大分増えていますが、意外と予約カードにもコマを置ける印象です。

 コマを配置し終わったら、それぞれのカードスペースの興味レーンに配置されたコマを処理していきます。先頭に配置したコマのプレイヤーから購入権が発生し、列に並んだ駒の数が購入金額で、購入しない場合はコマを取り除き、次のコマのプレイヤーに購入権が移る、という仕切りとなります。このあたりは倉庫の街と変わりありません。
 そして、各カードスペースのカード購入が「終わった」のち、興味レーンに移動させた「予約カード」の購入が開始されます。
 まず「興味レーン」の先頭にあるカードに駒を置いたプレイヤーから購入開始となりますが、このときの購入金額は「興味レーンに並んだ予約カードの数」となります。そして、カードを購入しない(できない)場合は、そのカードを捨て札として次のカードの購入処理に移ります。
 つまり、カードスペースのカードとは違い、予約カードは自分がコマを置かない限り購入のチャンスが無く、それでいて先に置きすぎると購入金額が跳ね上がる、という特徴を持ったカードとなるわけです。非常にリスク・リターンがはっきりしたカード列となり、これに通常の購入のカードへのコマ配置も行わなければならないため。

  • カード購入タイミングも通常のカードスペースのカード購入の後に行うという点が嫌らしく、購入金額が高騰しやすいこともあって予約カードの購入タイミングの見切りがより難しくなっています。


 個人的にはヤールゲームは結構大味なようでバランスが取れている、といった印象でしょうか。
 元々の「倉庫の街」ルール(カールゲーム)の場合、カード購入システムの関係上、先手が不利といった印象ですが、ヤールルールの場合、予約カード列という逆に先置きしたものにしか購入権のないカードがあるため、先手後手の差が大分埋まっています。

  • ただ、カードの並べ方はより運が絡むようになったため、たとえば必要な資材を積んだ船が全部予約カード列に行ってしまった等は発生した場合、かなり苦しくなってしまうなど、これまで以上にカード運が重要となっています。とはいえ、その運要素のためカードの並び次第では大逆転が発生したりするので良い悪いどちらとも言い難いところですが。

 ゲームバランスそのものも結構変わり、何かにつけてカツカツだった通常ルールとは違い、配置可能な駒が3つとなったことによる購入可能なカード枚数の増加と収入ベースが1増えた2金となったことから、結構カードそのものは増やしやすくなっています。
 結果として、得点機会が増えることもあり、火事ことピクト人の襲撃もそこまで痛手ではなくなったため、消防士こと戦士の購入をより見切りやすくなっている、といった印象です(あくまで個人の感想です)。
  
 総じて、元の倉庫の街とはだいぶ違ったバランスとなっており、違った面白さとなっているといった感じでしょうか。こちらのほうが苦しさが少ない分、初めて遊ぶには良いかもしれませんw


 カールゲームとヤールゲームどちらにも優れた点、独自の面白さがあり、一セットで両方遊べるお得感あふれるセット。元々の「倉庫の街」の欠点だったゲームの地味さも、今回はテーマがヴァイキングとうことで(システムはともかくビジュアル上は)華やかな感じになっていて、遊びやすさは据置。まさに名作リメイクらしいリメイクゲームといったところでしょうか。

  • 大判のボドゲの割には割と安い点も良い。というか、なんか実勢価格も割と値引き販売されていたりしますが、作りすぎたんでしょうか…。
  • 欠点はルールブックの読み辛さ。カールゲームとヤールゲームのルールの差分が並列して記載されているため、元ルール(カールゲーム)を知らないと結構分かり難いです。並列ではなく分けて書いてほしかった。