最近プレイしたゲーム(70):十二季節の魔法使い

 さて、一ヶ月ぶりのボードゲームレビュー。今回はホビージャパンから日本語対応版も出た「十二季節の魔法使い」。

  • 実際のゲームをプレイしてみると、このタイトルがなかなか気の利いたタイトルであることが分かるようになっている。なかなかの名訳だと思う。

十二季節の魔法使い Seasons

十二季節の魔法使い Seasons

 ゲームは大雑把に言うと「マジック・ザ・ギャザリング風ダイスゲーム」といったところでしょうか。マナを貯め、呪文(召喚呪文)を唱えて様々な効果や特典を得ていく、という内容です。
 「季節」が大きなテーマだけあってか、やたらとカラフルなコンポーネントが特徴的。

↑ゲーム進行を表す季節ボードと、各季節ごとに使用するダイス。ダイスは意外とごついサイズ。

 まず、ゲームが始まったら、手札のドラフトを行います。これは「世界の七不思議」とほぼ同じで、ゲーム中で使用する9枚の手札を1枚ずつピックアップしていきます。
 そして9枚をピックし終わったら、そこからさらに「最初の一年目フェイズに使用する手札3枚」と「二年目の手札3枚」「三年目(最後)の手札3枚」にわけて分類します。
 
↑最初の一年目に使用するカードを3枚手札に。残りは伏せて年数チップを置いておきます(右)

  • つまり最初にゲームで使用する手札の計画をきちんと立てる必要があります。最初の一回目では何をしていいのかわからないと思われるため、二回連続でプレイするといいかも。

 手札を決めたらゲーム開始。そのラウンドのスタートプレイヤーは、現在の季節のサイコロ(プレイヤー人数+1個ある)を振り、そこから使用するサイコロをピック→次のプレイヤーは残りのサイコロをピック・・・というように選びます。
 このサイコロには「呪文を使用するためのマナを得られるもの」「呪文を唱えるための召喚ゲージを上げるもの」「マナを得点に変換するもの」「カードを引くもの」「得点が得られるもの」などの効果が書かれています。


↑このアイコンの場合だと「□:カードを1枚引く」。


↑このアイコンだと「☆:召喚ゲージをひとつ増やす」「羽:赤のマナを1個得る」「外側の○:マナを得点に変換する」の3つの効果が同時に得られる。

  • サイコロを得たら、その効果を適用し、次に手札の「パワーカード」(呪文)を唱えることができます。

 パワーカード(呪文)を唱えるにはマナが必要です。このマナは全部で四種類あり、ダイスからこれを獲得していくのが基本になります。

  • それぞれの季節によってはサイコロの目に登場しないものもあります。一つ先の季節のシンボルになっている目が出なかった、と記憶しています。


↑4種類のマナ。

  • これらのマナは各プレイヤーに配られた個人ボードの上に置いていきます。最大7つまでしか持てず、余った分は捨てるしかないのでご利用は計画的に。


↑個人ボード。上のギザギザしているところにマナをはめて行く。

 マナを貯めたらいざ呪文・・・といきたいところですが、呪文を唱えるには「召喚ゲージ」を上げる必要があります。

  • 「召喚ゲージ」の値分だけ、呪文を唱えることができる。初期値は「0」なのでこれを上げないと呪文が唱えられず、終盤までずっとこのゲージの数に悩まされます。
  • 上げるには「☆」のついたダイスを獲得すればよいのですが、なにしろダイスなので出ないときは出ませんし、取れるとも限りません。取れるときは何より優先してキープしたほうが良いでしょう。


↑個人ボードにある数字の部分が現在の「召喚ゲージ」。これを超える数の呪文は使えない。

 マナと召喚ゲージを貯めたら、ようやくパワーカードを唱えることができます。思う存分唱えましょう。

  • カードは大きく分けて「アイテム」(紫色)と「モンスター」(橙色)があり、使用者に有利に働く「アイテム」と、他プレイヤーの妨害効果が中心の「モンスター」といった違いがある模様。
  • 各カードの能力はそれぞれ「使用時に一回だけ能力発動」「1ターンに1回発動」「永久効果」などがあり、これらの効果をうまく絡めて、コンボを作っていくのが勝利への近道。
    • 何度かプレイしてみた結果「マナを節約orマナを獲得する」系の能力はかなり強いと思った。後は「永続的に他プレイヤーを妨害する」系の能力を持ったモンスターなんかもかなり厄介。


↑パワーカード。マナコストがカード中央に描かれているのがちょっと戸惑う。

  • 「パワーカード」はマナと召喚ゲージがあるのであれば一ターン中に何度でも使用できるので、使えるカードがない状況でもこまめに召喚ゲージを挙げておくことが重要になります。

 また、獲得したマナは得点に変換することもできます。

  • こちらは獲得したダイスに「外側の○:マナを得点に変換する」の効果があれば行うことができます(手番中であればどのタイミングでも可)。季節によってマナの種類ごとの得点変換率が異なるため(1マナあたり1〜3点)、うまくタイミングを合わせると大きく天を稼ぐこともできます。
    • 「得点変換の際の点数を増加」系のカードと組み合わせると20点以上入ることもあるため、得点を荒稼ぎするには重要な要素。マナは結構余りやすいのでガンガン変換していくといいでしょう。

 さて、こうしてダイス獲得→各プレイヤーの手番が終わったら、最後にこのラウンド中に「獲得されなかったダイス」に書かれている・(ポッチ)の数をカウントし、その分だけ中央ボードの「月」を進めます。これが3つ進むごとに新たな季節となり、次のプレイヤーからはその季節のダイスを振ることになるわけです。
 これを3年目の最後までプレイして、最も得点が高いプレイヤーが勝者となります。

  • ゲーム終了時に、場に召喚済みのカードの点数を現在の点数に合計します。また、手札が残っていた場合、1枚辺りマイナス5点となってしまうため、ゲーム終了時までうまく使い切ることも考えなければいけません(まぁ、このゲームうまくプレイすると200点ぐらいになるため、そこまで気にしなくてもいいかもしれませんが)。
  • 3年プレイするので、1年4季節×3年=12季節、というタイトルなのでしょう。本題が「Seasons」というシンプルなものなのでこれは良い翻訳。

 マジック・ザ・ギャザリング的なカード同士のシナジーを考えたりするのが楽しく、うまく戦略がはまった時のおもしろさはかなりのもの。
 ダイスゲームゆえままならぬ展開になることもありますが、これのおかげでプレイ感が非常にシンプル(ダイス選択→手番でカードを使う)になっていることと、ある程度の運要素も混じるため個人的には好印象。
 また、ゲームで使用するカードも「初級」「中級」「上級」のようにカードセットを組み替えることでプレイしやすくなっていたりするため、まずはプレイ回数に応じてカードの種類を増やしていくと遊びやすいでしょう。

 ただ、個人的に気になったのが、あまり類を見ない独特なデザインゆえの弊害。例えば、カードの左上にそのカードを召喚した際の得点が書かれ、カードの中央に使用コストが書かれているとか(普通は左上にコストだと思う)、マナの「風」をあらわすのが「赤色」で、「炎」をあらわすのが「黄色」だったりとか、あんまり一般的に見られないデザインになっていて、しばらく戸惑いました。
 マジック・ザ・ギャザリング風なんだから、そこはテンプレートを合わせて欲しかったところ。
 あと、カードが多いので翻訳シールを貼るのがめんどくさそう。これは完全日本語版が待たれますね。

 とはいえ、シンプルさと複雑さがちょうどいい塩梅の良ゲーム。せっかくなので何戦か連続で遊んでみていただきたいところですね。