マイナーゲームの集い[第三回:風の丘公園にて]

マイナーゲーム紹介三回目。今回のソフトはシリーズ初のギャルゲー。

■風の丘公園にて■ プレイステーション(1998/9/3) 開発/販売:テクノソフト

開発元であるテクノソフトは、往年のゲーマーにとっては名作シューティング「サンダーフォース」を作ったところとして有名であろうが、そのような(一見)硬派っぽいメーカーが出したビジュアルノベルタイプのギャルゲーである。

このゲーム、ビジュアルノベルというギャルゲーにはありがちなジャンルにも関わらず、わざわざここで取り挙げたのは、ある意味斬新なシステムが筆者の記憶に残ったからです。

通常、ビジュアルノベルというゲームの場合、まずゲーム開始からしばらくは共通パートをたどり、そこでの選択肢によって、各攻略ルートに分岐するというパターンが一般的です。
ですが、このゲームは一味違います。
ゲーム開始直後に、4名いるヒロインのうち、どのヒロインのシナリオに進むか選択できるのです。

そのため、ヒロインによっては「最初からクライマックス」と言わんばかりの展開となったり、逆に日常の延長のようにまったりと始まったりとシナリオにメリハリがつけられています。
肝心のシナリオも、無駄に過剰な装飾の無い素直な文体で、かなり読みやすく、特別な事件が起こるわけでもないごく普通の高校生の恋愛をキレイにまとめられている。
個人的には主人公の中学時代の同級生「夏樹 水帆」のシナリオが一番良かった。

またキャラクターCG担当の「C次郎」氏のキャラはなかなかクオリティ高く(癖があるので好みはあるでしょうが)、特に個人的には主人公の同級生二人が結構絶妙な出来。

あと面白いシステムとしては、各キャラのCGモードでは通常モードのほかにアルバムモードがあり、これは文字通り「アルバムを見る」モードで、その写真(シナリオ中のCG)についてキャラが主人公との思い出を語ってくれるというもの(ボイスで)。
サウンドモードも、主人公の部屋のオーディオでラジオを聞く、のような請ったモードとなっているのだが、さらにここでキャラの好感度を100にしてクリアしたデータがある場合、本編の一部シナリオを、キャラクターを演じた声優が朗読してくれる「ラジオドラマ」モードが解禁される。
チューニング時のノイズといい、まさにラジオドラマといった風情で面白い。
このへんはゲームの世界観にあわせたうまい仕様だと思う。

欠点としては、まずセーブが1日の終わりにしか出来ず、数も3つまでしかないこと。
各キャラのシナリオ用にセーブを複数保存できない点は痛い。((ただしウラワザ的に回避できないわけでもない。セーブ時に別のメモリーカードを差し込めば、そちらにもまた3箇所セーブできる。))
また、背景がCGではなく実写取り込みを加工したもので*1、シナリオ中のキャラがパートボイスであることとあわせて、まるで同人ゲームのようである。

シナリオそのものも、始めにキャラクター分岐を選択するシステムのためかゲーム中でのシナリオ分岐に乏しく、バッドエンドとハッピーエンドでいまいちシナリオの途中経過に差が無い。
そのためかあまり繰り返しプレイには向いていないと思われる。


結構安易なつくりになってしまいがちなギャルゲー+ノベルゲーというジャンルで、ここまでゲームの雰囲気にあわせたシステム周りと、丁寧なシナリオをあわせた貴重なゲームだと思う。
しかし、何でこのソフト我が家に二本もあったのだろう・・・*2

 

▲ワンポイント攻略▲
  • 各キャラの好感度は最大100なのだが、実はゲーム本編中では70までしかあがらない。(エンディング時に30上がる)。

このゲームのエンディング条件は「各キャラの好感度を70以上にする」ことなので、本編では最低40あればクリアできる。

  • 各キャラの好感度100を目指す場合、基本的にそれほど困る点はないと思うが、「未月 こよみ」および「川奈 深雪」シナリオの一部に異様にハッピーエンド条件が分かりにくいところがあるので注意(下記参照)。
  • 「未月 こよみ」シナリオで注意するところ
    • シナリオ3日目のデートで、クレーンゲームをプレイするシーンでは選択肢「右へ移動」にカーソルを合わせた状態で2秒目で選択→続いて選択肢「奥へ移動」にカーソルを合わせた状態で30秒目に選択すること。
    • シナリオ4日目で、同級生二人とジャンケンをするところでは、どの選択肢を選んでも結果はランダムに決まる。が、ここではわざと負ける必要がある。
    • シナリオ8日目にも、同じくジャンケンするところがあり、やはり結果はランダムなのだがここでは逆に勝つ必要がある。
  • 「川奈 深雪」シナリオで注意するところ
    • シナリオ4日目で、同級生二人とジャンケンをするところでは、どの選択肢を選んでも結果はランダムに決まる。が、ここでは必ず勝つ必要がある。
  • 隠しシナリオは二つ。それぞれに分岐する条件は以下の通り。なお隠しシナリオでは選択肢は存在しない。
    • 「未月 こよみ」シナリオをクリア後、再度「未月 こよみ」シナリオをプレイ→2日目の最後の選択肢で「枕の位置を直す」以外の選択肢を選択する。
    • 4人全員のシナリオをクリア後、「未月 こよみ」「川奈 深雪」「夏樹 水帆」のシナリオをプレイし、2日目の選択肢「最近感じる妙な視線について考えた」を選ぶ。

*1:エンディング画面のスペシャルサンクスに、おそらく舞台になった高校が実名で出ていたのはちょっと笑った

*2:多分、途中で一回無くしたので買いなおした→その後、なくしたと思ったほうが出てきたというパターンだと思う。覚えてないけど