というわけで、ゲームマーケット終了後に全ファミで遊んだ、同人ゲームの感想についてまとめ。
- 基本的に同人ゲームのみのレビューとなります。またあくまでゲームマーケット2012秋に出品されていたゲームですので、初出が2012秋ではないものも含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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●デカスロン(OKAZU Brand)
- ゲームマーケットの常連で、以前の「ひも電」「トレインズ」といった名作ゲームを輩出してきた「OKAZU Brand」の新作とあって購入。珍しく鉄道ゲームではないようで、タイトル通り陸上の十種競技(デカスロン)をテーマとしたカードゲームです。
- 原理的にはトリックテイキングに近いゲームでしょうか? 競技カードをめくり、その内容に従って各プレイヤーが手札から「run(走)」「throw(投)」「jump(飛)」の三種類のカードを出していき、1位と2位のプレイヤーが得点となるメダルカードを獲得していく、というのが基本的な流れ。10種競技なので、この流れを10回行い、最もメダルの点を稼いだプレイヤーが勝者となる。
↑競技カードとメダルカード。得点となるメダルはかなりバラつきが高い。
- 競技カードごとにカードの出し方が異なるのが特徴で、例えば「100メートル走」の場合、全員が一斉に「run」カードを出し、数字が高い順に順位が決まり、「走り幅跳び」の場合はスタートプレイヤーから順に「run」カードを出していき、一周したら今度は「jump」カードを出し、カードの合計値が高いプレイヤーが勝つ、といった具合になっており、競技ごとに使う手札の種類も枚数も異なっている。
- さらに厄介なのがカードの補充方法。補充するカードは競技カードの横に公開されているのだが、このカードは競技で順位が低かったプレイヤーから順に好きなカードを持っていくことができる。そのため、中途半端な数字を出すよりはしゃがんだほうが良い結果を生むこともある。
- 誰がどのカードを持っていったか、どのタイミングでしゃがみどこで勝負を仕掛けるか、といったカードマネジメントの読みがいが熱いゲームで、今回遊んだ中では一番のお気に入り。これ十分商品化が狙えるクオリティだと思う。
●ボイン星人襲来(中村 誠)
- その名の通り、カードをめくると「母音」が書かれており、この母音と共通する部分を持つ子音で単語を作っていくという言葉遊びゲーム。
- 例えば「う」「え」「お」「ん」のカードが場に出た場合、「クレソン」のように母音部分が共通する言葉を答える。
- カードを何枚めくるかは、カードの表に書かれた数字に従う。いわゆる「キャット&チョコレート」方式。
↑ボイン星人は母音でしか話せないので、彼女たちが何を言っているのか当てる、という設定w
- この手の言葉遊びゲームとしては、あまり類を見ないタイプのゲームで結構難易度高い。苦手な人はとことん苦手だろう。実際のプレイでも、強弱がはっきり分かれました(私はこの手のゲームに弱い)。アイディアとしてはなかなかのもので、ごく普通に定番ゲームとして売りに出せそう。
- ただ「ボイン星人襲来」というタイトルはさすがにいかがなものかw プレイしてみればこれ以上ないタイトルと思えるけど。
●赤ずきんは眠らない(薫風)
- 前回のゲームマーケットでゲーム作成ゲーム「ヒットメーカー」を頒布していた「薫風」の新作ゲーム。このゲームはなんといっても特徴的なのがそのアートワーク。ゲーム箱はなんと木製で、絵本の形を模した可愛らしいデザインのもの。
- ゲーム内容はシンプルなブラフゲーム。まず親となったプレイヤーは「狼カード」「こぶたカード」「母ぶたカード」「赤ずきんカード」といった役割カードを各プレイヤーに配布します。
- 役割のうち、「狼」以外のカードをもらったプレイヤーは、「おやすみなさい」カードか「トラップ」カードのどちらかを裏向きで出します。全員がカードを出したら、「狼」役はだれか一人のプレイヤーを選択してそのプレイヤーを食べに行きます。全プレイヤーが伏せていたカードを公開し、狼に狙われていないプレイヤーは「おやすみなさい」カードを出していれば得点が得られますが、逆に狼に狙われていたプレイヤーが「おやすみなさい」カードを出していた場合は得点を奪われてしまいます。「トラップ」カードを出していた場合、狼から襲われていても点数を奪われることはないのですが、得点を得ることもできません。
- 各役割カードごとに点数は異なり、「こぶたカード」だと勝利時に1点しかもらえませんが「赤ずきん」カードでは3点も入ります。狼役は食べることができた場合、役割カード分の点数がもらえるため、なるべく高い得点の「赤ずきん」を狙いたくはありますがその分警戒は強いため難しい、でも「こぶた」では点数が低い・・・といったジレンマに悩まされます。
- 最終的に誰かが10点に到達したらゲーム終了となり、一番点数の高いプレイヤーの勝利となります。
- どのタイミングで「おやすみなさい」を出すべきか、それとも「トラップ」を使って安全にしゃがむか、また親はどのようにカードを配分するか、といった駆け引き要素が面白く、かなりよくまとまっている。これも今回遊んだゲームではお気に入りの一つ。
