中国ボードゲーム事情(1) 中国のボードゲーム雑誌

 今、中国では空前のボードゲームブームが来ているらしい。

 ことの起こりは数年前(2010年頃だったかと)、中国で「三国殺」という、三国志をテーマとしたカードゲームが大流行したことに始まる。

  • ちなみにこのゲームはMayfare Games社が出したBANGというゲームを元にした・・・というかルールそのまんまのゲームらしい。

 「三国殺」の基本セットは400円ぐらいとかなり安く、その流行により今ではおもちゃ屋はもとよりコンビニにまで置かれるほどのブームとなった(らしい)。
 そうして訪れたボドゲ熱に即時に対応した中国のメーカー達によりあっという間にボードゲーム市場が盛り上がり、現在では様々なオリジナルゲーム開発華やかなりし、かなりの規模の市場が完成されている、という話である。
 つい先日、中国で行われた大規模なボードゲーム展覧会などは、200を超える企業ブースの出店があった模様で、実際に行ってみた人から話を聞いてみても、かなりの熱気だったらしい。

  • 詳しいレポートについては、当ブログからもリンクしている「ピグフォン」さんのBlogで紹介されています。 参照→http://bit.ly/JtE9VC

 で、そんなこんなで、中国産のボードゲーム雑誌やらボードゲームやらに触れる機会があったので、今回簡単に紹介してみたいと思う。

 まずはボードゲーム雑誌。日本とは違い、中国ではもうかなりの数のボードゲーム雑誌が出版されており、しかもボードゲーム店とかだけでなく普通の本屋にも置かれているとのこと。向こうのボドゲブームのほどが伺えます。

  • なお筆者は中国語は読めません。漢字を目で追ってなんとなくで理解しています。ので、感想とか間違っているかもしれません。あらかじめご了承ください。


↑今回見せてもらった雑誌。「卓遊志」「卓遊倶楽部」「DICE」の三冊。

 まずは表紙がボードゲーム雑誌らしからぬ華やかなビジュアルの雑誌「卓遊志」。

↑コスプレしたモデルさんが表紙。
 中身は、基本を押さえたボードゲームの紹介や攻略記事(らしきもの)。ボドゲの紹介部分はファンシーなイラスト付きだったり、説明が漫画だったりと、他の二誌に比べ可愛らしい雰囲気。ビジュアル面で日本のファッション雑誌に近い感じ。
 
↑ふんだんにイラストを使った紹介に、漫画で説明。
 あと、なぜか雑誌のいたるところにコスプレイヤーの写真(特集?)などが挟まっていたのが印象的。


コスプレイヤー写真。美人多し。


 続いてアセンションのカードイラストが表紙の「卓遊倶楽部」

↑今回見た中では一番ボードゲーム雑誌っぽい表紙。
 中身は、やはりアセンションの特集記事。かなり大きな写真で紹介されていて、中国市場への力の入れようが伝わります。
 
アセンション特集記事。
 この他にも、ボードゲームの紹介記事などが多数。「卓遊志」と比べると、割とゲーム内容に突っ込んだ、レビューや攻略記事中心の紙面っぽかったです。この日見た雑誌の中では日本のゲームリンクなどの構成に一番近く、一番ボドゲ雑誌っぽい内容でした。
 
ボドゲ紹介記事。
 で、読み進めていって驚いたのが、この雑誌の一部記事が実際にゲームリンクに掲載されていた記事の翻訳版が載っていること。通りで読み易いと思ったら、本当にこの翻訳記事をはじめとして、紙面構成そのものも参考にされているっぽいですね。

↑ゲームリンクVol8の「デッキ構築ゲーム特集」記事の翻訳。この特集は一通り翻訳されているみたいでした。

↑同じくゲームリンクVol8に乗っていた「等身大のゲーム」の大聖堂プレイ記事。これは写真がちがいますが、紛れもなく同じ内容でした。


 続いて、表紙がいきなりのストームトルーパーという、ボドゲ誌なんだか何なんだかよくわからない表紙の「DICE」。

↑ストームトルーパーが表紙という、一見してボドゲ誌とはわからん表紙。
 で、肝心の内容なのですが、文字がぎっしり詰まった内容で、ゲームの紹介記事はもとより、クリエイターインタビューや、読み物系の記事が多い、本気度高目の内容。ほかの二冊よりやや高い値段で、中身的にもより専門性の高いマニア向けっぽかったです。

↑特集記事はスターウォーズゲーム特集。

↑美麗なカードイラスト。ゲーム制作者対談記事などもあり。

↑こちらはIPadで遊べるボードゲームの記事っぽい。

 どの雑誌もかなり印刷の質が高く(日本の雑誌に引けを取らない)、それでいてリーズナブルな値段(15元〜25元程度。日本円だと190円〜320円!)。これらが普通に書店に並んでいるというのも驚きです。

  • あとやはり「三国殺」の紹介・攻略記事がどの雑誌にも載っていましたが、各々で紹介の切り口が違っているのが面白かったw それぞれの雑誌のスタンスがよく表れている。

 あと、珍しいところでこんなやつもありました。


↑ドイツボードゲーム雑誌「SPIELLBOX」の中文版。日本語版はないのに・・・。
 ドイツゲーム雑誌「SPIELLBOX」のなんと中国語版! こういう雑誌まで出ているとは。中国市場スゲェな。
 

 中身は、おそらく今度中国語版が出るであろうボードゲームの紹介記事やら、インタビューやらと通常のSPIELLBOXに近い内容でしたが、ごく一部にちょっとおかしな部分がw この辺は中国市場向けゆえなのでしょうか。
 
↑柱広告に謎のギャルゲー広告がw

↑中イラストページになぜかボカロがw

 あと、目を引いたのが日本のゲーム「三国志大戦」の記事。中国のゲームにはやたらと三国志テーマのものが多い(無理もないけど)ので、こういうゲームって親和性が高いのだろうか。

三国志大戦紹介記事。日本の萌えイラストが前面に出てるとちょっとドキっとする。

 
 こうして大量の雑誌が何冊も出版され、大量の企業が参入している中国ボードゲーム市場。市場規模ではもはや日本を遥かに凌駕しているといえますが、いずれ中国オリジナルのボドゲも日本出版されるようになるのでしょうかね?
 というわけで、次回は中国のボドゲを簡単紹介して見たいと思います。