Switch版「カブトクワガタ」 レビュー

 昨今、一部の数寄者達で話題となっているSwtich版ダウンロードソフト「カブトクワガタ」。

 あのコロコロとムシキングのプロデューサーがタッグを組んで作ったというそこだけ聞くと相当気合入ったコラボレーションのようだが、その実態は一体いかなるものなのか今回レビューしていきます。

  • 今回はストーリーモードを一周クリアしたところまでの感想となります。なるべくネタバレには配慮しますが、一応ご注意ください。

 


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 これが公式のCMという時点で何かを察するw これは一体どんな層に売り込もうとしているのかさっぱり分からねぇ…。

 

 まず、ソフトをダウンロードして起動しようとした瞬間に、凄まじい違和感が。

 おい、起動画面のタイトルが「カブトクワガタ」じゃなくて「カブクトクワガタ」になっているぞ。ここまであからさまに誤字っているタイトルは始めて見たかもw

 

 なお、SwitchをPCにつないで写真フォルダを見てみたらこちらも案の定である。こんな初歩的な部分をいきなり間違ってくる姿勢にプレイ前からもうワクワクが止まりませんねw

 

 そしてタイトル画面が出た瞬間爆笑。というのもこのゲーム「すべてのセリフがフルボイスだが、声はすべて機械音声」という商業用ソフトとしてはある意味とんでもない仕様だからです。そんな方法でフルボイス実現したゲーム聞いたことねぇよw

  • ある意味、難しい漢字が読めない子供向けという事なのかな、とも思ったがそれだったら文字を「ひらがな」多めにしておくとかそういう配慮がいるだろ。こんな力業での解決があるかよ。

 

 名前入力画面でカーソルを合わせた文字や「ひらがな」「カタカナ」といったメニューまで読み上げるのはクッソ面白いw そんなところまでフルボイスってなんだよ。

 

 もちろん、面白い名前を入れて読み上げることも可能。正直これだけで無駄に笑えるし遊べます。オモシロフレーズを入れたり、卑猥な言葉を入れてみたり。多分本作で一番面白いのはこのパートw

  • ちょっと感心したのが数字を入れたときの反応。「12345」のように入力すると「いち、に、さん、よん、ご」のように文字ごとに読むのではなく「いちまんにせんさんびゃくよんじゅうご」のように桁を考慮して読み上げてくれる。元の読み上げソフトの実力だとすると無駄に高度なことやってるなw

 

 なお、ゲーム開始前から笑わせてくれるフルボイス仕様ですが、「はなすスピード」で会話速度を、「こえのおおきさ」で音量を変えられるものの、「ボイスOFF」は存在しない。そのため嫌でもこのボイスを延々と聞き続ける必要があるぞw

 

 ストーリーはごく普通の少年が、突然巨大な虫たちが存在する異世界にワープ、そこから戻る手段を探すため、虫たちと戦ったり集めたりするという、まぁホビーものでは割とアリがちな話だ。

  • ただ、なんか全体的に日本語がおかしいのがとても気になる。スゴイ海外翻訳っぽさが漂うのだが一体どういうことなの…。
  • 登場人物はどいつもこいつも説明的なセリフばかり履くし、ストーリーは特に何も解決せず終わるしでシナリオやテキスト面はかなり壊滅的。子供向けとはいえ、ちとひどすぎないかな?と思っちゃう出来。

 

 この異世界ワープ時の「うわあぁぁぁ」って何とも言えない読み上げ音声による棒読み悲鳴がクッソシュールで一聴の価値ありw

 

 このゲームのメインとなるのが昆虫バトル。ここちょっとだけムシキングみたいだが、完成度の面では雲泥の差でヒドイ。20年前のゲームにも劣るゲーム性にちょっと戦慄する。

 

 まずバトル開始前に虫の相性比べからスタート。ここは三すくみ(赤→緑→青→赤…)となっており、これに勝つと相手のパワーを下げることができる。ここまではまだ良いのだが…。

 

