最近プレイしたゲーム(47):Vorpals(ヴォーパルス)

ゲームマーケットから一週間、ということで本日のボドゲレビューは、その時購入したドラフトゲーム「Vorpals(ヴォーパルス)」第二版。

 春のゲームマーケットで発売されていたVorpals第一版も何度かプレイしていたのですが、このときは頒布数が少なくて結局買えず、今回めでたく第二版が発売されたという事であらためてのレビューとなります。

↑パッケージ。何気に箱絵が初版より恰好良くなっています。
 基本的なルールは第一版のときと変わりありませんが、カードの種類が若干増えていたり、白黒印刷のペラ紙だった得点ボードが、きちんとしたカラー印刷の得点ボードになっていたりと細かいところでバージョンアップしています。

↑立派になった得点ボード。得点マーカーも人型にパワーアップしています。

 このゲーム、簡単に言うとドラフト型のゲームで「世界の七不思議」クローンと言えるゲームです(デザイナーの方が公言されていまいた)。ですが実際のところシステム的には確かによく似ているところもありますが、ゲームのプレイ感覚はかなり異なっています。


↑プレイヤーの手札。ここから1枚ずつドラフトを行っていく。
 ターン開始時、プレイヤーには5枚の「ユニットカード」が配られます。このユニットカードはドラフト形式で1枚ずつピックしていき、最終的に5枚のカードを手に入れるまで行います。
 で、そのようにして手に入れたユニットカードは、前衛2枚、後衛2枚まで場に配置することが出来ます。

↑ユニット配置図。この図だと前衛2枚、後衛1枚を配置している。

  • 配置の際には、ユニットごとに定められたコストを支払う必要がある。初期資金は3金で、毎ターン2金ずつの基本収入があるが、何もしないとかなりカツカツになるので、収入が得られるユニットやコンボをきっちり使っていくのが勝利への近道。

 ユニット配置後は、戦争フェイズとなり、配置したユニットの「戦闘力」を左右のプレイヤーと比較し、多い場合は勝者となり3点を得られる。ちょうど世界の七不思議の戦争ルールとほぼ同じ流れで行われ、これがこのゲームにおけるメインの得点源となる。

  • 基本的に戦闘力は前衛のユニットのみ計算する(ユニットの中には後衛から戦闘力を追加できるものもいるが)。ので、基本的には前衛に攻撃向き、後衛に特殊能力を生かしたユニットを配することになる。
  • 意外と忘れがちなルールが「同点の場合は両者とも勝者となること」。ここだけは世界の七不思議と違う仕切なので気を付けるべし。

 戦争フェイズ後は、生産フェイズとなり、収入→建物の建築を行っていく。

↑建物カードのサプライ。第二版では全部で7種類の建物がある。

  • 「建物カード」は全員の共有の場にサプライとして配置され、1ターンに1枚だけ獲得できる。獲得には食糧、木材、鉱石といった資源が必要となる。
    • 資源はユニットの能力や建物の能力で供給される。最初は建物などもないので、第一ターン時には資源が得られるユニットを一枚は用意したほうが後々楽になる。
  • また、建物カードを買う代わりに、すでに獲得している建物カードのレベルを上げることもできる。このレベルアップにも資源が必要だが、レベル2になると元々の能力にプラスしてさらにもう一つの能力が使用できるようになる。
    • また、レベル2の建物が一つ以上あれば、ユニット配置の制限数が4から5に増加する。これがかなり大きいため、できれば第二ターン目、遅くとも第三ターンまでにはレベル2の建物を建築できるようにしたい。
    • なお、獲得時に資源さえあれば購入→レベルアップを一度に行うこともできる。

 
↑建物カード例。能力覧が二段あるが、上がレベル1、下がレベル2時に得られる能力。
 建物を建築したのち、このゲームのキモとなる経年フェイズになります。
 このフェイズで、自分の場に配置したユニットは年代経過により経年し、衰退していきます。

  • 経年は経年カウンターをユニットに載せることで表します。ひとつ以上の経年カウンターが載っているユニットが経年フェイズを迎えた場合、そのユニットは寿命により取り除かれてしまいます。
    • ユニットによって寿命は異なり、配置して直ちに経年カウンターが置かれてしまうものも居れば、2つまで経年カウンターによる死を免れるもの、経年カウンターによって取り除かれることによって能力を発揮するものなど、ユニットごとに様々な効果が発揮されます。


↑経年カウンターをユニットに置いたところ。
 この「経年」というルールが秀逸な存在で、どれだけ強力なユニットを配置できてもいずれはユニットが自然に破壊されていってしまうので場が硬直せず、常にユニットの獲得・入れ替えに気を配る必要があります。

 こうしてプレイヤー間のドラフト→配置→戦争を繰り返しながら4ターンが終了時、もっとも得点の高いプレイヤーが勝者となります。


 ゲームルール的には、世界の七不思議の戦争ルールだけを抜き出したようなシンプルなシステムでありながら、ユニット間の相関、相性や建物との組み合わせなど考えることも多く、またゲーム期間はたった4ターンしかないため、建物の購入回数は常に足りず、せっかく配置したユニットが活躍できなかったりなど日常茶飯事。限られた時間をうまく使いこなす必要があり、カードの習熟やコンボ要素などを把握できるようになってからより面白くなるタイプのゲームでしょう。
 あえて気になる点としては「ユニットカードのバランス」でしょうか。同じ配置コストでもユニット間の強弱が結構あります。そのためか若干運要素が強い気がします。
 この手のゲームでカードの強弱に関する議論は常にあると思いますが、個人的にやばいんじゃないかと思うユニットは「ワーム」「ゴーレム」あたりですね。このふたつ、配置コストが間違っているんじゃないかと思えるぐらい強いので。

  • 「ワーム」は生産できる食糧×2分だけ戦闘力に追加される、というユニット。元々の第一版ではそこまで強いユニットでもありませんでしたが、第二版で追加された建物「空中庭園」(レベル1の能力が食糧+2というもの)と組み合わせることでお手軽に協力ユニットに早変わりします。こいつ一人で戦闘力が10を超えることもザラ(これだけあれば大体戦争で勝てます)で、配置コストがたった2という点も凶悪さに拍車をかけます。
  • 「ゴーレム」は資源なしで1ターンに複数枚の建物をお手軽にレベルアップさせられるあたりがかなりのバランスブレイカー。こちらも配置コストもたったの2で戦闘力もそこそこあるので、配られた手札にあったら第一ピックの候補カードでしょう。
  • 使い方は難しいが面白いカードも多いんですけどね。自軍のユニットを経年させる「腐敗の王」や「時計職人」あたりは特に優秀なコンボ要因。経年によって威力を発揮する「軍師」「鉄巨兵」「夢読み」「画家」「トーテム像」「ケット・シー」あたりと組み合わると面白いことになります。

 とはいえ、同人ゲームとしてではなく商業用ゲームと比較してもかなりの完成度を誇るドラフトゲームではないでしょうか。世界の七不思議ファンにはぜひ一度プレイしてもらいたいゲームですね。

  • 問題は手に入れる手段の少なさですが。Amazonなどで販売しないですかね?