読書感想「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」

 どうにも2月に入ってから、ずっとブログ更新をサボっていました。いや、このところ個人的「読書月間」に入ってしまい、ゲームを全然プレイせずに本ばっかり読んでいたのでPCそのものの電源を入れてなかったw 

 

 まぁそんなわけなのでいつものゲームレビューではなく、たまには読んだ本の感想などを述べてみることに。

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
 

 今回の書評は「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」。

著者はゲームコレクター&レビュワーとしても有名な「赤野工作」(レビュワーとしては「模範的工作員同士」という名前のが有名か)で、ジャンルとしてはSFになるんでしょうか。

 内容は「遥かな未来で過去の(我々の時代からすると近未来の)ゲームを遊んだレビュー」というかなり変わった体の作品で、SFありながら扱うものが「レトロゲーム」、レビュワーが「ゲームを愛する孤独な老人」の語り口で書かれていることもあり、どこかノスタルジーを感じさせるという、かなり独特の読後感を兼ね備えた作品です。

  • 存在しないゲームであるのに、それがどんなゲームなのかがありありと伝わる構成力はさすがゲームライターとしても名をはせる赤野氏らしいところ。また、ゲームレビューとその間の雑記という如何にも個人レビューといった感じの体裁をとっていながら、各ゲームのレビューが次のゲームレビューの伏線になっていたりとSF小説としての構成も素晴らしい出来。
  • 個人的に好きなエピソードは「第6回 After Life」とその後日談となる「雑記」の流れ。「第2回 Acacia」からきちっと話の伏線を張ってきての流れであり、結構ガチで感動した。ちょうどここまでが第一部完といった感じになっているため、「カクヨム」版でここまで読んで、気に入ったら書籍を買うといいよw
  • 「第12回 そしてまた去り行くあなたへ」は話の落ちはともかく、肝心のゲーム内容はガチで面白そうで、テキストアドベンチャーという性質上現在でも作れそう。これはリアルに遊んでみたい一本。
  • オチの面白さでいくと「第16回 天幻地在バトルマリオネット」あたりはかなり好き。この「微妙にありそうなリアルなラインでサービス終了となったゲーム」といううすら寒ささえ感じるオチがは絶妙で、スゴイ近未来SF感。マジでこういう未来が来ないことを祈るばかりだ…。
  • とまぁ、SF作品としてキッチリ面白いこの作品。難があるとすれば、「カクヨム」連載時の一部のエピソードが未収録であることぐらいでしょう。マジでこのあたりのエピソードも含めた新作出してくれないかな…。無理かな。

 というわけで、ゲーム好き、SF好きという方々にはオススメできる。両方好きという方には大絶賛という作品となっています。個人的にはかなりツボ。