ゲームマーケット2012春に出品されたゲームで遊んでみた(その3)

 前回はこちら→http://d.hatena.ne.jp/kaz20001/20120522/1337697607

 前回からまたまが空いてしまいましたが、ゲームマーケット春で発売されていた新作・旧作含めた同人ゲームのレビュー続き。

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アンモナイト (骨折ゲームズ)

  • ゲームやサークル名は有名なのにエンカウント率が低い(2年ぶり?)骨折ゲームズの新作カードゲーム。「古代生物の化石発掘」をテーマとしたカードゲーム。

  • まず、ゲーム開始時にカードを4枚場に公開する(このカードはゲームには使用しない)ほか、プレイヤーにはゲームに使用しない4枚のカードが配られる。このうち1枚だけ選んだ化石の種類については得点が倍になる。


↑最初にもらった4枚のカード。うち1枚はその種類のカードの得点が倍になる。

  • 手番が来たら、プレイヤーは5種類ある化石の中から任意の一種類を宣言する。その後、山札の一番上から5枚のカードを取り、宣言したカードがあれば獲得できる。そして残ったカードは好きな順番で山札に戻せるが、そのうち1枚を山札の下に入れても良い。最後に山札の一番上のカード

  • 獲得したカードは数字がそのまま得点となる(1種類は倍の点数)ほか、種類を集めるとボーナス点となる。獲得カードは全部公開なのでどのカードが倍付けなのかを考えつつカードをカットしたりもできる。
  • 最初に公開されたカードと最初に配られたカード、見えている山札の上のカードに宣言時に確認したカードと、見えている部分の情報から、今どのカードが残っているか(山の上5枚にあるか)を推理していくという独特のゲームシステムで、特に引いたカードを山札に潜らせるあたりが意外とテーマ(化石発掘)に沿っていて、深いゲーム性になっている。
  • 難点はカードが妙にツルツルしている素材なため、山札の下にカードを潜らせる際に取り扱いにくいこと。ゲームマットの使用が推奨されます。


●未確認生物TV2 (ピグフォン)

  • 以前ボードゲームレビューでも紹介したピグフォンの「未確認生物TV」。今回はその続編たる「未確認生物TV2」のご紹介。
    • タイトル的に拡張っぽいですが、これ単体でも遊べます。当然混ぜて遊んでも大丈夫。
  • ルールは完全に前回と同じ。皆で生物テーマに沿った絵(未確認生物)を描いて、それを別の人が番組テーマに沿ったむちゃくちゃな解説をしていく。今回はカードの内容が前作以上に可笑しくなっていて、テーマが出た瞬間頭を抱えたくなりますw

 
↑ちょっと前の実プレイ時に完成した未確認生物。特に右はあまりの完成度に解説さえ大笑いした一品。

  • 注意点としては箱がコンパクトになっているので持ち運びやすくなっていますが、ペンが入っていない(紙は入っている)ので別途筆記用具が必要ってことぐらいかな。前作同様の大笑いしながら盛り上がれるパーティゲームなので、オススメです。


●ファラオの帰還 (77Spiele)

  • こちらはエジプト風味のイラストが特徴的なカードゲーム。ジャンル的には競りゲーに含まれるんでしょうか?


↑こちらが競りを行なっていくカード。1ラウンドに5枚あり、全5ラウンド。

  • 場に並んだファラオの秘宝を、手札の団員カードを使って競り落としていく。ただし秘宝には呪いがかかっており、セリに使った団員カードは捨て札になってしまう。捨て札になったカードは「ファラオ」カードを使用することで回収できるが、その回の競りからは脱落となる上、2枚しかない使い捨てなので、どのタイミングでカードを回収していくかが駆け引きとなる。


↑手札。団員カードを回収できるファラオが鍵となる。

    • またファラオの秘宝の代わりに団員カードが競りにかけられる場合もある。この場合、使ったカードはラウンド終了時に戻ってくる。
  • 1ラウンドに行う競りは5回(5枚)。これを5ラウンド行なって
    • 得点方法は「秘宝の点数」のほか、「種類を集めたことによるボーナス」「最も多くの団員カードを残していることによるボーナス」がある。特に種類ボーナスは大きいので積極的に狙っていきたい。そのため、1点しかない王座(これは1枚しかない)あたりはその点数の割に奪い合いになったりする。
  • 面白いのが「ホルス」カードの存在。これはセリを開始するスタートプレイヤーマーカーなのだが、同時に競りの際の団員の数値に補正がかかる(現在のラウンド分、団員数をプラスする)というもので、手番時に「パス」の代わりに「ホルス」を宣言することで獲得できる(ホルス宣言は1回の競りの間に1度しか宣言できない)。後半は補正値が高くなるため、以下にこのカードを獲得していくかが勝負の決め手となる。
  • 同人とは思えない高い完成度のカードゲーム。唯一の難点が箱が小さすぎることで、マニュアルも入れるとかなりカツカツな上破れ易いので、これは別に入れ物を用意したほうがいいかもしれない。


●卑怯なコウモリ[新装版] (オインクゲームズ)

