最近プレイしたゲーム(25):ハートオブクラウン

 と、いうわけで(どういうわけだが)ゲームマーケット2011で購入してきた新作ゲームの数々を遊んでみて、ようやく感想を書けそうです。
 今回は、ゲームマーケットでも話題騒然。なんと500セット完売という記録を打ち立てたこちら「ハートオブクラウン」(以下ハトクラ)。

<ハートオブクラウン 公式サイト>
http://hatokura.flipflops.jp/
↑細かいルールなどはこちらを参照してください(丸投げ)。

 まず目に付いたのが、コンポーネントの質の高さ。実際にプロとして活動されている絵師さん達がイラストを固め*1、程よい紙質のカードにしっかりと製本された説明書と、これアークライト辺りが出したゲームと言っても信じてたと思うw
 昨年辺りから同人ボードゲームは症状作品とほとんど遜色ない出来のモノが出回るようになってきましたが、これはある種その頂点に達したゲームなのではないでしょうか(言い過ぎかw)。

 さて、肝心のゲーム内容だが、いわゆる「ドミニオンクローン」の中では、他に類を見ない独自のシステム「リンクシンボル」があり、そのワンアイディアでドミニオンにつきものだった「アクションポイントの煩雑さ」や「アクションカード仕様順が分からなくなる」といった問題が結構まとめて解決されている。これ何気に秀逸なアイディアで、よくドミニオンを研究してコレを作ったことが伺える*2

  • まずプレイヤーのターンが「メインフェイズ」→「セカンドフェイズ」と大きく二段階に分かれていますが、手札のカードを使用するのはこの「メインフェイズ」になります。
  • ハトクラではいわゆるお金にあたる「領地」カード*3も、アクションカードに当たる「行動」カードも全部このフェイズで「使用する」ことになります。いわゆるアクションポイントという概念はなく、条件を満たすことでカードを使用し続けることが出来ます。その条件が「リンクシンボルがつながるようにカードを配置できること」という点がこのゲームの重要なポイントです。
    • 各カードにはいわゆる「リンクシンボル」という矢印が記載されていて、例えば1金を得られる領地カード「農村」の場合「→」方向のリンクシンボルが付いています。この方向にカードを並べていくことで次々とカードを使用していくことが出来ます。

 例)「農村」→「農村」→「農村」・・・ のようにカードをリンクシンボルのある方向につなげていくことでカードを連続使用できる。

    • カードの中にはこのリンクシンボルが付いていないモノ(そこでリンクが途切れてしまうモノ)などもあり、通常であればそこから先のカードは使用できなくなります。この場合、リンクシンボルが二方向に分岐しているカードを使っておくと、別方向からリンクをつなげられるため、カードを途切れなく使用できるようになります。

 例)「斥候」→「農村」
    ↓
   「交易船」 ・・・このカードにはリンクシンボルがないので、二方向のリンクを持つ「斥候」からつなげる。

  • 「メインフェイズ」でカードの使用が終わったら、続いて「セカンドフェイズ」となります。ここで「カードの購入」や、勝利条件となる「姫候補の擁立」と「継承権のセット」を行なうことになりますが、一ターンに出来るのはこのうちのどれか一種類だけになります。
    • 「カードの購入」の場合ですが、ドミニオンにある「サプライ」はハトクラにはなく、サプライにあたる決められたカードをひとまとめの山にし、そこからランダムに8枚(8種類)をめくって場に並べる「ランダムマーケット」と、決められたカードが並ぶ「ベーシックマーケット」から選択して購入します。

 
↑サプライは一つの山札にまとめ、周りにランダムに8枚並べる。それ以外にもサプライの内容に関わらず置かれるベーシックマーケット(ドミニオンで言うところのお金や領地)もある。

