最近プレイしたゲーム(64):村の人生

Village

Village


 今回のボードゲームレビューは、中世の村人の生活をテーマとした「村の人生」。一見地味なテーマなのですが、見事にゲームシステムでそれが再現されているゲームです。


↑ボード全体。
 ゲームジャンル的には「ワーカープレスメント」に含まれるのでしょうか。ただし、ワーカー(村人)が死んでいく(無くなっていく)という点で、他に類を見ないかなり独特なシステムとなっています。

  • まずゲーム開始時、プレイヤーは「1」と書かれたワーカー(村人)4つを受け取ります。
    • この数字は村人の世代を表していて、最大「4」まで存在します。


↑ワーカー(村人)コマ。初めは「1」のコマだけ。

  • ワーカーを自分の「農場」ボードの上に置き、「時間」を最初の時間にセットします。この「時間」の使い方がこのゲームのミソとなる要素。


↑農場ボード。周りにある砂時計のマスが時間を表します。

 プレイヤーは手番が来たら、ボード上にあるアクションスペースに置かれた「影響力」コマを取り、その場所のアクションを行なっていきます。

  • アクションは全部で7箇所(+1箇所)で、アクションスペースに影響力トークンがない場合は基本的にそのアクションを行うことはできない。例外として「同じ色の影響力コマ3つを支払う」ことで


↑ピンク色(紫色?)の二箇所が「収穫」と「結婚」のアクション。

  • 「結婚」を選択するとワーカーがひとつ増えます。このとき増えるワーカーはストックにあるワーカーのうち最も世代が若いもの(最初は「2」、それがなくなってから「3」・・・と出てくる)が農場に出てきます。
  • 「収穫」は農場にワーカーが残っている時のみできるアクションで、小麦トークンが2個もらえる。このとき、アイテムの「牛」「馬」と「鋤」があれば、収穫量が増加する。収穫を多めに行うならばこれらを揃えたほうがいいだろう。


↑黄色いところが「職人」のアクション。

  • 「職人」はワーカーを各アイテムの工房に派遣し、アイテムを作成するアクション。
    • ワーカーを派遣する際にまず時間が経過し、アイテム作成時は影響力コマの消費か時間を経過させることで行える。一度派遣してしまえば、以後は派遣にかかる時間がなくなる。
    • どのアクションで得点を稼いでいくかで目指すべきアイテムが変わっていく。「牛」+「鋤」は収穫を増やし、「馬」は高目に売れる。「馬車」は旅行に不可欠で、「巻物」は議会アクション時にあると便利など。個人的には、収穫を増やす「牛」+「鋤」は早めに欲しい(小麦はいろいろ使い道があるので)。


↑「市場」アクションに並んだ買い物客タイル。

  • 「市場」アクションを選択すると、選択したプレイヤーから順に商品(アイテムや小麦)を売ることができる。アクションを選択したプレイヤーの初回売却では追加コストはいらないが、二人目以降は緑の影響力トークンと1時間が必要となる。
    • ここで獲得した買い物トークンは書いてある数字がそのまま得点となり、裏返しで持っておくために何点あるのかをほかプレイヤーが把握しづらい。この見えない点が勝敗を左右することがあるので、ある程度は商品を売れることが望ましい。


↑「旅行」アクション。すべての箇所を回るのはかなり難しい。

  • 「旅行」アクションを選択すると、ワーカーを派遣して村の外に旅行させることができる。一箇所移動するためには2時間+影響力トークンいくつか+馬車を消費とかなり難しいが、回った箇所によってボーナス点が増えていくため、なるべく多くの箇所を回りたい。
    • 全箇所を回った場合、得られる点数はボーナス18点+6点の24点。これだけで勝つことは難しいので、何らかのほかの得点源と組み合わせて使いたい。「馬車」をとにかく消費するため、「職人」アクションで馬車を大量に作って、余った分売りさばいたり、「議会」アクションに人を送り込んで馬車を確保+点数底上げあたりが理想的か。


↑「議会」アクション。強力な効果だが、選べる回数は少なめ。

  • 「議会」アクションはやや特殊で、ワーカーを送り込んだ後、レベルアップの段階を踏む必要がある。レベルアップ後は現在いるレベル以下の議会アクションを行えるようになる。
    • ここで行えるアクションは「次のラウンドのスタートプレイヤーをもらう」→「好きな資源コマ2個」→「好きなアイテム1個」→「1金を3得点に変換」とどれも有益なものばかり。その分、アクションを行える回数は少ないので、ほかプレイヤーと競合すると難しい。
    • レベルアップには緑影響力コマか、巻物が必要。意外と緑コマだけを集めるのは難しいので、巻物を量産するほうが現実的か。


