最近プレイしたゲーム(18):ビール侯爵

 なんだか久しぶりになってしまったボードゲームレビュー(一ヶ月半ぶりぐらいか)。今回はまだ発売されたばかりの「ビール侯爵」です。

ビール侯爵 完全日本語版

ビール侯爵 完全日本語版

↑今回は日本語版がアマゾンにあったので掲載。

 デザイナーは「電力会社」や「ファウナ」などの意欲作を次々リリースしている「緑色の人」ことフリーデマン・フリーゼ。
 ゲームリンクのVol.5で特集されていたため、興味を持って購入。箱が大きめでコンポーネントの内容も質が高い割に値段が安い(定価4200円)ので、安心して購入できますw
 プレイヤーはとある地方の領主となり、自分の所有する土地から取れるビールの原料(水、大麦、ホップ)を醸造所に売買しながら資金を貯め、栄誉の象徴となる各種宮殿を建築し「ビール伯爵」の称号を得ることが目的となります。・・・まぁ、たぶんドイツでは最高の称号なのでしょう。たぶん。

  • 各自が開発していく領地は、6つの建物を建設できるボードになっており、初期配置ではビールの各種原料を生産施設がひとつずつある状態となっています。

↓プレイ開始時の領地の様子。各種資源の生産所がひとつずつしかない寂しい状態。

  • まず各プレイヤーはターン開始時のフェイズ1にプレイヤー別の山札から建物カードを3枚引きます。その後、フェイズ2ではそれぞれの領地にある生産施設が生産可能なビール原料を受け取ります。フェイズ1、2の行動は全プレイヤー同時に行ないます。
  • 続くフェイズ3、4、5ではそれぞれ原料の売却、建物の建築、手札の返還をプレイヤー順に行ないます。
    • フェイズ3「原料の売却」では、テーブル中央に置かれたメインボード上の醸造所の需要タイルの上に置いていくことで売却できます。各醸造所が必要とする原料の数はそれぞれ異なり、その醸造所が必要としている以上の原料を売却すると、その売却価格は売る毎に減少していきます(最大3金、最終的に0まで下がります)。
      • ここでの売却額+建物での収入を足した額を「今回の収入」として、ボード上にある収入マーカーを移動します。次のターンでは、この収入マーカーの数値が小さい方から順に手番を行なっていく事になります。


↑こちらがメインボード。上が資源を売買するビール醸造所。下に見えるのは各種資源置き場。原料売却を行なうと、それぞれの相場分の収入を得られます。

    • フェイズ4「建物の建築」は、手札にある建物を、資金がある限り建築することが出来ます。建物には原料を生産する施設や、原料売却の金額を増やしてくれる施設、定期収入をもたらす施設、ドローする手札を増やしたり手札上限を増やす施設など様々な能力があり、これらの能力をうまく生かしてくことで勝利に近づくのが目的です。
      • このとき、すでに建物が置かれている場所に建築する場合、その建物は上書きされます。また最終的な勝利目標となる「宮殿」は全部で6種類あり、それぞれ領土のどのマスに建築できるかが決まっています。宮殿は8金で建築できますが、建築される毎に建築コストが上昇していき、最終的には18金まで変動します。


↑こちらがプレイ終盤の領地。すでに4つの宮殿が建ち、ゲーム終了も目前の状態。

    • フェイズ5「手札の返還」では、手札に残ったカードのうち一枚だけ確保し、残りを好きな順番に入れ替えて山札の底に戻します。
      • プレイ時の流れにも寄りますが、大体山札が1周半ぐらいすることが多いです。建物の効果で多くカードを引いたり、あるいは「ゴミ屋」の効果でカードを破棄(2枚山札に戻さずにゲームから取り除く)などをうまく使い、山札を効率よく回すのが勝利のポイント。
  • 全プレイヤーがフェイズ3〜5の行動を終了したら、ビール醸造所のうち、需要に足りなかった原料がある場合その個数分、相場を上昇させます。最大で1つ3金まで上昇します。

 上記の行動を繰り返していき、最終的に6つの領土すべてに「宮殿」を建築したプレイヤーの勝利となります。
 ゲームバランスは結構絶妙であり、建物の金額や原料相場の上がり具合、収入を多く得たプレイヤーほど手番が後になるため次ターン以降の売却が制限されていくなどかなり考えられたもの。とくに特に収入は得られないが勝利条件となる宮殿をどのタイミングで建てるかが勝負の鍵となり、あまりに早く建てると収入が得られずに苦労し、かといって後から建築しようとすると手札に回ってこなかったり、建築コストが上昇してしまうため建築しにくくなってしまう、といったジレンマを味わうことになります。
 それでいてプレイ時間はそこまで長くない(1時間きっかりぐらいで終わる)ため、ついつい連続して遊んでしまう、そんな魅力に満ちた良作ゲームです。さすがはフリードマンと言ったところでしょうか。

  • ただ、一部建物がちと強すぎるような気がするのもたしか。特に「建築屋」(建築コストを下げる)は序盤に建てられるくせに終盤の終盤まで使える建物で、これを初手に引くかどうかで結構プレイが左右されてしまう気がする。
  • あと問題と言うほどではないのですが、宮殿の番号がローマ数字であるため、たびたび建物IV(4)とVI(6)を間違える人が続出w 始めてプレイする人がいる場合は確認しておくことをお勧めします。

 現在発売されている日本語版は値段も安く、一度プレイすればルールも把握しやすい(導入ゲームルールもある)ので、これから本格ボードゲームを始めてみたい、と言う人にも是非オススメですね。