さて、なんとなく始めたこのボードゲームレビューもついに30回目。今回は、ボードゲーム界の巨匠、ライナー・クニツィア作の「交易王」。
交易王第2版(Handelsfursten, 2nd Edition)
- 作者: Reiner Knizia
- 出版社/メーカー: Pegasus Spiele Gmbh
- 発売日: 2005/09
- メディア: おもちゃ&ホビー
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我が家にはすでに棚二つが溢れるぐらいボードゲームが置いてあるのですが、そのなかでどのデザイナーのゲームが一番多いかといえばまず間違いなく「ライナー・クニツィア」の作品でしょう。別にデザイナー買いしているわけではなく、適当に買ったらクニツィアだった、というパターンがすごく多い人だということでw
その割にはこれまであまり紹介してきませんでしたが…。30回中、これでまだ4つ目なんですよね。意外や意外。
さて、交易王、箱はそれなりにでかいのですが実質カードゲームです(よくあることですが)。
プレイヤーは貿易商人となって、自前の船に商品を載せてはその相場を操ってお金を稼いでいきます。ゲーム終了までに一番お金を稼いだプレイヤーが勝利、という大変わかりやすい内容なのですが、商品や相場変動のタイミングに駆け引きの妙があり、一筋縄ではいかない内容となっています。
- ゲーム開始時、プレイヤーは2隻の船カードと3枚の商品カードを持ち、商品の相場を表す6枚のカードを場にオープンしてスタートします。
↑相場用カードをオープンしたところ。ここにカードを出していく。
- 各プレイヤーの手番は二つのフェイズに分かれていて、まず第一フェイズでは「船の商品を載せ替える」か「スペシャルカードを購入する」かのどちらかを選択して行います(どちらも行わない、ということもできます)。
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- 第一フェイズで載せ替え可能な商品は基本一つだけ。商品のストックはそれぞれ5個ずつなので、人数によっては売り切れが発生してしまい、欲しい商品が手に入れられないこともままあります。
- 「スペシャルカードを購入する」は、追加の船カードや、各々特殊な効果を持ったカードが購入できるのですが内容は後述。
- 続いて第二フェイズ。ここでできることは「相場の変動」か「商品カードを二枚引く」のどちらか。(ここのフェイズではパスできません。必ずどちらかを行う必要がある)
- 「相場の変動」では、手札にある商品カードから任意のカード(同一種類であれば何枚でも)を場にオープンされたカードに重ねておきます。こうして場に出したカードの商品が船に積載されているプレイヤーは、相場にあるその商品のカード×商品数分のお金を獲得します。
- たとえば「塩」が相場カード中4枚存在し、船に2つ塩が載っていたら、4×2で8金もらえることになります。
- このお金はカードを出したプレイヤー以外でも商品があればもらえます。どうやって他のプレイヤーの決算に相乗りするかがこのゲームのポイント。
- 「相場の変動」では、手札にある商品カードから任意のカード(同一種類であれば何枚でも)を場にオープンされたカードに重ねておきます。こうして場に出したカードの商品が船に積載されているプレイヤーは、相場にあるその商品のカード×商品数分のお金を獲得します。
- 「商品カードを2枚引く」を選んだ場合は、山札から2枚商品カードを引きます。山札が切れた瞬間ゲーム終了となるので、どのタイミングでゲームを終わらせるかはプレイヤーに委ねられています。
- 山札が切れた時点で即座にゲーム終了となり、その時点で最もお金を所持していたプレイヤーの勝利となります。
- スペシャルカードは「船」、「商館」、「売買契約書」、「港湾労働者」の4種類があります。「船」は追加の船が使え(商品は即座についてきます)、「商館」は第二フェイズの最後に追加で商品カードを一枚ドロー(相場変動を行っていても一枚は引けます)、「売買契約書」はお金がもらえるごとに2金追加でもらえ、「港湾労働者」は第一フェイズの最後に追加で商品積み替えを行えます。
- どれも強力な効果ですが、それぞれのカードは船を除いて2枚ずつしかないため、購入は早い者勝ちです
- 余談ですが、私が購入した交易王にはなぜか「売買契約書」が3枚入っていました。ほかのセットもこうなのでしょうか…。
基本的なルールはこれだけ。シンプルですが、大変に駆け引きが熱く先のことを考えながらプレイする必要があり、その展開はクニツィアジレンマの見本のようなゲームとなっています。
- 自力でお金を得るためには、「商品カードを引く」→「商品を載せ替え」しつつ「相場を変動させる」という2ステップ必要なため、ほかの人の決算に絡んでお金を稼ぐコバンザメ戦術が非常に有効になっています。というか独自採算路線はほかのプレイヤーの動き次第で取り残されがちになるため勝つのはかなり難しい。
- スペシャルカードはどれも効果がでかいのですが値段も高めで、しかもこれ勝利点であるお金を使ってしまうため買い過ぎると勝利からかえって遠ざかってしまうことになります。かといってモタモタしていると、欲しいスペシャルカードが売り切れてしまう可能性もあり、そこがまた悩ましさをもたらしてくれます。
- プレイ人数でかなりスペシャルカードの強弱が変化するのも特徴。「港湾労働者」は少人数のプレイ(特に2人対戦)では絶大な効果を発揮しますが、4人プレイでは元を取る前に終わってしまうことがあるでしょう。逆に「売買契約書」は決算が置きやすい4人プレイ時に最も効果を発揮します。場をよく読んで購入しましょう。
ルールのインストが簡単で、一回のプレイ時間が短くさくっと終わることからついつい何度もプレイしてしまう傑作。あと箱はかなり圧縮できるので(普通のトレカケースに全部入る)、持ち運びが便利なのもうれしいところ(というか元の箱のスカスカさは…)。
クニツィアの数あるゲームの中でも傑作といっていい一品。これはぜひ遊んでみてもらいたい。