  • 以前ゲームマーケットで発売されていた「卑怯なコウモリ」の新装版。箱からカードから全部きっちり新しくなっている。


↑新装版の箱。サイズちっさい。

  • 箱を開けると、前回までなかったスタートプレイヤーマーカーの「コウモリ」コマが。小さいながらもしっかりした存在感。


↑コウモリコマ。ちゃんと目の部分に穴があいている。

  • また、カードイラストも「獣」「鳥」それぞれの陣営を色ごとに分けてあるのですが、一枚一枚イラストが違うという凝りよう。


↑カードイラスト。様々な「獣」と「鳥」が描かれている。

  • ゲーム内容は以前販売されていたものと同じ。スタートプレイヤーから一枚ずつカードを伏せて(あるいは表向きに)出していき、全員のカードを一斉公開して「獣」か「鳥」多いカードの陣営が勝利となります。
    • このとき、「コウモリ」は「獣」か「鳥」どちらか勝者の側につくというまさにコウモリ野郎として立ち回れるのですが、「獣」と「鳥」が引き分けの場合や、どちらか一方の陣営のカードしかなかった場合は無条件で負けになります。
    • このゲーム、一見どちらの側にも付けるコウモリが勝ちやすそうに見えますが、実際にはこれで勝つのは結構難しいため、どうやってこのカードで価値を収めるかが勝負の分かれ目。


●エレファントパーク(うっかり本圃)

  • ゲームカフェ「Ninety」とボードゲームタイ料理屋「ソンタナ」の応募ゲーム企画から生まれたという、ちょっと変わった経歴のカードゲーム。


↑様々なゾウの催し物にカードを出していく。それぞれ得点できる条件が違う。

  • プレイヤーは象使いとなって、場に並んだゾウの催し物に1枚ずつカードを出していく。「ゾウのサッカー」や「ゾウのタクシー」など様々な催し物があるのだが、それぞれ得点できる条件が違い、どこにカードを出していくか、どの順番でカードを出すかといった読み合いや駆け引きが問われます。
    • カードは1〜6までの数字が書かれているのだが、このうち「1」は続けてカードが出せ、しかも出すカードを伏せて出せるという特殊カード。「6」は数字が高いが、次のプレイヤーが出すカードが伏せカードになってしまうリスクがある。
    • 面白いのがNPCのゾウ使いの存在。ゲームの開始時や終了時にランダムにカードが出されるのだが、このカードの存在によってすべての目論見が崩されることもある。プレイヤー同士の駆け引きと読み合いのなかに、このランダム要素が加わってカード公開時にはいろいろ笑えることになります。


↑カードを出して行ったところ。NPCのランダムさに振り回されます。

  • 読み合いと駆け引きがちょうどいいバランスで、プレイ時間も短めとかなり綺麗に纏まったゲーム。コンポーネントがややしょぼい(特にボードが薄っぺらい紙)ことを差っ引いても、かなり完成度の高い内容だと思います。これ再販とかしないのかな。


●六花の花 (みさき工房)


↑こちらが箱絵。ゲームとは関係ないけどタイトルがフォントの関係で「穴花の花」に見えるw

↑こちらが全体ボード。迷宮のどのぐらいの深さまで潜ったのかを示す。

  • まずゲーム開始時に、パーティメンバーカードのドラフトを行い5人のパーティメンバーを決めます。


↑5人のパーティメンバー。原作以上にバランスが悪くなる傾向ありw

    • 取り敢えず「バード」はかなり強い。またFOEには無力だが、それ以外の敵は即死させられる「カースメーカー」、サイコロ判定を矯正6ゾロに変更する「ダークハンター」あたりもかなりヤバイ。それ以外にもFOE用に「パラディン」、先制攻撃対策に「レンジャー」がいるとパーティが安定する。逆に物理しかない「ソードマン」あたりは結構キツイ。
  • パーティメンバーが決まったら、個人ボードの「物理攻撃」「属性攻撃」の値をパーティメンバー全員の値の合計値にセットします。


↑こちらが個人ボード。パーティ全体のレベル、物理攻撃、属性攻撃の数値を示す。

  • 各ラウンドごとに、プレイヤーは迷宮のモンスターと戦っていくのですが、このモンスターは「その時点で最も迷宮進行度の低い」プレイヤーが選択していきます。具体的にはモンスター山札を1枚めくり、そのモンスターを好きなプレイヤーに裏向きで配っていきます(自分にも配る)。配られた後、「そのモンスターと戦う」か「戦わないか」を選択していきます。

 
↑敵キャラクター。原作通りFOEは強力なモンスターで、対策しないと軽く死ねます。

  • 戦闘時にはモンスターに対して「物理」か「属性」どちらかの値で攻撃を仕掛け、相手の耐久力を上回れば勝利となります。戦って勝てば迷宮進行度は上がり、モンスターによってはレベルの上昇(物理、属性の修正値が上昇する)しますが、倒せるかどうかはモンスターを見るまで分かりません。原作通り、到底倒せないような性能のFOEも存在するため、戦闘はつねにリスクがつきまといます。
    • 戦闘に敗北した場合は迷宮進行度が下がります。戦闘を行わない場合はパーティメンバーのMP回復や、メンバー入れ替えが行えるので、あえて戦闘しないことも重要です。
  • 迷宮の最奥に到達したらラスボスとの対決。かなりの強敵でこれを倒したプレイヤーが勝者となります。


↑ラスボス。だいたい物理、属性のどっちかが50超えたあたりでなんとかなります。

  • 基本的な攻略としては、攻撃力に+判定を加えることができるレベルをなるべく早いうちに上げておくこと。モンスターを倒してのレベルアップは、モンスターを選択するのがほかプレイヤーになることが多いため安定しづらいです。そのためスキルを使って安定したレベル上げが可能な「バード」は非常に強力。隙あらば能力を使い、なるべくレベルを稼いでいくようにしたい。
  • ゲームシステムやテーマは面白いのですが、結構パーティメンバーのジョブごとの格差があるのが気になります。特に「ソードマン」のいらない子具合とか。他にもシステム上仕方ないのですが「ヒーラー」が殴り専門なあたりとかw(しかも強い。カースメーカーと組むことで最大ダメージをたたき出すダメージソースになります)。