銀の匙〜silver spoon〜1巻

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

 「鋼の錬金術師」の荒川弘新作、ということで注目を浴びていた本作ですが、どっちかといえば同作者の「百姓貴族」からの流れから生まれたと思われる本作。世にも珍しい農業高校をテーマとした漫画です。

  • わりとネットを見てると、鋼の錬金術師のファンだった層からは結構批判が多い印象。ぜんぜん違う作品だと思うのだが、やはり影響がでかいという事か。「百姓貴族」を見てるとこういう路線もありだと思う。
  • あと、舞台が北海道という事で「じゃじゃ馬グルーミンUP!」や「動物のお医者さん」あたりを彷彿とさせられます。学校の敷地が一周20キロとか、北海道以外じゃまずありえない広さだw

 私自身実家が農家のため、農業実習のくだりは「あるあるw」ネタの宝庫。農業の実際を知らない人には結構厳しめの現実が(漫画的ですが)さらりと
書かれていたりと、油断ならない漫画です。「動物のお医者さん」では獣医にあこがれる人が急増したそうですが、これ読んで、農家にあこがれる人間はかなり希少だろうなぁw

  • 第一話からして鶏を絞めるシーンがさらっと出てくる(ちょっとモザイクかかっていますが)。実際にこうやっていきなり首を切って絞めるってことあんまりしない気がするのですが(私の家だと逆さづりにして血を抜く方法でやってた)、漫画だからわかりやすくこうやったのか、それともこういう絞め方もあるのか、教えて偉い人。
  • 第二話で主人公の八軒君がショックを受けていた「鶏の卵は肛門から生まれる」って、そんなに意外なことだったのか…。これ一般常識だと思ってたよ。よくよく考えたら普通の人は鶏が卵産むところ見たことないか。
  • 同じく二話のビニールハウスが飛ばされそうになったところはまさによくある話で笑ったw あれ本当に人が吹っ飛びそうになるぐらいだからなぁ。
  • 「畑のサイズが56ヘクタール(560m×1000m)」ってすげぇな。さすが北海道。本州以南だとなかなかそのサイズの畑にはならないもんだが。それに対する「だいたいマクロス一機分」という例えはわかるんだかわからないんだかw(というかそう考えるとマクロスって小さい気がするな)。
  • 六話は全体的に重い話。特に獣医の心得として「殺れるかどうか」という答えは現実なだけに重い。昨今の鳥インフルエンザ口蹄疫などでも、疑いがあったら即殺処分しなければならないわけだし。こんな感じで、比較的コメディチックな雰囲気の本作ですが、こういう農家ならではの重い話がちょくちょく挟まるところが個人的には好印象。

 とりあえず、一巻ではあまり話が進まないスローペースな本作。たぶん季節ごとにテーマを変えて展開していくと思われるので、今後ものんびり追いかけてみようと思う。というか今のサンデーだとこれぐらいしか読むものがない…。