最近プレイしたゲーム(94):コインエイジ

 そろそろ100回も近づいてきたボードゲームレビュー。今回のレビューはキックスターター出身の二人用ボードゲーム「コインエイジ」です。

コイン・エイジ 日本語版

コイン・エイジ 日本語版

 小口出資者を募るキックスターターは少数部数出版するのが多いボードゲームとは相性が良いせいか、最近はこちら経由での出版も増えている印象(海外だと特に多いですね)。で、このコインエイジもそんな中の一つです。
 が、これがまたすごいコンポーネントです。というのも「カード2枚」+「紙製コイン20枚」+「説明書」だけというシンプルさ。日本のゲームマーケットあたりで「500円ゲームズ」のひとつとして発売されても違和感がないぐらいw ですが、たったそれだけの小規模なコンポーネントながら、プレイ感覚はなかなかの本格派。

 さて、このゲームはジャンル的には「陣取り」に分類されるタイプのゲームです。その舞台となるマップはカード一枚で表される簡素な物。

  • このカードは裏表で違うマップになっている他、セットには二枚ついてくるので四種類のマップで遊ぶことができます。


↑マップ。カード一枚で表されるこじんまりとしたもの。

 まずゲーム開始前、プレイヤーはコインの裏と表どちらの「色」を担当するかを決めます。

↑ゲームで使用するコイン。「金」の面と「銀」の面があり好きな方でプレイする。

  • このコインは1〜4までの数字が記載されており、「金」「銀」の面があります。このどちらかの面をプレイヤーは担当します。
  • コイン数も違いがあり、1のコインは4枚と多く、数が増えるごとに少なくなっていき、4のコインともなると1枚しかありません。

 プレイヤーは手番が来たら、手持ちのコインの中からコインの額面ごとに1種類1枚ずつ手に取り、バラっと振ります。
 このとき、表面が自分の担当する色が出たコインについて、アクションを行っていきます。 行えるアクションは自分の色の面が出た数によって異なり、たとえ0枚でもできるアクションがあるのは面白いところ。ちなみにアクションは任意なので、必ずしも全部を行わなくてもよいです。

↑コイン振り。自分の色が出たコインについてアクションを行っていく。

 まず自分の色のコインが2〜3枚表になった場合、その中から2枚までマップに「配置」できます。配置方法は簡単で、「まだコインが置かれていない」エリアか、または「すでにコインが置かれている場所に重ねて置く」かのどちらかです。

↑コイン配置中。

  • まだコインが置かれていないエリアにコインを置く場合は特に制約はありませんが、すでにコインが置かれている場合、「すでにおかれているコインより小さな数字の物しか重ねられない」という制約があります。だんだん数字は小さくなっていき、1を置いたらもう重ねられないということですね。これ重要。

 自分の色のコインが4枚出た場合、そこから3つまでを配置できるほか、配置しなかった1枚を相手に「贈与」することができます。そんなことをしてなんになるの?と思われがちですが何気にこのルールが終了条件に大きく影響します。結構重要だよ。
 そして、自分の色のコインが0〜1枚だけ表になった場合はちと特殊な状況になり、まず1枚の場合、その1枚を場に配置しつつ、マップに配置された任意のコイン山を、隣接するあいているマスに「移動」させることができます。そして0枚の場合、「移動」のほかに、コイン山の一番上の一枚を「回収」して手元に加える頃が可能です。


↑大体終局図。

 ゲーム終了条件は二つ。「どちらかのプレイヤーのコインが無くなった」または「マップ上のすべてのエリアにコインが置かれた」ら終了となり、その時点での得点を計算します。
 さて、得点計算ですが、これがなかなか面白く「各エリアマスに置かれたコインのうち、一番上にコインを置いたプレイヤーに、そのコインの数字分の点数が入る」というもの。つまり1のコインを置けばそのエリアの支配を確立できるが、同時に得点は低くなってしまう。かといって大きい数字を配置すれば奪われやすい、というジレンマ。
 さらにそれを後押しするのがエリアボーナス。マップ上の各エリアは大体1〜4つのエリアが色分けされており、これらのエリアをより多く支配していた場合、エリアボーナスとしてその場所のコインの得点が2倍になる、というボーナスがあります。これにより、よりどのコインで得点するのかが悩ましくなっています。
 
 ゲームは長くとも10分前後で終わるのですが、十分すぎるぐらいに悩ましい陣取りが楽しめます。これだけ少ないコンポーネントで、これだけ楽しめるゲームが生まれるとは。いわゆる「ミニマルゲーム」という奴ですが、きちんとジレンマあり、思考性もあり、適度に運要素もある。これ結構凄いことだよ。

  • 個人的な欠点ですが、さすがにマップが小さすぎること。中央とかに4コインを置くとかなりギリギリです。カード2枚をくっつける形とかに出来なかったんでしょうか。あと、マップによってはエリアの色が区別しにくい時があるんのもちと難点です。
  • あとよく言われるのが、「コインが残り1種類しか触れない状況になったとき、回収が頻繁に起きる」というもの。たしかに最後の一種類になると二分の一の確率で回収が発生しますが、自分が何度かプレイした感じでは意外とそういう状況になりにくそう。というのも回収は1枚しかできませんが、配置は2枚以上行うことが多く、だいたいがどちらかが先に置き切ることが多くなります。どちらも残り1種類という状況にならない限り、回収合戦になる確率は低いですね。

 1600円はちょっと高いかな、と思ったのですがカードゲームと大体同じぐらいですし、面白さ的には十分。このシリーズいくつか出ているみたいだし、他のシリーズについてもちょっと興味がわいてきた。今後プレイできる機会があったらレビューしていきたい。