ゲームマーケット2011秋に出品されていたゲームで遊んでみた(後編)

 前回からまさか一か月も開くとは思わなかったゲームマーケットの新作同人ボードゲームレビュー。ようやくの後半です。

  • 例にとって、ゲームマーケット2011秋で「購入」したゲームをレビューしています。実はまだ買ったけどプレイできていないゲームも結構ありますが…(特に「惨劇RoopeR」は遊びたいけど遊べないw)
  • ランカ(TANSANFABRIK(タンサンファブリーク))

 
↑六角形のボード上に三角のコマを配置していく。ビジュアルが個性的。

    • ヒットマンガ」で一躍有名になったタンサンファブリークの新作「ランカ」。同人では意外と珍しい二人用アブストラクトゲーム。六角形のボード上に、三角のコマをそれぞれ配置していき、相手のコマを囲うことが出来ればそれを取ることが出来る。先に5つ集めたほうが勝ちとなる。
    • ゲーム感覚はすごく囲碁に近く、そこから石を取るルールにのみ特化した印象。ただボードが正方形でなく六角形で、コマも点でなく三角のため、以後の感覚でプレイしていると結構予想外の状況が発生します。柔らかい発想が必要。
    • シンプルだけどよく出来たアブストラクトゲーム。プレイ時間も短め(1手10秒ぐらいでやると5分ぐらいで終わる)なので、ちょっとした合間にプレイするにはかなりいいんじゃないでしょうか?
    • ゲーム内容とは関係ないのですが、「ランカ」購入時は円筒形のパッケージとなかなか個性的な形になっているため、収納には結構困りますw 結構もろいので中身がこぼれたり。別に容れ物を買っておいたほうがいいですね。
  • トロルマスター(遊星からのフリーキック)
    • すっかりゲームマーケットの常連となった「遊星からのフリーキック」のテラシマさん新作のゲーム。毎度毎度ゲームマーケットのたびに新作を出せるのはすごいな。前作「アークキング」のときと同じ絵師さんがイラストを担当している、なかなか可愛らしいビジュアルのゲーム。
    • ゲーム性は非常に独特というか、いくつものボードゲームの特徴的なところを足し合わせたような感じで、一言では言い表しにくい。あえて言えば「ブラフと読みあい」+「ロンデル(のような)システム」+「拡大生産系」といったところかな。


↑魔法カード。共有の場にある魔法カードと各人の持っている魔法カードの内容を読みあって、行えるアクションを予想する。

    • 各ターンの開始時に「魔法カード」が各プレイヤーと共有の場に配られる。このカードの中身を予想(それぞれのアクションに必要なカードが全体に何枚あるか?)し、アクションにコマを配置していく。


↑アクションの予想。右に行くほど達成値(必要なカード枚数)が高い。

    • アクションには使い魔召喚コストを稼ぐ「調合」、使い魔を獲得する「召喚」、使い魔を使って他プレイヤーを攻撃する「攻撃」、得点を獲得する「占い」などがある。これらのアクションは低い達成値の予想から順に並んでいて、自分の手番に予想されるアクションに配置したのち移動することもできるが、かならず達成値が高いほうにしか移動できない。
    • 魔法カードの予想が外れた場合は予想したアクションが不成立なる。そのため、低めの達成値のアクションを選びたくなるが、高い達成値のアクションほど特典があり、かつ手番が速くなるので、時には思い切って高めの予測をしていかなければならない。この読みあいがなかなか面白いアクセントとなっている。


↑サプライに並んだ「使い魔」カード。これらを集めながら勝利点を稼いでいくのが基本。

    • 「召喚」アクションで獲得する使い魔にはそれぞれ「攻撃」アクションに有利なもの、「調合」や「召喚」の効率を上げるものなどさまざまな能力があり、どの使い魔を召喚していくかが勝利のカギとなる。全22種類中10種類を1ゲームで使用するので、組み合わせを変えることで繰り返し遊べるようになっている。
      • なおタイトルにもなっている「トロル」のカードもありますが、思ったほど強力ってわけでもない。「マンドラゴラ」「書庫の幽霊」「フェアリーサークル」あたりが強さと使いやすさのバランスが取れているかな。
    • 前作のアークキングと比較しても、手番にできることが明快でダウンタイムが大幅に減っており、テンポがかなり良くなっている。ルール的にもそんなに複雑なところもなく(ちょっと使い魔の能力を覚えるのが面倒なぐらい)、プレイ時間も短め(30分ぐらい)。お手軽で、それでいて独特のゲーム性を作ることに成功している、なかなかの一品ではなかろうか。
    • あえて難点を言えば、ルールブックに推奨の使い魔セットの組み合わせなどが描かれていないことだが、ランダマイザが公開されているのでそれを使ったほうがプレイしやすい。
  • ギルド(高天原)
    • レビュー最後を飾るのは、やはりゲームマーケット常連サークル「高天原」さんの新作ゲーム「ギルド」。「商業都市オオサカ」だの「要塞サドガシマ」だのどこかで聞いたような王国を舞台に自分のギルドを拡大していくのが目的のゲーム。

