映画「シン・ゴジラ」を見てきた

 周りからあまりに進められたため、「シン・ゴジラ」見に行ってきました。

 当初は今日の昼に映画館行く予定でしたが、あいにくの大雨で土曜最後の上映までずれ込んでしまいました。とはいえ、評判通りわざわざ映画館まで見に行った甲斐があった傑作といえる映画でした。

  • 一日の最後の上映回でしたが、会場は半分ぐらい埋まっていて驚きました。流石は話題作といったところでしょうか。


↑ポップコーンを頼んだら異常な量で食べきれなかった。コーラが少なかったのが敗因。

 さて、ここから感想。当然ネタバレ含むので注意です。


 この映画はゴジラ映画でありながら、ゴジラ以外にファンタジーや超SF要素がほぼ無く(0じゃないが)、ゴジラと対峙する兵器群も現実に存在する戦闘ヘリ、戦車、爆撃機無人攻撃機と非常にリアルな構成で、シリーズお馴染みのメーサー砲やスーパーXも機龍もモゲラもオキジジェンデストロイアといった超兵器もない現実の日本が以下にゴジラに立ち向かうかが非常に手に汗握る展開となっています。

  • 特に、対ゴジラの矢面に立っている自衛隊に名ありの主要メンバーがなく、実質的な主人公も内閣官房副長官の矢口と、ゴジラ対策部(「巨大不明生物特設災害対策本部」こと巨災対)のメンバーが中心となっているあたりにこの映画の非常に優れたバランス感覚のようなものが見て取れます。やっぱりリアルに自衛隊を活躍させるといろいろ問題があるから、こういう政治寄りの視点から見た対ゴジラになったんでしょう。
  • 最後も、ギリギリの核攻撃を一時とどめて決め手となったのが、フランス経由からの政治的働きかけというあたりもよかった。最後までゴジラに人の力で立ち向かった感が非常に出ていました。

 今作では完全に敵役だったゴジラも、最初は肺魚のような原始的な魚チックだったのものがポケモンのびっくりの進化速度でガンガンと形態変化をしていくところ、そしてその暴れっぷりと放射火炎の反則っぷり(そこから出るのか、と思ったのは私だけではないはず)に、マジで最後までどうなるのか気が抜けません。というか時計を見ないで見ていたので、本気でどう決着するのか最後までハラハラしました。

  • 正直最後が思ったよりあっさり決着したので驚いたぐらい。とはいえ、その直前の在来線爆弾の迫力と勢いは凄かった。実際、あれ以上二転三転されたら人類はもうどうしようもなかったんですが。

 とにかく登場人物が多い作品で、名前を覚えるのも一苦労な有様だがそれがリアルな日本の動き、政府の働き、被害の深刻さを伝えていてよく出来ていた。

  • 個人的には大河内総理大臣が非常にかわいそうだったw この非常事態で戸惑いや決断力不足などが見られたものの、それでも最終的には何ら間違っていない数々の決断と、都民を見捨てて逃げられんと一度啖呵を切ったりと頑張っていたのにいろいろ裏目に出過ぎ。最後の殉職シーンのあっさりさ加減と最後までゴジラに振り回された人だった。

 あと、音楽が非常にエヴァンゲリオンw 元々のゴジラの楽曲と交じり合っていて非常に雰囲気を盛り上げてくれます。庵野秀明が特撮マニアなのは知っていましたが、エヴァってここまで特撮リスペクトが強い作品だったのかと逆に感心したぐらい。サントラが欲しくなったよ。
 細かいネタの具合もクスっとくるものがあり(牧博士の出身、特撮でおなじみ城南大学かよ、とかゴジラ報道の中にアニメが一つだけ混じっているとか)、非常に特撮愛に満ち満ちたところもよく出来ています。

  • 最後のスタッフロール時に非常に目立っていたのが「野村萬斎」。いったいどこに出ていたのか分からんかったのですが、後で調べてみたらゴジラの中の人(モーションアクター)だったんですね。なんて豪華なw
  • それともう一つ。撮影協力として様々な企業、自治体が一覧されていたのですがその中で特に気になったのが「秋田県」の文字。え、どこに秋田関係あったの? 一コマも出てこなかったよね。マジで何に関係していたんだろう…。


 とはいえ、非常に面白い映画だったのは確かですが、完璧な映画だったかといえば弱点は無いでもないです。
 特に最後まで見ていたのに「なんでゴジラって東京来たのか」がよく分からんかった。最後まで詳しい説明なかったし(牧博士がなにかやったと思われるが、結局そこまで詳しい説明ないし)この点は非常に気になった。

  • これまでのゴジラのように放射能源を求めて日本上陸したわけでもないし(霞食って生きてる奴だし)、誰かがやらかして日本にモスラと一緒に来たわけでもない。そういう意味では初代と同じ「災害」としての側面が強く出ている、ということでしょうか。多分上陸経路も初代と大体同じ? なのかな。

 他にも牧博士の存在の謎さ加減やゴジラの発生理由など、これ含めて全体的に「説明するところとしないところ」がはっきりしている映画なので、細かいことが気になる人はいろいろ気になるかも。そういう意味ではこれ、「複雑なことを考えず、頭空っぽにして見る」正しくゴジラ映画だと思います。細かいことはいいんだよ。


 まぁそれでもゴジラ好きもそうでない人も、そして特撮に振れたことがない若い人にも是非見ていただきたい傑作映画であることは間違いないです。ぜひ見れ。

  • ついでに、見終わった後テンションがなんか上がったので、帰りがけにツタヤによってゴジラ映画を借りて見ようと思ったら、ゴジラ特撮特設の棚が作られていてほとんど全部借りられていた。考えることは皆同じか…。