ゲームの忘れられない名場面(1)

「やっぱり・・・ 世界に果てなんて なかったのね・・・」

  • グランディア 「世界の果て」の頂に立ったときのヒロイン・フィーナのセリフ。


 1990年後半は、今にして思えばまさにゲーム絶頂期といえる時代だったと思う。 
 プレイステーションセガサターンニンテンドー64といった「次世代機」と言われた傑作ゲーム機たちが鎬を削りあい*1、それぞれに名作ゲームたちが大量に現れた。有名タイトルの続編から、まったく新機軸のゲームまで、それこそあらゆるソフトが同時に存在していた。
 正直、あまり「昔は良かった」と言いたくない私だが、それでもこの時代のゲーム雑誌を読むのが一番面白かったと思う。

 とりわけこの時期のゲームといえばとにかくRPGが強い時代だった。
 ぱっと思いついただけでも「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」、「ポケットモンスター*2といったビッグタイトルはもとより、「女神異聞録ペルソナ」や「ワイルドアームズ」、「風来のシレン*3、「サガ・フロンティア」など、後にシリーズを重ねてヒットを飛ばして行ったタイトルなどが目白押しの時代だった。

 そんな中でも、この時期に発売されたゲームアーツ開発の「グランディア」は、いまだに私の心に残る傑作RPGである。私的PRGベストを上げるならばトップ3にまず確実に入るであろう、そんなソフトだ。


 時は産業革命が始まり、人々の生活が豊かになった時代。かつて花形職業であった「冒険者」も、そんな時代にあって時代遅れな存在となりつつある世界。
 冒険に憧れ、父と同じ冒険者になることを夢見る少年、ジャスティンは友人達との「冒険ごっこ」に明け暮れる毎日。
 そして父から貰った精霊石と呼ばれる秘宝の秘密を求め、やがて本当の「冒険」に旅立つことになる。


 このゲームで徹底的に貫かれているのは主人公の少年ジャスティンを通して「冒険」とは何かを説いているところにある。
 最初のジャスティンの師匠的存在となる伝説の冒険家ジンからは冒険者としての心得を教えられる。
 序盤のストーリーの山場となるジャスティンの旅立ちの日、母や友人達と別れ冒険に出る彼の決意、そしてそれをそっと支える母の優しさ。
 先輩冒険者であるフィーナとともに幽霊船を冒険し、その実力を認められるようになる。 
 そして新しい大陸へ。

 ストーリー全編を通して、プレイヤーがジャスティンに対して感情移入し、一緒に「冒険」できる、そんな世界を非常に丁寧に作り上げている。このゲームは当時セガサターン版の初回版を購入したのだが、これには布製の世界マップがついてきて、ゲームが始まる前からワクワクしたものだ。現在でもこれ以上に「冒険」を楽しめるRPGはそうそう無いだろう。

 そして、そんな「冒険」のひとつの山場となるのが、今回のイベント「世界の果て越え」である。

 このグランディアの世界には「世界の果て」と呼ばれる巨大な壁によって区切られており、人々はそこから先には世界が存在しないと思っている。
 だが、ジャスティン達は、その壁に果敢にも挑戦するのだ。冒険者魂を滾らせて。 
 始めは及び腰な仲間達を励ますジャスティンも、延々と続く壁*4に次第に弱気になってゆく。
 だが、逆に仲間達に励まされ、また気持ちも新たに登り続けることを決意する。

 そして、延々と続いた壁の向こうから見える一筋の光。
 堪えられずに駆け出した彼らの目の前に広がる、金色に輝く広大なる新天地。
 そこで、ふと漏らしたフィーナのセリフ「やっぱり・・・ 世界に果てなんて なかったのね・・・」。
 私は何度となく「グランディア」をプレイしているが、何度プレイしてもこの場面では鳥肌が立つほど感動に奮える。それほど、この場面はインパクトのある名イベントだ。

  • グランディアにはここだけでなく、本当に名場面が多い。現在はゲームアーカイブでPS版がプレイ可能なので、まだプレイしたことのない人はぜひやって見てもらいたい。

*1:いや、他にもありましたけどね。PC-FXとか3DOとか、アタリジャガーとかプレイディアとか。

*2:これだけはRPGというジャンルではないかもしれない。ジャンル「ポケモン」でもいいぐらいだから

*3:これもRPGとはちと違うかもしれないが

*4:ゲーム内時間でどれぐらいか分からないが、キャンプの回数から3〜4日ほど登っている?