 そして肝心の虫バトルは「ルーレット」により「デカいほうが出した方が勝つ」という駆け引き要素が全然ないバトル。目押しがすべてです。

  • 虫にはそれぞれ「強さ」の数値があり、その差分によってルーレットの数値が決まる。「強さ」にちょっと差があるとそれだけで勝ち目がないようなルーレットの目になるため、強さが高い虫を使うことが何より優先となります。弱い虫は絶対勝てないというのがシビアすぎる…。
  • また虫にはそれぞれ1戦ごとに1回使えるスキルがあるのですが、ほとんどがバトルに影響がない死にスキル。たまにミスを補える「体力回復」と、強さをブーストできる「元気アップ」だけはたまに使えるかな、というぐらい。
  • ライフゲージが5目盛りもあるのに、実際は二発入れたほうが勝ち(一回目で4ゲージ減り、二回目でトドメとなる)という謎の仕様も最後まで混乱の元だったぞ。まぁこれのおかげで無駄に長引かないといえばそうなんですけど…。

 とどめを刺したときの演出はちょっと頑張っているが、特に最初から最後まで変わらないのでまず見飽きる。そして大量のエフェクトが発生した瞬間の処理落ちが気になってくるw

 

 虫を捕まえるパートは、こうやって木上を見上げつつ虫を探してバトル→捕獲という流れ。

  • この時の操作性がかなり悪い。まず視点がスムーズに動かせず、そしてカーソルは虫に合わさるとある程度ロックされるのですが、これの為に近くにいる虫にカーソルを切り替えるのがめちゃ困難。正直めちゃくちゃイラつく。

 

 また捕獲で同種類のオス、メスを揃えれば、交配して卵を産ませることも可能。それ自体はまぁ、こういうゲームでは良くあることなんですが…。

 よりによって交尾シーンが3Dグラフィックで表示される演出がマジで腹筋クラッシュ。 「オスとメスが、こうびししました」じゃないんだよw さすがに子供向けゲームなんだからそこは少しぼかせよ。

  • 繁殖は各村のショップで可能だが、交尾のたびに「こうびしました」というセリフが流れるのがクッソシュール。ご丁寧に3人の店員でそれぞれ喋り方が微妙に違うという無駄な力の入れどころとなっています。君が一番好きな店員は誰かなw

 

 本作の見どころは「虫のグラフィック」。ここだけはマジで凄まじく、つやつやテカテカな見た目と触覚や足の動かし方など、ちょっとキモさを感じるぐらいのガチさである。

 正直虫好きならたまらない、虫嫌いもたまらないぐらいのリアルさで正直ここだけは誉めてよいと思う。というかここに予算割き過ぎでは…。

 

 幼虫のグラフィックとか、虫好きでもちょっと怖いレベルでリアルなんですが…。

 

 また、虫図鑑の「ずかんNEO」を基にした虫情報が見れることもグッド。この辺は小学館協力だったからできたことかな。

 

 

 なんだかんだでゲームクリア。逝かれた展開に突っ込みつつプレイしていれば大体4時間ぐらいで攻略可能。実質1000円ならこんなものかな…って気もしますが、さすがに子供向けタイトルにしては短すぎない?

 

 案の定、エンディングのスタッフロールもボイロ読み上げあり。全部読み上げるから超遅いのに、スタッフ少ないので短ぇとというw

 

 なんというか非常に偏った完成度で、虫のグラフィック以外はとにかくヒドイとしか言いようがないんですが、バグらしいバグもなく(虫ゲーなのにね)、なんか癖になるボイス、単純すぎるけど割とマジになってしまうルーレットバトルなどなど、「クソゲーだこれ」といいつつも遊んでしまうという謎の負の魅力が満載です。

 定価1980円のところ、今なら発売一か月セールの980円とお求めやすい価格なので、ネタゲーを求める方には如何でしょうか? 明るい虚無が味わえますよw

 

 

<割と真面目な攻略>

  • 一回詰まりそうになったのが、「初めての夜捕獲時に一度野生の虫と戦って負ける必要がある」ところ。ここは負けることで「虫の交配」が解禁される流れとなっており、その前では強さの強化に限界があるため多分絶対勝てません。ここはとっとと負けましょう。
  • 交配が可能になったら、後はひたすら繁殖を行って虫を売ることでお金を稼げるようになります。買取×2倍となっている虫を延々繁殖→売却することでお金を貯めていきましょう。エサ代はかかりますが買取価格の方が高いので、業者のごとくがんがん生ませては出荷していきましょうw 繁殖そのものは演出のテンポがよい2番目の村が一番やりやすい。
  • 繁殖前にエサを食べさせ、強さ10の最大オーラ状態にすることで強い卵を産ませることができます。また、幼虫を育てる際は食べさせたエサの価値で強さが決まりますが、一番高いエサだけ上げると途中で食べなくなるため、途中で一回中ぐらいのエサを上げるのがコツ。