 
↑王国カードに建物カードを並べたところ。これらのカードを取り合うのだが、そのカードが配置された王国も考慮しなければならない。

    • ゲームのキモとなるのが「競りフェイズ」。どの王国にある建物を購入するかを一斉入札で競り合うのだが「高い金額を出したプレイヤーから手番となる」、「建物カード1枚の値段は提示した金額で、購入できる数も提示した金額分の枚数まで」というのがミソ。早い順で行動したかったり、複数枚購入するためには必然的に高い値を付けざるを得ず、資金繰りは常に苦しく悩ましい。
    • 建物カードを購入した場合、その購入したカードが並んでいた王国カードの効果を支援として受けられるため、どの王国のカードを購入するかは常に考える必要がある。時には必要のない建物を買ってでも支援を受ける、という状況も発生する。

 
↑獲得した建物をピラミッド状に配置していく。右がゲーム終了時の最終形態。

    • 獲得した建物は「ギルドの拡大」アクションで配置していくのだが、上の図のようにピラミッド状に下から並べていく必要がある。上の段に置くほど配置費用が高くなるが、「収穫」アクションを行う際は起点となる建物から下方向にある建物から資源を算出できるため、なるべくならば高く積み上げたい。これまた資金繰りが悩ましい。
    • 配置には資金のほか、特定の資源が必要となることがある。また特定の段以上の高さがないと配置できない建物もあるので、自分のギルドをどのように拡大していくかを常に考えながら「配置」→「収穫」を行っていく必要がある。あまり平たくすると収穫が生かせないし、高く積み過ぎると資金が足りなくなる、このバランスが悩ましい。
      • 資源の中でも「絹製品」はとりわけ算出しづらく、それでいてギルドに影響を及ぼす「支援者カード」の獲得には欠かせない資源なので、まずはこの資源を算出できるようにギルドを育てていくのがいいだろう。
      • 「支援者カード」の中では、特に「銀行」が強いので、これは1枚ぐらい確保しておきたい。
    • こうして順調に拡大していても、時折発生する「戦争」の効果で、ギルドの一番上にある建物が破壊されてしまうことがある。この戦争による点数消耗が意外とばかにならないので「戦力」キューブもある程度そろえておいたほうがいい。特に最終戦争では勝利点が3点入るため、これの勝ち負けで大体7点前後差が詰まることがある。これがかなり大きい。
    • ゲームはとにかく資金不足、資源不足、戦力不足と足りないものに悩まされる。そのあたりのゲームバランスは良好で、最終的には僅差で収まりやすいようになっている(支援者カードで得られる得点が後半ほど減少していくので収束しやすい)あたりは流石。
    • プレイしていて困ったこととして、個人の手番の際にできることがたくさんある事と、場の情報量が多い事から各プレイヤーの考える時間が長く、そのせいでダウンタイムが長くなりがちという面がありました。あとは、カードをたくさん配置するので結構スペースが必要なことと、戦力キューブ(黒)と木材キューブ(茶)の色がかなり似ていて区別しづらい事、あたりがプレイしていて引っかかったかな。ここは別の色にしてほしかった。


↑左が木材(茶)で、右が戦力(黒)のキューブ。写真のせいもありますが、実際かなり見分けにくいです。

    • とはいえ、ゲーム内容の面白さはさすがの一言。オリジナリティも高く、ゲームバランスも良好。王国カードを変えることで繰り返しプレイでもゲームに幅があります。これ次のゲームマーケットで拡張セットとか出してくれないかな。
    • そういえばゲームには全く影響しないんだけど、「建物カード」のなかに「日雇い」「傭兵」「税務官」というカードがあるんだけど、これって「建物」じゃないよねw

 うん、ゲームマーケット2011秋の新作はなかなかの豊作ぞろいだった。半年に一回というハイペースな開催状況なのでそろそろ新作の勢いも失速するかと思われたがどうしてまだまだ。次の開催も楽しみです(その前に大阪がありますけど、さすがにこれには参加できないな…)。