桜ノ杜ぶんこのライトノベル版「アトランチスの謎 復活のザヴィーラ」を読んでみた

 先日購入したkindleを弄っていたら「桜ノ杜ぶんこ」の書籍がkindle本になっていることに気が付きました。
この「桜ノ杜ぶんこ」、レトロゲーのノベル化というどう考えてもニッチすぎるジャンルに挑戦している逝かれたイカしたライトノベルレーベルです。
 一応最新のゲームのノベライズ化もありますが、それらに交じって「いっき」だの「スペランカー」だの「ダイナマイト刑事」といった狂ったラインナップが混じるあたりがいろいろおかしいですw

 というわけで、さっそくいくつか抑えてみるかと今回はこいつをチョイス。「アトランチスの謎 復活のザヴィーラ」です。

桜ノ杜ぶんこ アトランチスの謎  復活のザヴィーラ

桜ノ杜ぶんこ アトランチスの謎 復活のザヴィーラ

 あの伝説の迷作アトランチスの謎ライトノベル化、というコンセプトからかなり勝機を疑う一冊。
 そこまで期待していたわけでもなく、ネタのつもりで購入してみたのですがこれがなかなか、予想以上に面白い。

 内容はあの「アトランチスの謎」から15年後の世界を舞台とした後日談、というよりは「アトランチスの謎2」といった感じ。
 前作のエンディングで主人公ウィンの師匠であるゴンベが命がけで封印したアトランチス大陸が再び姿を現し、それを沈めるべくウィンと、ゴンベの娘ハナが大冒険を繰り広げる、といった感じの冒険活劇で、本編ゲームの内容を大胆にアレンジしつつ、タイトル通り「アトランチスの謎」に挑む内容。

 特にゲームの中で起こるいろいろな事柄に逐一理由づけをしているのが、本編ゲームファンにはたまらん。「ゲームスタート時、なぜ気球はウィンを落として去っていくのか」「なぜボン(爆弾)を持って行っているのか」「ゲームの各エリアが様々な光景となっている理由」「主人公の師匠であるゴンベと、最後の部屋にあったダイヤの謎」といった要素をうまいところちりばめつつ、きっちり冒険アクションものとしても面白い。これなかなか出来ることではないですね。この作者かなり出来ると見た(よく引き受けたもんだ)。

  • あとがきによると、資料はゲーム本編のほかは攻略本、ゲームセンターCXのDVD(確かにアトランチス回があった)、そしてわんぱっくコミックスとのこと。特に最後の奴がすげぇなw
  • さらに、師匠がいっきのゴンベ流用だったもとのゲームの関係から「いっき」とつながりがあるだけでなく「東海道五十三次」「マドゥーラの翼」「スーパーアラビアン」といったサン電子レトロゲームとも微妙にリンクしています。なんという世界観。あと「七つの血、七つの石」の世界という記述もあります。これは「わくわく7」?

 あえて難点を言えば(当たり前ですが)アトランチスの謎をプレイ経験があること前提の部分が多く、知らないと楽しめないこと(アトランチスの謎を知らない人間がこれを手に取るとは思えませんが)、そして話が(大筋で)全然終わっていないこと。最後の最後に新たな謎が出てきてこれ思い切り続けられそうな終わり方です(よくある謎を残した終わり方といえばそうなんですが)。

 とはいえ、ゲームノベライズとしてはなかなか面白かった。これは「桜ノ杜ぶんこ」のほかのレトロゲームシリーズも気になってきました。次は…「いっき」か「アイドル八犬伝」あたり買ってみますか。