最近プレイしたゲーム(34):コンテナ

 今回のボードゲームレビューは、経済系ゲームの傑作と誉れ高い「コンテナ」。


↑プレイ開始時の光景。最終的により多くのコンテナを集めて得点を稼ぐ。

 各プレイヤーは自分の色のコンテナ輸送船一隻と港ボードを持ってゲームを行います。


↑各プレイヤーの船。この船でコンテナの買い付け、運輸を行う。何気に材質が堅く、落としたら多分割れるw

↑プレイヤーの港ボード。下側が「工場」で、中央が「倉庫」、上側が「港湾」エリアとなる。

 「工場」で生産したコンテナは、各プレイヤーの「倉庫」に格納されていき、さらに「港湾」につけた船で輸出されます。
 輸出されたコンテナは、最終的にプレイヤーの中央にある「島」ボードへと運ばれ、それぞれのプレイヤーの場所へと置かれていきます。配置したコンテナは最終的な得点計算時に勝利点となります。

  • どのコンテナが何点($計算)となるかは、最初に配られたボーナス表で示されます。最終的にはコンテナの得点+所持金が最も多いプレイヤーの勝利となります。ただ、得点計算にはちょっとした特殊な計算(後述)があるため、何も考えずにコンテナを集めればいいってものでもありません。


↑全プレイヤーの間に置かれた「島」。ここの自軍エリアにコンテナをそろえることでゲーム終了時のボーナスが得られる。

↑ボーナスを表したカード。どのコンテナが最終的に何点になるかが記載されている。

 さて、このゲームの面白いところは「自分の工場で作ったコンテナは、自分の倉庫には置けない」というところ。どういう事かというと、自分の倉庫にコンテナを置くには、必ず他のプレイヤーの工場から買ってくる必要があるのです。

  • 工場でコンテナを生産する場合は「工場に対応する色のコンテナ」をすべて生産します(特定の色を生産しない、という事はできません)。
    • 生産時には、工場を稼働させる手間賃として、右側のプレイヤーに1$支払います(なんで右側のプレイヤーなのだろう?)。いくつコンテナを生産しても金額は1$です。
    • こうして作成したコンテナは、自分の工場集荷場の任意の場所(1〜4の数値が書かれたエリア)に置くことが出来ます。ここに書かれた数字(1〜4)が、ほかのプレイヤーがこのコンテナを購入する際の金額となります。
  • プレイヤーは自分の手番に、他のプレイヤーの工場集荷場に置かれたコンテナを購入することが出来ます。
    • 購入して保管できる個数は、自分のボードに置かれた「倉庫」の数までとなります。このときも自分の倉庫エリアの任意の場所(2〜6の数値が書かれたエリア)に置くことが出来ます。こ

 なんでこんなルールなのかはわかりにくいのですが「独占禁止法により自社取引が禁止されている」というようにでも自己解釈してくださいw

 こうして、倉庫に置かれたコンテナですが、これまた「自分の倉庫に置かれたコンテナは、自分の船には載せられない」というルールがあります。
このコンテナをほかのプレイヤーに買ってもらうことでようやくコンテナの流通が行われる、というわけです。

  • 倉庫から船に積載する際の出荷額は倉庫エリアに書かれた数値分となります。この金額はアクションポイントを使って値段の変更も可能なので、どうしてもコンテナが売れない場合には泣く泣く変更することもあります(わりとしょっちゅうw)。
  • 一つの船には最大で5つまでコンテナを搭載することが出来ます。


↑船が港にコンテナの買い付けにやってきたところ。自分の港に自分の船は入れません。

 こうしてコンテナが積まれた船が中央の「島」へとたどり着いた場合、荷主以外のプレイヤーによるコンテナの競りが行われます。

↑コンテナ満載の船。この船が中央の島に着いたとき、競りが始まる。

↑コンテナを積んだ船が付いたところで競りの開始。一番高い額で売ってもいいし、自分で買い取っても良い。

 競りは金額を握り合っての一発勝負。こうして提示された金額で売るか、売らないかを選択できます。

  • コンテナを特定のプレイヤーに売る場合は、売ったプレイヤーから代金を貰うと共に、銀行から同額のお金を受け取ります(政府援助金らしいです)。これによって中盤以降はプレイヤー間にある資金が増えていき、段々とコンテナ価格のインフレが起こっていきます。
  • コンテナを売らない場合、最も高い競り値と同額を銀行に払って自分で買うこともできます。このシステムがあるためあまり安い値段をつけて買い叩くこともできなくなっています。ただ誰かに売る場合と比べて、資金差が三倍もあるので正直あまりやりたくないプレイです。
    • 意外に忘れるルールが、コンテナの競りを行うとアクションポイントが残っていてもターン終了となること。コンテナを工場から買い付ける代金が欲しいからと競りを行っても、買えるようになるのは次のターン以降になってしまうという点がポイントです。

 こうして生産、買い付け、輸送を繰り返していき、どれか二種類のコンテナがなくなったところでゲーム終了となり、得点計算となります。

  • 得点計算時は、島の自分のエリアに置かれたコンテナをボーナスカードに書かれた金額で換金します。ただしこのとき「5色の中でもっとも多い数のコンテナ」はすべて捨てられてしまいます。
    • このため、なるべく「得点が安い」コンテナをある程度数集める必要があります。またこの制限のため、コンテナを大量に積んだ船は「いらないコンテナが載っている確率が高くなる」ため、ゲーム後半になると自然と値段が下がる傾向にあります。
    • またコンテナの中には「5/10$」となっている特殊なコンテナがあります。これは「すべての色のコンテナが自分のエリアに1つ以上置かれている」場合には10点、そうでない場合には5店となるコンテナです。このコンテナが最も多い色のコンテナだった場合、かならずこのコンテナを捨てる必要があります(それ以外の色のコンテナが同数で多い場合は選択できます)。
    • 残ったコンテナをすべて換金し、所持金と合計してもっとも金額の多いプレイヤーが最終的な勝者となります。

 ゲームとしてはかなりかっきりした経済ゲームで、序盤は皆の資金も乏しいためコンテナの販売額も抑え気味ですが、資金が増え始める中盤となると、コンテナの価格が自然にインフレしていきます。そして、ゲーム終盤ではだぶついたコンテナの在庫整理によって一斉にバブル崩壊、という流れになることが多いです。
 また、資金が足りないときは借金しても良いのですが、借金の利息を返すために短期利益を求めて安くコンテナを販売→それにつられて周りのコンテナ価格がデフレを起こしたり、逆に特定の種類のコンテナを独占しているプレイヤー間で暗黙の了解によるカルテルが組まれて販売価格が操作されたりw と、結構現実的な市場原理が働いたりします。
 生産でも販売でも最終的な競りでも、とかくほかのプレイヤーの動向に左右されるためかなりインタラプトは強めで、ゲーム時間はかなり長め(1時間30分〜2時間ぐらい)ですが、ほかのプレイヤーの手番でもやることが多くてあまりだれることもありません。

  • ゲームの難点としては、コンテナの色の視認性の悪さ。とかく見分けづらく、特に薄茶と濃茶とオレンジあたりはかなり区別しづらい。照明の明るさ次第では本気で区別できないこともあるので、プレイ中も何度か間違えたり、全員で確認したりと大変面倒。なんでこんなに似たり寄ったりな色にしてしまったのだろうか。原色系の色では駄目だったんだろうか…。マジで謎だ。

 まぁそんな難点もありますが、非常に洗練された超一級品の経済ゲームとして、かなりお勧めできる作品。こいつは本物ですぜお客さん。