最近プレイしたゲーム(100):パニックハイスクール&パニハイ

 ついに100回目となったボドゲレビュー。1回目が2010年4月の「ギャラクシートラッカー」なので5年越しにてついに3ケタの大台です。目出度いですね。
 ということで今回は古の名作「パニックハイスクール」と、そのリメイク作である「パニハイ」の二本立てでお送りします。


↑「パニックハイスクール」。20年以上前のものなのでさすがにボロボロ。

 さてこのゲームは今は亡き「天下布武かあどげえむ」謹製のカードゲーム。このメーカーだと有名どころでは小林源文の漫画を忠実に再現した「俺のケツを舐めろ」あたりが有名で、このゲームは世間的には全然無名でした。それが近年ごく一部で隆盛したのも、私が良く遊びに行っているオープンゲーム会、全ファミ代表の「恋パラ支部長」が毎度布教活動を行っていることが大きな原因でしょう。多分、日本全国で遊ばれているパニックハイスクールのほとんどがここ発祥のものでしょうw


 ゲームそのもののストーリーは非常にバカバカしく「お嬢様学園である聖大安学園(ミッション系なのか神道系なのか…)にて行われる女子高生たちの部活動における、部費争奪戦」であり。そのために彼女たちは学園のあらゆるシマを巡って争う、というもの。なんかこのノリが90年代って感じですねw

 まずプレイヤーは7枚のカードを引きます。そのとき「場所カード」があればそれを場に公開し、この場所カードを最も多く場に公開したプレイヤーをスタートプレイヤーとしてゲームを開始します。

↑場に公開された場所カード。これを巡って戦う。

  • 最終的にはこの場所カードを最も多く集めることが目的となります。なお、カード枚数は全100枚で、うち場所カードは12枚あります。結構な確率で初手に引くんですが、全く出ない場合も当然ありますので、そのときは一度配り直した方が良いと思われます。


 まず各プレイヤーは手番開始時に1枚カードを引いたのち、「誰かの場所カードに攻める」「アクションカードを使う」「パスする」のどれかを行っていきます。

↑手札。黒い文字で書かれているのが戦闘カード、赤い文字で書かれているのがアクションカード。これらを用い、場所を集めていくのが大きな目的。

  • なお、カードを引いたとき「場所カード」を引いた場合、それをすぐに場に公開し、手番が終了となります。そのためこのゲームでは場所カードを集めることが目的でありながら、手札の補充はできなくなるため全くうれしくないという状況が度々発生します。

 「誰かの場所カードを攻める」場合、どの場所カードを攻めるかを宣言した後、自分の手札から攻撃に使う戦闘カードを任意の枚数伏せた状態で宣言します。
 そうしたらその場所カードを持っているプレイヤーは、その攻撃宣言に対し「場所を防衛する」か「場所を手放すか」を宣言します。

 「場所を防衛する」場合、攻められた側のプレイヤーも手札から任意の戦闘カードを伏せて場に出します。そこから一斉に戦闘カードを公開してお互いの戦闘力を比較。戦闘カードの戦闘力合計値が高いプレイヤーの勝ちとなり、攻め側が勝った場合、場所カードを奪うことができます。防衛側が勝てば防衛成功となり、場所カードの移動は発生しません。

  • 戦闘カードによっては、戦闘が発生した「場所カード」によって戦闘力が上昇する(二倍になる)ものもあるため、どの場所を攻めるかも重要なファクター。全く二倍になるカードがない「教室」や二倍になるカードが弱い「家庭科室」といった比較的攻めやすいものから、運動部系を中心に戦闘力が上がる場合が多い「体育館」「校庭」のような要注意地点もあり、攻め込むタイミングなどはなかなか考えさせられる。
  • またカードの中にはSカードという戦闘開始前に公開するカードもあり、戦闘前に相手の戦闘カードを1枚自分のものにする「わいろ」や、相手カードをすべて捨て札にする「婦警さん」といった強力なものもあり、これらを巡る駆け引きもの戦闘のキモといえる。


