マイナーゲームの集い[第九回:箱庭生活 ひつじ村DS]

 今回も、去年でたばかりと、このコラムで取り上げるには比較的新しめなこのゲーム。
 

■箱庭生活 ひつじ村DS■ ニンテンドーDS(2008/06/16)
開発/販売:サクセス

このゲームはPS2に出ていた「ようこそ ひつじ村」の一応続編(?)的なものなのだが、ゲームシステムはかなり、というか別物すぎるぐらいに異なるので注意。(その分、前作を遊んでいる必要はまったくないので新規プレイヤーも安心である)

 いわゆるマーベラスの「牧場物語」的な田舎暮らしシミュレーションゲーム。なのだが、テイストがいらんところまで含めて「リアルな田舎」なのが良い。

 農場の木々を切り払っては畑を作り、柵を築いては様々な家畜を飼う。基本はこの繰り返しであり、「牧場物語」にあった街のようなものはなく、基本的には自分の農場の中で延々作業することになる。

  • 一応、街の人に会いに行くマップはあるが自由にいくことはできない。何らかのイベント発生時のみ。
  • ゲームの基本操作は丁寧なチュートリアルがあるためとっつきやすいのだが、このチュートリアルが笑えすぎるのはどうかと思った。必見である。

 ゲーム中飼う事の出来る家畜はかなり豊富で、ニワトリや牛、ヒツジ、ヤギといったありがちなものから、ウサギやクイ*1、イノシシ(ブタのような扱い)、ラマなどちょっと変わったものまでいる。

 また、ときどきイベントで害獣が発生し、農作物が荒らされたり家畜が食べられてしまったりすることがあるのだが、これらのイベントを回避するためにペットを飼うことも出来る。その種類もネコやフェレットからダックスフンド、テリア、レトリーバー、シバ、コーギーといった種類豊富な犬達が多数存在している。
 ゲーム後半にもなるとこれらの動物が農場のあちらこちらで生活している状態となるため、ぼんやりとその様子を眺めているのも楽しい。*2
なにもアクションを起こさないと時間が過ぎないシステムなので、心行くまで家畜たちと戯れることもできる。

 農作物や家畜は料理することもでき、これらを村人達に振舞うこともできるのだが、家畜を料理はなかなかショッキング。
 例えば「クイ」を料理する際には「解体包丁」を使い「クイ死体」にする(〆る)必要がある。こうして〆ることで初めて料理にすることが出来るのだ。 
 これは当たり前と言えば当たり前なのだが、ゲームでこれをきちんと再現しているところなど早々ないだろう。このゲームはこういった細かいディティールが本当に良くできていて、いかにも田舎暮らしっぽい雰囲気に包まれている。
 その主たる最大のイベントが「結婚」。これが普通のゲームであれば対象キャラクターとの間になんらかのイベントを起こして好感度を上げて・・・となるのだろうがこのゲームは一味違う。

 主人公が男性の場合はヒツジを、女性の場合はヒツジの毛から作ることのできるベットカバーを持参金として、村長に申し込むと、結婚相手を紹介してくれる。

 なんとこれだけなのだ。イベントもへったくれもない、田舎にありがちな「紹介されて結婚」という、いやにリアリティ溢れる方法で結婚するのである。
 かつ、このとき条件の難しいキャラほど多数の持参金が必要となるあたりがまたリアル。

  • たとえば身寄りのない女性である「マキ」や、村の男性から地雷扱い(ヒドイ)されている「はる」などはヒツジが少なく、器量の良い「ちずる」や村の有力者の娘である「クララ」などはヒツジが多数必要になる。
  • 結婚イベントはかなり面白いリアクションが見れるので、ぜひ一度は全キャラクターの結婚イベントを見てみることをオススメする。
    • 「はる」の場合、地雷扱いされているせいか結婚を申し込むとまわりの人間がものすごいスピードで、本人が気がつかぬ間に結婚させようとするところが笑える。
    • 「狩人」(男性キャラ。名前がない)なんてメスの牛でなければよいとか。そこはもうちょっと高望みしておけと言いたくなる。

 ゲームのテンポもさくさく進み、かつ自分で任意に時間送りもできるので、携帯機らしくちょっとした合間にプレイするのに向いている。農作業が適度に面倒くさく、なんとなく農作業している感じが出ているのも雰囲気に合っているだろう。
 
 このゲームの欠点は、イベントらしいイベントがほとんどなく、基本的には農業中心となること。
 イベントは本当に少なく、上記の結婚の仕様とあいまって、村に来たときに挨拶しただけのキャラと結婚とかも可能だったりするので、「牧場物語」的なゲームを求める人にはつらいかもしれない。
 また、このゲームには「収納」に当たる存在が無いため、ゲーム中アイテムなどは床に置きっぱなしとなるため、後半になるとかなり床がごちゃごちゃになり、どこに道具を置いたのか分からなくなるところもつらい。整理しないと気がすまない人などにも向いていないかもしれない。

 個人的に開発会社であるサクセスは結構好きなメーカーなので、今後もこういった小粒だけど良いゲームを頑張って出し続けて欲しいなぁ。 


■ワンポイント攻略■

  • このゲーム、何をしたらエンディングといった条件がなく、結婚した/子供ができた後に任意でエンディングを見ることができるというすげぇ仕様である。よって、あまり深く考えずにプレイするのが良いだろう。
  • 一応、このゲームにもゲームオーバーは存在し、食料となる「主食」「副食」「薪」の生活必需品のどれかが3回なくなると村から追い出されてしまう。これらを絶やさないようにすることが、このゲームの目的(?)といってもいいかも。
    • 主食は「ジャガイモ」、副食は「カブ」を溜めるのが一番効率が良い。
    • 農場に生えている木を切ると丸太となる。これは売ることもできるが、基本的には売らずに取っておき、薪や柵などの材料にしたほうが良い。特に薪は良く足りなくなる。
    • 実は男性主人公に限り、3回必需品がなくなっても村を追い出されない。この場合、彼を援助してくれる村のアイドルかつ一番の巨乳である女性「エリザベス」との結婚エンドとなる。
  • 畑で作物を収穫してゆくと肥料メーターが減ってゆき、足りなくなると作物が育たなくなるので常に肥料には気を配るべし。
    • 肥料を買ってもよいが、自分で作ることもできる。「肥料箱」を用意し、家畜のフンや野菜を収穫した際の菜くず(モロコシやキャベツなどの収穫時に出る)などを放り込み、しばらく放置すると「完熟肥料」ができる。コレを使えば即日、肥料メーターを回復できる。
  • 家畜が増えてくるとエサに困るようになるが、雑エサの場合カブや菜くずなどを「雑エサ入れ」に放り込んでもエサとなる。*3
  • 家を増築する際には「石」というアイテムが必要となるのだが、実はコレ雑貨屋に売っているものしかなく、しかも一年に買える数が決まっているので、なるべく早く増築したい場合は一年目から積極的に買いだめすること。

*1:食用のモルモット。<参考>http://www.ax.sakura.ne.jp/~hy4477/link/zukan/sonota/0025cuis.htm

*2:ただしあまりに増えすぎると処理が重くなることもあるので注意

*3:実際にカブで家畜を育てることはあります。こういうところがリアル