どうも9月に入ってから体調の悪い日が続いています。おかげでブログもちょっとサボり気味。
さて、今回のボードゲームレビューは、次のゲームマーケットで配布される予定の同人ゲーム「幻影探偵団」です。うっかりパッケージを取り忘れたので箱絵なし。
<ハッピーゲームズ RYO ブログ>
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↑こちらが公式ブログ。
時は大正時代。プレイヤーは4つの探偵団(宗教団体とか共産主義者とか怪しいやつもいますが)のうちのどれか一つとなり、歯車館と呼ばれる怪しい洋館に集まった登場人物たちの中から、「怪人・髑髏王」の正体と他の探偵団の団員を推理していく、という設定の推理ゲームです。ストーリーラインといい、ボードやカードのビジュアルといい、多分に江戸川乱歩の通俗物小説っぽい感じ(敵が怪人だし)。
↑登場人物カード。怪人および各探偵団の団員となる。
まずゲームが始まったら、登場人物カードの中から「怪人・髑髏王」と、各プレイヤーの探偵団の団長、および二枚の団員となるキャラクターを決めます。
↑団長と団員1・2。こんな感じに伏せておきます。
- 登場人物は適当な名前とビジュアルが降られていますが、これはフレーバーなので特に意味はありません。推理をするうえで重要なのは、キャラクターを示すアルファベットと男・女の性別だけです。
- ただし例外としてアルファベットも性別もない「影男」というキャラクターカードがあります。これは各プレイヤーの団長を決める際、必ず含めるカードで、毎回必ず推理を混乱させてくるお邪魔キャラです。詳しくは後述。
そして、各登場人物のチップを舞台となる「歯車館」の各部屋に配置したらゲーム開始です。
各プレイヤーは自分の手番が来たら、「尋問」と「カード使用」のどちらかを行うことができます。
- 「尋問」は任意のプレイヤーに対して行うアクションで、歯車館の各ラインを区切ったエリア内(「尋問カード」をつかってエリアを選択する)に、選択したメンバー(団長、団員1・2から選ぶ)のどれかがいるかを確認します。
↑尋問中。この場合だと「キャラクターC、G、J」の中に選んだメンバーがいるかを聞く。
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- プレイヤーは尋問されたら素直に答える必要があります。ただし団長について聞かれた際、自分の団長が「影男」である場合、嘘をついても構いません。これにより団長の推理難易度は少し高くなっています(その分、団長が誰かを正解できれば得点は高いようになっているほか、影男を団長としたプレイヤーはその分皆より情報が少ないことでバランスが取れています)。
- 尋問の結果は他プレイヤーも確認できるので、どのエリアを尋問するかは重要。あまり広いエリアを尋問すると、その中に含まれる確率は上がりますが絞りきれなくなるし、逆に狭いエリアを尋問すると絞り込みしやすくなりますが他プレイヤーにとってもそれは同じ。うまい尋問こそがこのゲームの勝利のカギです。
- 「カードの使用」は様々な効果を持った手札を任意のプレイヤーに使用し、調査を行うアクションです。こちらは尋問とは異なる調査範囲を持っており、使い方次第で大変有効なのですが、使い捨てなので使いどころは迷います。前半は尋問で少しずつ暴いていき、後半はカードを使って特定していくのがセオリーでしょうか。
↑手札。基本的に使い捨てで補充も少ないので使いどころに気を付けるべし。
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- カードの中には「シークレット」能力と呼ばれるものもあり、これはカードを使ったプレイヤーに対してのみ答えが分かるという特殊な質問(YES/NOカードをこっそり渡す)。尋問やほかのカードは他プレイヤーもその情報を確認できてしまうため、こういった秘密の質問で差をつけていくのが重要。
↑シークレットのカード。YES/NOをこっそり渡して答えます。
こうして尋問や手札を使用してわかった情報は、各プレイヤーごとのスクリーンに隠した「推理ノート」に記載していきます。
↑スクリーンに推理ノートを隠す。
- このゲームの推理は、いわゆる「数独」的な消去法での推理で行います。「あのプレイヤーの団員1は女だから、男のキャラクターを消去する」「尋問した結果、A、B、Gの中のどれかなのでそれ以外のキャラは消去する」といったように、当てはまらないキャラクターを消去し、当てはまるキャラクターを導いていきます。
↑推理中。これはほぼ終局図。最後の最後まで団長二人と髑髏王が導き出せずヤマ勘で答えています。
プレイヤーが尋問やカードを使用したら、その調査にかかった時間をカウントします。時間経過により丸ノコギリが進んでいき、最後まで推理できなかった場合、全員敗北となります。この怪奇小説のお約束を抑えたビジュアルも見事ですね。
↑時間カウント(左)。5時間たったらノコギリを1メモリ進みます(右)。
- 尋問だと1時間、手札を使った場合0〜2時間経過し、5時間経過すると丸ノコギリが1つ進みます。このときプレイヤーは「髑髏チップ」を受け取るのですが、このチップは1つ1点となるほかに、手札を使用するときに「髑髏チップを持っていること」が条件となるものもあります。なるべく取っていきたいのですがデメリットもあり、「チップ2つ集めると団員を一人公開する」、「チップ4つで団長を公開する」という結構きついデメリットもあります。しかも5つ集めると「チップの得点が0になる」ため、集めすぎも厳禁。
最終的に誰かが「告発」をするとゲーム終了。その時点で全員の推理を披露し、他プレイヤーの団長、団員、そして髑髏王はどのキャラクターであったのか答え合わせを行います。この得点+チップの合計点が最も高いプレイヤーが勝者となります。
ゲームのストーリーラインにビジュアル、そしてゲームの雰囲気はこれ以上ないぐらいよく出来ていて、テーマ性はバッチリですね。ゲーム性の方もかなりよく出来ていて、きちんと推理していかないと勝てないようになっている他、尋問などの情報は共有なので他プレイヤーの手番の際もゲームに参加でき、協力プレイ的でありながらどこで出し抜くかといった考えどころもしっかりあります。同人ゲームとしてはかなり高いレベルでまとまった作品ですね。
あえて難点を上げるならば、スクリーンとなっているプレイヤースクリーンがシートと同サイズのため、横から見えやすいこと(もう少し大きくてもよかったかも)と、キャラクターチップの色合いのせいで、照明次第でメインボードに溶け込んでよく見えない時があることぐらい。
- ちなみに後者の方は、推理シートに誰がどの位置にいるかを記述する欄があるのでフォローもされています。
↑マップのどの位置に誰がいるかを記述できるようになっている。これで見えにくくても安心。
これ次のゲームマーケットで発売する予定だそうですが、かなりオススメですね。推理ゲーム好きならぜひ押さえよう。