      • この要素も何気に重要なポイントで、ドミニオンでは最初から決められたサプライが場に並んでいるため、手番順や知識量で大きく差が出ますが、ハトクラではサプライがランダムに並ぶため、運要素が強くなっており、手番順の有利不利がある程度(やや強引ですが)緩和されています。
      • なお、購入枚数に制限はありません。お金がある限り何枚でも行けます。
    • そして勝利条件のひとつとなる「姫候補の擁立」ですが、これは6金を支払うことで、場に並んでいる6人の姫候補より一人を選んで擁立します。最終的にこの選んだ姫を皇帝継承者とすることが目的となります。
      • 姫はひとりひとり異なる能力を持っており、プレイヤーの行動を有利に導いてくれます。どの姫候補を擁立するかは早い者勝ちなのでついつい急ぎたくもなりますが、ここで効いてくるのが「直轄領」という概念です。姫候補擁立時に使用した領土は、金額の高い順から3枚を姫候補の直轄領として場に並べます(必須のアクション)。あまりに早い段階で購入してしまうと、なけなしの「都市」(3金)が直轄領として持って行かれて後悔したり、「農村」(1金)についている「継承権-2点」に泣かされたりすることもあります。
      • かといって、後回しにしすぎると自分の欲しい姫候補が持って行かれたりするため、どのタイミングで擁立を目指すかは非常に重要。実際のプレイ時も、結構このタイミングがメンツによってバラバラになるのが面白かった。
      • またこうして並んだ直轄領には行動カードを1枚キープすることが出来る(直轄領の上に載せておく)ため、擬似的に手札を増やしたり山札を圧縮したりもできる。キープできる行動カードは「直轄領の金額以下のコストのカード」なので、金を取られたくないばかりに安い領地ばかりを並べてしまうとカードをキープできないという状態も発生する。ますます悩ましい。
    • 姫候補を擁立していれば、その姫候補に継承権を持ったカードをつけることが出来るようになる。この継承権(得点)の合計が20を越えたところで「戴冠式」を宣言でき、一巡してほかに戴冠式を宣言したプレイヤーがいなければこのプレイヤーの勝利となる。
      • 戴冠式を宣言するためには継承権カードをつける必要がある。そのため、ドミニオンと違いただ得点カードを購入すればよいというわけではなく、それをどうやって手札に引いてくるか、という戦略も必要になります。実際、継承権が14点もある「皇帝の冠」を購入しておりながら、一ターン差でそれを配置できずに敗北したこともありました。

 さて、今回このハトクラを基本セット+αといった要素で何度か遊んでみたのですが、個人的にこれまでのドミニオンクローンゲームの中では一番好きかも知れません。「分かり易いリンクシンボル」でゲームの視認性を高め、「ランダム性のあるサプライ」に「姫候補の擁立のタイミング」などでプレイヤー間の干渉を高める工夫などがあり、それでいてドミニオンより短めでさっくりとしたプレイ感は結構ドミニオンとは違う新鮮さがあります。

 ただ、ランダムにカードを混ぜてサプライを作らなければならない関係上、後片付けは大変面倒くさい(いちいち分けないと行けない)のが難点ですw こればっかりは仕方ないですが。
 あとは元の化粧箱だとカードがぴっちりすぎるために一度カードを取り出すと、もう一度カードを入れるのが困難です。別にカードケースを用意しましょう。透明ソフトカードスリーブ込みで、イエローサブマリン等で売っている315円のカードケース(名前失念)にちょうど収まるぐらいなので、その辺を買っておくと遊びやすくなるよ。

■余談
 説明書の裏にカード枚数が書かれているんだけど、農村カードの枚数間違ってない? 16枚じゃなくて28枚だよね・・・。

*1:私が知っていたのは、世界樹の迷宮でおなじみの「日向悠二」さんと漫画家「ととねみぎ」さんなど。

*2:リンクのアイディア自体はドミニオンをプレイしているとわりとプレイヤーが無意識で行なっていたりするので、そこをうまくゲームシステムに絡めたな、という感じました。

*3:ドミニオンだと領地は得点カードなのでちょっと混乱するw