最近プレイしたゲーム(90):コレイカ

 前回が二か月も前になってしまったボードゲームレビュー90回目。今回はポーランド政府機関である「国民記録機関(IPN)」が発行したことで(ごく一部で)話題となったボードゲーム「コレイカ」。

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↑ちなみに「コレイカ」は「行列」という意味らしい。


↑ボード全体。基本的に灰色で暗い色合い。ゲームテーマにいちいちマッチしている。

 さて、このゲームですが基本的な目的は「お買い物をして、リストにある品物を手に入れる」ことが目的となっています。

  • 商品は全部で5種類あり、そのうち4種類の商品を集めることになります。このリストの個数がまた絶妙な数になっています。


↑お買い物リスト。決められたジャンルの商品を決められた個数分、集めることが目的。

↑商品カードは全部で5種類。いちいち絵柄が違い、しかも共産圏時代を忍ばせるものになっています。

 ターンが開始されると、プレイヤーはボードの各商品が並ぶ商店に自分のプレイヤー駒を1つずつ配置していきます。
 基本的には手に入れたい商品がならぶ商店に並べることになりますが、並んだ商店に商品が入荷されるとは限りませんw

↑行列中。最終的にかなり長い列になります。

  • 全プレイヤーの行列が終了したら各店舗の最後尾に黒いNPCコマ(投資家コマ)を配置します。能力は後述しますが、これが意外に厄介。


↑並び終えたら投資家(黒いコマ)を配置します。

 全プレイヤーのコマを配置し終えたら、いよいよ各商店に商品が補充されます。このとき補充される商品はカードで指示されるのですが、4人プレイだとカード二枚、最大の5人プレイでも三枚分のみしか補充されません。平均しても2〜4枚程度しかターンごとに補充されず、せっかく焦点に並んだのにそこに補充されないなどはザラです。共産圏時代の物がない苦悩をいやというほど味わえます。

↑補充される商品を示すカード。とにかく補充数が少ない。

  • 補充商品はカードごとに種類と数(1〜3)が記載されており、商品置き場から対応する商店に(たとえば「食料」なら「食料品店」に)配置する。
  • また一度めくった補充カードは二度と使われません。また一つの商品のカードは補充が1、2、3枚の3種類ずつあるので、すでにめくられたカードが何だったのかを覚えておくことが重要になります。

 こうして商品カードが補充された後は、各プレイヤー駒の順番を動かすカード使用ターンになる。

↑カード。一ターンごとに三枚まで使える。
 カードは一ターンごとに自分のカード山から3枚ずつ補充され、これを順番に使っていきます。内容には「自分のプレイヤー駒を1つ前に進める」「任意の列の前から二番目に並ぶ」「列を前後逆にする」といったすでに並んでいるプレイヤー駒の順番を変えるものや、「配送の追加」(商品配達された商店に商品を追加する)「配送間違い」(どこかの商店の商品を別の店に移動させる)といった商品を変化させるものなどがある。

  • わりと重要なのは「ポーランド統一労働党の友人」というカードで、次の商品補充カードの山を上から2枚見ることができるようになるというもの。このゲームでは並んだ商店に商品が入荷されないこともざらなのでどこに商品が並ぶのかはかなり重要。
  • 面白いのが、カードを3枚使う前にパスした場合、残ったカードは一度自分のカード山の上に置くこと。これにより有効なカードは温存できるが、あまりカードを使わないと次に引くカードが変わらなくなってしまう。しかもカード総数は10枚程度しかなく、全ターン(5ターン)フルでカードを使えないようになっている。商品だけでなく、カードも節約しないといけないようになっている。

 そして、全員がカードを使い終えたら(全員パスしたら)、その時点で各商品が置かれている焦点に並んだプレイヤー駒の前にいる人から順番に、商品カードを受け取ることができる。

  • また、このときもしNPCコマが商品を受け取った場合、その商品は「フリーマーケット」に並ぶ。ここは任意の商品2つで1つの商品と交換できる。ターンごとに移動する「バザーの売り手」コマがいるところは例外として1対1交換可能。


フリーマーケット。たぶんあまり利用しないが、NPCに商品を持ち逃げされると利用せざるを得ない。

 商品を獲得し終わったら、次のターン。これを全5ターン続けて、自分の商品カードに書かれた商品をすべて獲得したプレイヤーがいた時点でそのプレイヤーの勝利となる。

  • とはいえ、このゲーム全体でも全プレイヤーの需要を満たせないぐらいしか商品が登場しないので、もうひとつの勝利条件である「5ラウンド終了時点で最も多くのリストの商品を集めていたプレイヤーが勝者」で決着する場合が多い。


↑集めた商品カード。とにかく数がカツカツ。

 ゲームそのものは割とシンプルで、行列というテーマをうまくゲームに落とし込んでいると思う。共産党時代の悲惨さを伝えるというもう一つのテーマも、ゲームのカツカツ度、重さから嫌というほど伝わってきて辛いw

  • 特に必見なのがマニュアル。6か国版分の分厚いマニュアルが6冊分入っているのだが、内容はゲームのルール半分、残り半分が共産党時代の暮らしを書いた恨み言が記載されている。ロシア語版があるのが怖いよw

 実際のプレイ時間は1時間程度。ルールは簡単で割とあっさりしているのでプレイそのものは楽。楽ですが、テーマのせいかプレイ後どっと疲れる気がします。
いずれにしてもなかなか面白いゲーム。共産圏時代の暮らしに思いをはせるというテーマそのものもかなり成立しています。
 にしてもこのゲーム、発行元が「国民記録機関(IPN)」ということはこれ国の予算で作られているのだろうか。気になる。