最近プレイしたゲーム(99):PAX(パックス)

 とうとう100回目も目前となったボードゲームレビュー。今回は何でこれまでレビューしていなかったのかよく分からないカードゲーム「PAX(パックス)」。

  • これ購入したの二年ぐらい前なのに。これまで何度も遊んできたのに、なんでレビューしていなかったのか自分でも謎。

テンデイズゲームズのPAX紹介ページ>
http://shop.tendays.jp/70_518.html
↑あまりにマイナーすぎてAmazonでさえ在庫も情報もないので、テンデイズの紹介ページを。

 このゲームのテーマは「ローマVS反乱軍」。プレイヤーたちは反乱軍となってローマ軍を打ち破ることを目的としている(一部例外アリ)。ゲーム的には7種類からなるカードの効果を使いながら、ローマ軍を弱体化させつつより強い反乱軍をプレイヤー全員で築いていくことになります。

 各プレイヤーはまずターン開始時に「カードを1枚山から引き、3種類のアクション(そのカードを手札に加える/場の軍団カード列に並べる/山札の一番下にいれる)のうちどれか一つを選択しておこなう」という手順を3回行います。

  • 一度選択したアクションは次のカードを引いたときに行うことはできません。たとえば一枚目のカードを手札に入れた場合、二枚目のカードは軍団に並べるか山札の下に入れるしかできず、三枚目のカードは一、二枚目のカードで行わなかったアクション強制になります。
  • 意外とこのルールが厳しく、特に「手札にカードを入れる」タイミングはかなり悩ましいところ。よいカードが来たので手札に入れたら、次のカードはもっと良いカードだった、なんてザラですw


↑カード。全部で7種類あり、1枚引いてアクションを行う、を手番ごとに3回繰り返す。

 カードを3回引きアクションを行ったら、続いて軍団の購入。場にはプレイヤー人数+1の「軍団カード」列があり、ここから任意の軍団カード列のカードを購入できます。必ず一列一括購入で、購入金額はカードに描かれた値段(金貨)の合計となります。 

↑軍団カード列。ここから任意の列を購入する。

  • このゲームで面白いのが、カードの効果と値段は必ずしも一致しないこと。同じ能力なのになぜか金貨1枚で買えるものと2枚かかるものなどがあり、かなり値段にはばらつきがあります。
  • なお、購入するかは任意。購入しないことも可能ですが、基本的にはカードがないといろいろ困るので、カードを引いたときの「場の軍団カードに並べる」際に、カード枚数を調整しておくのが良い。

 カード購入が終わったら次は手札のカードを自分の場に出していく。このとき、1枚目のカードは無料で出せるが、2枚目は1金、3枚目は2金…というように出すためのコストがかかるようになります。

↑同じカードはシンボルが見えるように重ねて置きます。

  • カードによっては配置に制限があるものもあります。「軍隊」と「海軍」の二つは、場に出た「土地」あるいは「陰謀」カードのシンボルと同じ数のシンボル分しか場に出せません。


↑オレンジの軍隊と青の海軍。これらは出せる枚数がほかのカードに依存する。
 こうして場に出したカードは一部特殊能力を持っているものがあります。これらを生かして自分の軍団を強化していきます。

  • たとえば「富」(ブドウ)であれば、富(ブドウ)のシンボルマークが3つあるごとに、場の軍団カードの購入費用が1金安くなります。「宗教」(神殿)はカードを引くとき、引くカードが1枚増えます(複数枚引いてから、アクションが選択可能になる)。「土地」は前述のとおり「軍隊」「海軍」を出すのに必要です。
  • なかには「議員」のカードのように「そのラウンド中、収入が1金増える」のように妙にしょぼい能力のカードもあれば、「陰謀」のように、土地と同じように「軍隊」「海軍」を出せる枚数に影響するものの、場に出したラウンドでは収入がもらえない、というリスキーなカードもあります。

そして、最後に場に出したカードに応じて収入を得ます。収入は「そのラウンド中に場に出したカードの種類のうち、最も場に多く出ているカードの枚数分」となります。

  • ちょっと分かりにくいですが、場に出てるカードで一番多いカードではなく、そのラウンド中に場に出したカード種類のみ対象となります。たとえばすでに場に「富」のカードが3枚出ている状態でも、そのラウンド中に場に出したカードが「土地」と「軍隊」だった場合、その二つのうち場に出ている数が多い方を参照し、その枚数分、収入を得ます。

 各プレイヤーが1手番ずつ終了したらラウンド終了。その時点で残っている軍団カード列のうち「もっとも購入費用が高い」列が廃棄されます。そして、このカードがローマ軍の「軍団」となります。
 このようにラウンドは進行していき、最終的に山札のカードが切れたラウンドでゲーム終了となります。
 
 ゲームの終了時、7種類ある各カードごとに、最も場に出た数が多いプレイヤーと、ローマ軍のそのカード枚数を比較し、プレイヤー側が多い場合はプレイヤーの勝ち。同点以下だった場合ローマ軍の勝ちとなります。そして、ローマ軍側が4つ以上のカードで買った場合、プレイヤー全員の負けとなってしまいします。

  • ただし「陰謀」カードを出していたプレイヤーがいた場合、最も陰謀カードを場に出したプレイヤーは「最高の陰謀家」カードを獲得できます。ローマ軍が勝った場合、このカードを持っていたプレイヤーの無条件勝利となります。

 そして4つ以上プレイヤー側が勝った場合は、各陣営の場に出たカードから得点計算を行い、最も得点の高いプレイヤーが勝者となります。

  • 得点方法は多岐にわたり「場に出たカード種類」「ローマ軍のカードより数多く場に出したカード種類」「軍隊または海軍の枚数」「残ったカード+お金の金額が一番高いプレイヤー」「最高の陰謀家カードを持っているプレイヤー」に対してボーナス点が入り、これらの合計で勝負がきまります。


↑得点手段が描かれたサマリー。どのカードを場に出すとボーナス点がもらえるかを考えつつ、プレイする。

 このゲームで面白いところは、プレイヤー同士は競い合う敵同士でありながら、「ローマ軍」という共通の敵がいるために時に協力体制を取らねばいけないところ。なにしろローマ軍に負けたらプレイヤーの負けになるため、ローマ軍に持っていかれないように軍団カードの置き方に気を配ったり、ローマ軍に負けないように他プレイヤーが出していないカードを場に出してみたり、あるいは逆に陰謀家となってローマ軍を勝たせようと画策したりといろいろな思惑が交錯します。

 ルールそのものはプレイしてみればすぐわかるほどシンプルで、プレイ時間も30分程度。駆け引きと引き運が結構いいバランスで、繰り返し遊びたくなる魅力があります。カードの質そのものも問題なく、値段もそんなに高くありません(2000円程度)。そういう意味でかなり高いポテンシャルを秘めたゲームだと思います。これだけマイナーなのが不思議なぐらい。個人的にもお勧めできるかなりの良作です。

  • ちなみにこのゲームのメーカー「Irongames」は、同じくPから始まる謎デッキ構築ゲーム「ペルガメムノン」も出しているのですが、このペルガメムノンとセットの拡張セットも出ています。でもこれ在庫切れなんですよね。そのうち再版される時が来るのでしょうか…。