●男前動物園(ガウルの翼)
- 基本的にはサイコロを使わないすごろく。手番が来たらカードを出して駒を進め、ゴール地点にいる「子供」カードを回収してスタート地点まで戻ってくるという単純明快な内容・・・のはずなのですが、いろいろブッ飛んだカードのせいでなにか異次元のゲームと化していますw
- まず自分の手番に出来ることのひとつが「移動カードを出して進むこと」。これらのカードには何歩進むと書かれているもののほかに、サイコロを振ってその分進むように指示されているものもある。とまぁ、それだけなら問題ないのだが、このゲームゴール地点までだいたい24歩、往復で48歩という条件にもかかわらず、「5D進む」だの「20マス進む」だのといったブッ飛んだカードが平然と混じっていますw 男らしすぎるw
↑単位がおかしい移動カードw バランスもなにもあったもんじゃありません。
- また、手番にはほかのプレイヤーを妨害するため「動物カードを誰かに付ける」ことができます。
- 動物カードにはそれぞれ攻撃(2D+3みたいに表される)とHPが設定されている。男前動物を付けられた場合、手番が来ても移動カードを出すことはできず、手札から男前カードを出して攻撃し、付けられた男前動物を倒す必要がある。
- 一応、手札から動物を出す場合はまとめて出せるので、ある程度弱い動物でも数をまとめればなんとかなる。とはいえ、攻撃は基本ダイス目に依存なので運が悪いとどうしようもない。
- 移動するか妨害するかのみのゲームで、移動するときはとにかく大量に移動できるが、一度妨害コースになるとひたすら足止めを喰らいまくる展開になりがちで、基本的にはゲームバランスもへったくれもないゲーム。ただ、そのカードを見るだけでゲラゲラ笑いながらプレイできる点はよい。なんというか良い意味で「小学生ぐらいの時に遊んだゲーム」のような面白さですw
●きのこはかせ(Garbage Collection)
- 「遊星からのフリーキック」さんのところで委託販売していたカードゲーム。いつも「遊星〜」さんのところのカードイラストを書かれている「森木ノ子さん」の文字通りきのこのイラストが特徴的なパッケージ。
↑パッケージはベニテングダケ。
- ゲームそのものは非常にシンプルな推理系ゲーム。ゲーム開始前に各プレイヤーには担当するきのこカードが配られるのだが、このカードを自分から見えないように付属カードスタンドに立てておく(インディアンポーカー式)。
- このカードスタンド。カード一枚だけ立てて置けるサイズのプラスチック製スタンドでかなり出来が良い。これどこに売っているんだろ?
- プレイヤーは手番が来たら自分の手札からカードを1枚ずつ場に出していく。場に出したカードのうち、「自分以外の誰かの担当しているきのこ」が含まれているカードは1点。「自分が担当しているきのこ」が含まれているカードは2点として計算する。これにより、はじめは自分の担当カードはわからないが、ほかプレイヤーのカードの出し方を見て自分のカードから推理していくことができるようになっている。
↑手札のカードを場に出していく。カードにはきのこが1〜2個描かれている。
- 1プレイは短めで(10分程度)、非常に軽いプレイ感覚。カードイラストのデザインやスタンドなどコンポーネントの質もかなり高い。はじめから拡張ルールと拡張カードも入っているので違ったルールで遊べるようになっているのもいいところ(そちらは未プレイ)。
●ラブレター(カナイ製作所)
- 実のところ、前回のゲームマーケットで発売以来何度か遊んでいたゲームなのですが、せっかくなのでこの機会にまとめて紹介。
- ゲームルールは非常にシンプル。プレイヤーの手札はたったの1枚で、手番が来たら山札からカードを1枚引いて、1枚を捨てる。捨てたカードの効果を発動して他プレイヤーを脱落させることが目的。最終的に最後まで脱落しなければ勝ちとなる。
↑たとえばこの道化師のカードは「相手の手札を見る」ことができる。
- カードを引いて捨てるだけのシンプルさながら、実際にはかなり読み合いの要素が強く、特に相手を直接脱落させる「兵士」と「騎士」の能力を以下に決めていくかが勝負のポイント。相手の手札を見る「道化師」や手札交換の「魔術師」をうまく使い、勝負できる状況を整えていくのが定石だが、少ないカード枚数ゆえに運要素も強い。とはいえ、一回のプレイが短いので引きずることもなくすぐ次がプレイしたくなる魅力がある。
- カードの数字が高いほうが山札切れの際や「騎士」での勝負に強くなるのでなるべく高い値をキープしたくなるが、カードを引いた時の手札合計が12を超えると負けとなる「大臣」の存在と、捨てることができない「姫」の存在がよいアクセントとなっている。
↑大臣カードは非常に厄介。なお、このカードのせいで一手目での自爆をゲーム中に3回ほど発生させたw
- 完成度は非常に高い。これだけ少ないカード枚数で、これだけ面白いゲームとして完成させているとこは流石安心の「カナイ製作所」ブランド。あと、このカードセットを二つ揃えると「ごいた」がプレイできるという点も見逃せないw というかカード枚数の調整とかゲームには使わない謎の表示(数字の周りの宝石の数)とかはそのための布石だったとは。