↑「教会」アクション。ワーカーを送り込んでも選ばれるとは限らない厳しい道。

  • 「教会」アクションはやや特殊で、ワーカーをひとつ出家させることができるのだが、この時「黒い袋」のなかにワーカーを突っ込む。で、ラウンド終了時にこの袋から4つまでコマを取り出し、そこにワーカーが含まれていて初めて教会に配置されるという仕組み。
    • この黒い袋には最初からハズレのコマが4つ入っているので、ひとつ送っただけだと外れる可能性も結構ある。そこでお金を払うことで任意のコマを取り出すことができる。
    • 取り出されたコマは、小麦袋を支払うことでレベルアップしていき、ラウンド終了時最もレベルの高いプレイヤーに2点、そしてゲーム終了時にそのレベルの点数をもらう(最大6点)。この点数が意外と馬鹿にならない。

 さて、これらアクションを行なっていき、得点を稼いでいくのが目的ですが、アクションを行うごとに増えていく時間が一定時間(10時間)過ぎるごとにワーカーが「死んで」しまいます。

  • 死ぬワーカーはその時点で最も世代が古い任意のワーカー一つ。新しい方から先に死なせることは出来ない。

 ワーカーがなくなってしまうため、普通に考えたらデメリットでしかないのですが、このゲームでは死んだワーカーは「村の歴史」という名簿に記録されていきます。

↑「村の歴史」。死んでいったワーカーはここに置かれるが早い者勝ち。
 この名簿に記録されていったワーカー数によってゲーム終了時にボーナス点がもらえるため、ゲーム中盤に差し掛かった頃には積極的にワーカーを死なせに行くプレイヤーが続出しますw

  • どのアクションに使っていたワーカーを死なせたかによって置かれる場所が異なる。すでに定員いっぱいまで載っていた場合はワーカーは名簿に乗れず、共同墓地送りになってしまいます。ボーナス点は最低3人以上載る必要があるため、計画的な使い捨てが必要になります(ひどい話だ)。
  • またアクション時に獲得する影響力コマの中には、資源として使えない「黒コマ(病気)」があり、これを獲得するとアクションいかんにかからわず2時間経過します。普段はあまり取りたくないコマですが、ワーカーを狙って死なせる場合は大変有効w

 名簿がいっぱいになる、または共同墓地がいっぱい(5人)になるかでゲーム終了。その時点で最も得点の多いプレイヤーの勝利となる。

 ワーカーが経年で死んで行き、それが得点となるという独特のシステムははじめ戸惑いますが、慣れてくるとワーカーが死ぬことまで計算に入れたアクション選択ができるようになっていき、それがわかってくると大変面白い。

  • 何度かプレイしてみた感じだと、まず「村の名簿」は農場系アクション(「収穫」と「結婚」)から先に埋まり、次に「職人」がいっぱいになることがほとんど。それ以外のアクションではワーカーが載ることはあまりないため、まずは農場系アクションを早い者勝ちで置き、続いて職人、そこまで置いてから残りのアクションに置いたマーカーを死なせていくといいだろう。
    • 効率良くボーナスを得るにはどうやって狙ったワーカーをタイミング良く死なせるかが鍵となる。黒コマを使った時間稼ぎ、職人プレイ時にあえて資源ではなく時間をかけてアイテムを作るなど様々考えられます。また、「結婚」アクションの際、ワーカーを増やすのではなく、ボード上のワーカーを戻しても良い、というルールがあり、これを利用してワーカーを別のアクションに移動させてから死なせる、といったテクニックも使えます。
    • そんなこんなで、プレイしていくと次第に「こいつ死なないかな」だの「村のために死んでくれ」だのと鬼畜な言葉が飛び交いますw

 ワーカープレスメントとしてはアクションごとにワーカーを置ける数に制限がないなど比較的制限がゆるく、プレイ時間も一時間程度と案外短め。
アクション自体の処理はややこしいところもあまりなく、すんなりルールも理解できるので、意外と初心者向けかもしれません。

  • ただボードがデカいので箱ごと持ち運ぶ必要があり、その点だけはちょっと面倒です。

 なんにせよ、多種多様な戦略が考えられる、最近のワーカー系ゲームだと随一の傑作だと思う。しばらくは主だったボドゲ例会に持ち込んで遊んでみたいと思うぐらいには好きなゲーム。