↑お互いのカードを公開し、戦闘。

 そして戦闘でのポイントは、負けた側は戦闘カードを捨てさせられますが勝った側はそのまま「公開したカードを手札に戻す」こと。
 これだと強い手札がそろえばひたすら勝ち続けられそうにも見えますが、前述の「場所によって二倍になる戦闘カード」の存在もあり、手札のカードを知られるのはかなりのマイナスになります。
 また「アクションカード」の存在も厄介。アクションカードは手番中に1枚、他プレイヤー(または全プレイヤー)を指定して使うカードで、相手の手札からカードを捨てさせたりする「脱落者」「スパイ」、奪ったりすることができる「引き抜き」「アジ演説」などがあります。

  • とりわけ強力なのが全プレイヤーからカードを1枚ずつ回収できる「アジ演説」。これにより死に体の状態からでも一瞬で復活できる可能性があり、一発逆転も狙えます。

 このアクションカードで集中攻撃されればたとえトップ目でもあっさり潰されてしまいます。極力自分の手札の内容を明かさず、かつ目立たぬよう場所カードを集めていくのがこのゲームの基本戦略ともいえます。
 
 このように手番を続けていき、最終的に山札が切れたらゲーム終了。その時点で最も多くの場所カードを所持しているプレイヤーが勝者となります。

  • カードの中には「玉璽」という、最後まで持っていると場所カード2枚分となるものもあり、このカードが勝負を分けることも多々あります。

 

 ゲームシステムはさすがに古いだけあって良く言ってもバランスが悪く、基本的にはプレイヤー間のやりとりで調整がされるという感じ。なにしろ直接攻撃可能なのでどれだけトップ目であってもそれを維持するのは難しく、攻めるゲームなのに攻めが(いろいろな意味で)不利というあたりが現代だと厳しいかも。

 それだけに呼吸が分かっているプレイヤー同士で遊ぶとかなり面白いゲームです。慣れたプレイヤー同士だとかなり異次元の駆け引きが行われるようになり、ただトップを叩くだけでなく、自分がトップとなるために他プレイヤーへの差し込みやアシスト、そして隙をついての一転攻勢といった読みあい、ブラフの応酬がそこかしこで起こるエキサイティングなゲームに早変わり。この領域になるとバランスの悪さが逆に面白くなってきますw 緻密なドイツゲームに慣れたゲーマーの方にはある意味プレイしてもらいたい一品ですね。


 長らく幻のゲームであり(本当に市場に出回らない。オークションでさえまず見ない)、私と前述の支部長を含め全ファミ関係者ぐらいしか所持していないと思われていたパニックハイスクールですが、昨年のゲームマーケット秋にてリメイク版となる「パニハイ」が支部長を発起人として発売しています。今ならこちらでのプレイがオススメ。

↑パニックハイスクールとパニハイ。狙ったかのような90年代テイストあふれるリメイク。

 リメイク版なので基本ルールは一緒ですが、カードの戦闘力の見直しや、一部カードの仕様変更、「玉璽」カードが場所2.5枚分になって引き分けになりにくくなっているなどルール面で一部調整がされております。

  • 特にリメイク前では、敗北時に代わりに捨ててカードを回収するだけの「保健委員」という微妙に使い道がなかったカードがあったのですが、パニハイではこれにも(微弱ですが)戦闘力がつき、戦闘に参加できるようになった点はテンポの面でもよい調整。

 ただリメイク前はカードの文字で戦闘カード、アクションカードなどが区別できたのですが、パニハイではカードの色が全部同じになってしまいパッと見分かりにくいという欠点もあります。この辺は好みの問題ですが。

↑戦闘カードことコンバットカード。全部の色のカードがピンクでパッと見分かりにくくなったかも。